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寺生まれのTさんまとめ@オカ板
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358 :東国従リ上ル人、鬼ニ値フ語:2011/11/23(水) 00:57:41.32 ID:LfXgyx4V0
今は昔、東国からやって来た人が、瀬田の橋(瀬田の唐橋:当時 東から京都に陸路で行くには、この橋を渡るしかなかった)を渡ってきたところで日が暮れたので、宿を借りようとしたところ、近くに人が住んでいない、荒れ果てた大きな家があった。
何故人が住まなくなった のだろうと思ったが、馬から降りて、皆でここに宿をとることにした。
お供の者は下で馬を繋いでそこに居り、主人は奥で皮を敷いて 独り寝ていたが、人里離れたところなので、眠れずに過ごしていた。

夜も更けた頃、火を微かに灯しながら見ると、そばに大きな鞍櫃のような 物が有ったのだが、人も近づかないのに,音を立てて蓋が開いた。
不審に思い、
「もしやここに鬼が居たから人が住まなかったのを、知らないで泊まってしまったのでは?」 と怖くなり、逃げようと思い出した。
さりげなく見ると、その蓋が 最初は小さく開いていたのが、徐々に大きく開くように見えたので、
「これは間違いなく鬼だ!」と思い、
「急いで逃げだしたら、 追いかけられて捕まってしまうだろう。しからば、さり気なく逃げよう」 と思って、
「馬たちが心配だ、見に行こう」と言って起きた。

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359 :東国従リ上ル人、鬼ニ値フ語:2011/11/23(水) 01:00:26.74 ID:LfXgyx4V0

こっそりと馬に鞍を置いて、這い登って鞭を打って逃げ出したところ、 鞍櫃の蓋が開いて、何者かが出てきた。
極めて恐ろしい声で

「どこへ行こうというのか、私がここに居るのを知らなかったのか?」

と言って追ってくる。
馬を奔らせて逃げながら、振り返って 見たけれども、夜なので、その者の正体は見えない。
ただただ巨大で、言葉にならないほど恐ろしい気配を感じる。
瀬田の橋にさしかかり、どうも逃げられないと思い、馬を捨て、橋の下の柱辺りに隠れた。
「観音よ,お助け下さい!」 と念じて屈んでると、鬼がやって来た。
橋の上で極めて恐ろげな声を挙げて、
 
「川の者よ,川の者よ」

と何度も叫んだ。
「うまく隠れられた・・・」と思っていたところ

「おります」

と答えて下から出てくるものがあった。
そこも闇が広がり、何者なのか分からない・・・


 
360 :東国従リ上ル人、丁ニ値フ語:2011/11/23(水) 01:03:03.43 ID:LfXgyx4V0





するとそこへ

「破ぁ!!」

太い光線が双筋飛んできたかと思うと、鬼たちを吹き飛ばした!!
「・・・やれやれ、危ないところだったな」
眩い光が治まった頃、暗がりから一人の男が現れた。

「あ、あなたは?」

「私の名前は丁、この辺りの寺で生まれ育った者だ。
何、うちの寺の本尊が、貴方が危ないと教えてくれたのでな。
急いで駆け付けたのだ。
・・・しかし、鬼と一緒に橋まで吹き飛ばしてしまったな。
また親父に怒られてしまうぜ」

そう苦笑いする丁さんを見て

「寺生まれって、いとをかし!」男は改めてそう思った。


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275 :1/3:2011/07/27(水) 20:11:56.49 ID:V4DSRxXrO
いつだったか、俺はある夏の暑い日に、難易度が高くて有名な山に単身登った。登山が趣味なんだ。
最初は順調だった。景色を楽しみ、野鳥や虫の鳴き声に癒されながら夢中で進んでいたが、気がつけば迷ってしまっていた。右も左も分からぬ内に日は沈み、しかも豪雨が降り始めて最悪の状況。外との連絡手段もなく、いよいよ本当に死ぬと思った。
絶望的な心境でひたすら木々をかき分けていると、一見の山小屋を見つけた。ノックしてみると感じのいいオジサンが出てくる。
どうやらこの辺一帯の管理をしている人らしく、事情を説明すると喜んで小屋に入れてくれる。
中で温かいスープをご馳走になり、毛布にくるまっていると、助かったという安堵と今までの疲れが一気に押し寄せてきてあっという間に眠りこけてしまった。


何時間経った頃だろうか。ふと、妙な気配を感じて目を覚ますと、まだ深夜らしく明かりもついていない真っ暗な小屋の中でゴソゴソと音がする。
よく目を凝らしてみると、オジサンがクローゼットを開けて中を整理していた。そこには、なんと穏やかな寝顔をした人間の生首が大量に並んでいたのだ。
俺は驚愕の余り固まってしまった。しかも、その中には見覚えのある顔もある。暗くてよく見えないが、あれは登山仲間だったか?
とにかくこのままでは俺も殺される。このオジサンの皮をかぶった悪魔は、安心しきって寝ている人間の首を刈るのが楽しみなんだ。
我に返り、急いで逃げようとするが、意思とは裏腹に体が全く動かない。何故だ!?

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276 :2/3:2011/07/27(水) 20:14:43.03 ID:V4DSRxXrO
そうこうしている内に、悪魔がこちらを振り返る。残忍な笑顔、その手には巨大な斧。今度こそ死ぬのかと諦めかけた時、窓の外から眩い光が差し込んできた。
視線だけを動かし外を見てみると、なんと寺生まれで霊感の強いTさんがパラシュートで上空から現れていた。彼の周りで青白い炎が輪っかを作り、神々しい輝 きを放っている。いつの間にか雨も雪に変わっていたらしく、彼の姿は白銀の世界に舞い降りた天使のように美しかった。
そしてTさんの腕の動きに合わせて炎が輪の中に五芒星を描き、それが瞬く間に巨大化しながらこの山小屋へと落ちてくる。
まるで昼間のような明るさと暖かさに包まれ、俺は何ともいえない心地よさを感じた。悪魔もウッ、と呻いて目を覆っている。
Tさんは窓を蹴破り入ってこようとしたが、思ったより窓ガラスが固く、一度弾かれてしまい、そして鍵がついてないことに気付き普通に開けて小屋に入ってきた。
「待たせたな」
「Tさん! どうしてここに?」
「俺の力は親父に比べりゃまだまだだからな。山篭りで修行してたのさ」
俺は救世主の登場に安心し、未だうずくまっている悪魔に目をやる。
「早くこの悪魔を消し去ってください!」
Tさんは言われるまでもない、とばかりに悪魔へ歩み寄り、首筋に鋭い手刀を叩き込み気絶させた。そしてお決まりの呪文を唱えるかと思いきや、それ以上は何もしない。
「……? どうしたんですか、Tさん。早くしないと……!」
「……残念だが、こいつはただの人間だ」
え? 俺は意味が分からず、呆然とする。
 
277 :3/3:2011/07/27(水) 20:20:23.80 ID:V4DSRxXrO
Tさんはこちらを振り向き、少し悲しそうな目をした。
「俺は、お前を浄化しにきたんだ。今そこにいるお前は、とっくにこいつに殺されちまってるんだよ」
俺がもう死んでる? 何をバカなことを。だって俺はさっきまで山を登ってて、遭難しそうになって、この小屋を見つけて……
「自分が死んだことに気付いてない奴ってのが、地縛霊になりやすい。寝てる間に首を切られたんじゃ、しょうがないけどな……
だがお前の魂はその無念を発散すべく、近くに来た登山者を次々とこの小屋へ引き寄せていた。そして今のように身動きを封じ、この殺人鬼の手助けをしてたってわけだ」
「そんな……嘘だ……」
俺には一切そんな自覚はなかった。
だが、ふと自分の体を見てみれば、全く買った覚えのない服を着ている。体格もまるで違う。
そもそもどうして夏に山に入ったのに雪が降っている? それに、さっきの見覚えのある生首、あれはどう考えても……
「さあ、早くそいつから出ていくんだ」
Tさんが俺の、いや、俺のせいで殺されかけた人間の額に掌をあてる。
「すいませんでした……俺……俺とんでもないことを」
「……元はお前が悪いわけじゃない。だが、償いたいなら次は寺に生まれて、多くの人を救うことだな」
「はい! 必ず、俺もTさんみたいになります!」
「楽しみにしてるぜ。じゃあいくぞ……破ぁ!!」

寺生まれってスゴイ。薄れゆく意識の中で、俺は心からそう思った。


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249 :1/3:2011/07/07(木) 23:38:57.63 ID:fJu8rqwF0
まあ先達と比べれば面白くないだろうが1つ付き合ってくれ

一か月くらい前の話だ。曇っていて月が見えない夜に、俺はそいつに遭遇した。
いつもの如く上司に顎で使われ、うみつかれて歩いていた俺の耳に、何か得たいの知れない声が響いてきた。
声、と表現したのはそれが唯の音素の羅列ではなく、意味のある日本語だったからだ。
「ソテナテイリサニタチスイイメコロシテ」
祝詞である。
想像してみてほしい。真っ暗な夜道、周りに誰もいない場所で祝詞が響きわたるなんてことがあり得るのか。
しかもそれは今は使われていない古いタイプの祝詞である。つまり信心深いお年寄りがなにかに驚いてとっさに唱えているって可能性もゼロだ。

もちろんそんなことを咄嗟に考えられるわけもなく、俺はその場をかけ足で逃げ出した。
ところがその祝詞を唱える声はどんどん近づいてくる。こんなことなら日頃から体を鍛えておきゃあよかった。
こういうときは後ろを見ないのが鉄則だ。振り返ることでスピードが落ちるからな。でも俺は振り返っちまった。そこには

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250 :2/3:2011/07/07(木) 23:41:05.21 ID:fJu8rqwF0
――頭だ
人間の頭だけがゴロゴロ転がりながら祝詞を唱えている。暗い所為で男か女か、ましてどんな表情なのかはわからなかった。
恐怖が限界に達したが、声をあげはしなかった。ご近所に迷惑だからと、こんな時なのに考えていた。
そのうち突然ドボーンと何かが水に落ちる音がしてその声は聞こえなくなった。
恐る恐る戻ってみると、そこには排水溝がぽっかりと口を開けていた。
近所のガキが蓋にいたずらした所為で壊れてしまい、数日前からそこの所の蓋はなくなっていたのだ。
おまけにその日は雨上がりで、水嵩が増していた。
間抜けにもあの頭はそこに落っこちて、そのまま流されてしまったらしい。
耳を澄まして見ても水が流れる音だけが聞こえる。
ところが…
突然排水溝から水が逆流してきた。その水に俺は押し流されてしまった。
向こうからあの頭が再びこちらへ向かって着ている!もう駄目だ!

 
251 :3/3:2011/07/07(木) 23:43:54.06 ID:fJu8rqwF0
その時、その頭の奥から白い人影が凄い勢いで近づいてきた。
Tさんだ!
寺生まれのTさんがバタフライでこちらに向かってきている!
「激流に身を任せ同化する」
Tさんは俺を掴んで岸まで引っ張り上げると、追ってきた頭に対して、
「天を見よ、見えるはずだ・・・あの死兆星が」
というと、胡坐をかいて宙に浮いた。
「破ァン!!」
掲げた手から青白い光が放たれると、その頭はちにゃっと言って消滅した。
「せめて痛みを知らずに安らかに逝くがいい。」
そう云うとTさんは、ユクゾっと言って高速で飛んで行った。

寺生まれって凄い。
俺はそう思ったね。


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160 :1/2:2011/04/09(土) 14:49:01.19 ID:5Z5wqd+O0
ながいので3から

「いい、早よ寝るよ。」とことわり、僕は煙草を1本だけ吸うと、布団に体を沈めるとしずかに
目を瞑りました。手に数珠を握りながら。
いままでのことが浮かんでは消えていきました。
そして僕は決心しました。
Tのことを見逃してくれるようと。その時の僕はまだ死から目を背けるよう意識していたのだと思います。
ピシッっと音がしました。その音で目が覚めた僕は数珠を握りしめようとして、驚愕しました。
音の正体は数珠にヒビがはいる音だったのです。
ピシッピシッと割れていく数珠はついに粉々にくだけてしまいました。
ドンっと重い物がのしかかったように体が動かなくなりました。必死に金縛りを解こうと僕は体に力をいれますが、全くといっていいほど動きません。
「ちぃちゃん・・・」自分の口からでた声におもわず、はっとしました。
今の言葉は・・・そう思った瞬間、視界に女の子が写りました。
今いる女の子は昼に見た女の子ではありませんでした。あのときに見た肌が焦げ、髪の毛がかなり抜け落ちた女の子でした。
突然、頭に鋭い痛みをかんじました。
女の子が僕の短い髪の毛をつかもうと、爪を立てて僕の頭を掻きむしります。
長い髪を引っ張られ泣き叫ぶKの顔を思い出し、背筋に寒気がはしりました。
女の子は口をパクパクしてなにか話しかけています。その言葉は僕の頭に響いていきます。
昼に聞いた声とは違い、
半分叫び声に近い声が僕の頭を駆けめぐりました。
女の子の爪はガリガリと掻きむしり、血が出てきたのが分かります。
突然女の子の手が止まり、別方向を睨みつけていました。焼けただれた肌をこわばらせ、そこ、をみています。
スッと体が楽になり、バッと体を起きあがらせます。そこには、女の子はいませんでした。
女の子が見つめていた先には母が置いていったのか札や数珠がありました。
母がいなかったら僕は・・・そう思い胸をなでおろすと、ある疑問が浮かびました。
あの女の子はTのとこにいったのではないのか?
その疑問は確信に変わろうとしていました。僕は急いでTに電話をかけます。

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161 :2/2:2011/04/09(土) 14:49:36.13 ID:5Z5wqd+O0
「なんだよ、お前。」Tの声は荒れていました。
「T、俺が渡した数珠持て!!」唾を必死に飲み込み「女の子が来る。」
えっ、といったTは「来るって・・・」と、戸惑うTがポソッとなにかいいました。
「なんてっ?聞こえんよ・・・」というと、
「ちぃちゃ破ぁ!!」
その瞬間、Tの携帯がきれました。
僕はいそいでTの実家にいくと、そこには焦げた少女と対峙するTの姿が!!
「空家に住み着く悪霊め!!今度こそ消滅させてやるぞ!!」
そういってTさんは呪文を唱えると
「破ぁ!!」
といって手から青い光弾を放った。
「ぐぎゃぁぁ」
少女は苦悶の声を上げながら消滅していきました。
「やれやれ、昔のつけが回ってきたな。あのときは消滅させることが出来なかったが、なんとかなったな」
聞くとTは実は寺生まれで、あのときも本当はあの霊を除霊するためにあそこにいったそうだ。
「あのときは失敗したが、こんどこそ成功したな。」
そう云って煙草に火を付けるTを見て、
寺生まれって本当に凄いなぁと、僕は思いました。

あと、Sは実はTの親父が助けていたそうです。ただあの子に知られると不味いために死んだことにしていたんだとか。


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142 :1/3:2011/04/06(水) 00:11:30.63 ID:6AFGN86+0
読むとカーブミラーを除くのが嫌になる話
・これは,ある町で実際にあったことだそうです。その中学校でこんな噂がありました。「路地裏にあるカーブミラーを夕方の5時に見ると自分の将来の顔が写る。」という

ものでした。
昔から仲が良かった2年生のAさんとBさんもその話を聞いていましたがAさんはあまり本気にしていませんでした。しかし,Bさんは興味を持っていました。
その日の夕方。突然Bさんは「将来何をしているか見に行く!!」と叫んで一人で下校しました。Aさんは部活の片付けが終わっていなかったので遅れて追いかけました。
すると,そのカーブミラーが立っている路地裏に差し掛かった途端,ものすごい悲鳴を上げながらBさんが走り去っていきました。
「どうしたんだろう?」と思わず声を掛けようとしましたが,Bさんは夕闇の中に消えていきました。

翌朝,Bさんは学校に来ていませんでした。すると,1時間目の授業が突然中止になってみんな講堂に集められました。そして,理事長がとんでもない話をAさん達に聞かせました。
「本日,2年生のBさんが登校中に轢き逃げにあい,たった今運ばれた病院で死亡が確認されました。」
Aさんは耳を疑いました。そして,ところどころですすり泣く声が絶えませんでした。そして,Aさんはこう思ったそうです。
「もしかして,Bが見たのは将来の顔じゃなくて明日死んで無惨に潰された自分の顔だったんだろうか・・・。」

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143 :2/3:2011/04/06(水) 00:12:01.91 ID:6AFGN86+0
「それは違うよ」
「え!?」
突然声がしたのでAさんが顔をあげると、目の前にはあのカーブミラーがありました。そう、いつの間にか例の路地裏に来てしまったのです。
ですがそのカーブミラーは真っ暗です。そして血でスマイルマークを描いたような顔が写っています。
「あの子はね、僕に寿命を吸い取られて死んだんだよ」
そうカーブミラーが笑います。
「さて、僕の姿を見ちゃった君の命も吸い取ってしまおうねぇ」
カーブミラーからドロドロの黒い液体が流れ出てきます。それはまるで雨雲のような姿に変化し、Aさんを襲おうとしました。
「そこまででです!!」
その声と共に青白い矢が飛んできました。
そこに居たのは神社生まれで巫女さんのJちゃんです。
「カーブミラーに取りつく悪霊よ!あなたのいるべき場所はここではありません!立ち去りなさい!」
しかし矢を受けた怪物はダメージをまるで受けていません。それどころかJちゃんにも向かっていきます。
「生意気な小娘も殺しちゃおうねぇ」
「そんな…あの弓矢が効かないなんて!!」
jちゃんが立て続けに弓矢を放ちましたが、やはり怪物には聞きません。もうだめかとう時に、

144 :3/3:2011/04/06(水) 00:12:52.80 ID:6AFGN86+0
「破ぁ!!」
「アーメン!!」
二つの閃光が怪物に命中しました。
「やれやれ、危ないところだったな」
そこにいたのは寺生まれで霊感の強いTさんと、教会生まれで神父のKさんでした!
「ぬーん…僕の邪魔をする奴はみんな殺しちゃおうねぇ…」
「黙れ化け物め!!お前の正体はすでに見破っているぞ!!」
Kさんが普段の温厚な正確からは想像もつかないような怒声をあげました。
「その通りだ!!これを喰らえ!!」
そういってTさんは古い手鏡を怪物に向けました。
「さあ、照魔の鏡の力を思い知れ!!」
「ぐわぁぁぁぁ!!」
怪物は薄煙を吐きながら消滅していきました。
「助かりました…あの怪物はもしや…」
「日本では雲外鏡というのでしたね」
「正確に言えば、それを元にして作られた式神だな」
「やはり…兄が…」
「Jちゃん、気を落とすなよ」
「そうですよJちゃん、みんなで頑張って、あの者を神が指し示す正しき道へと戻しましょう」
「御2方…ありがとうございます」
そう決意を新たにする3人を見て、
寺生まれや教会生まれ、そして神社生まれって凄い
Aさんはそう思ったそうです。
後、私って空気だったよねとも思ったそうです。


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130 :本当にあった怖い名無し:2011/04/04(月) 19:56:49.01 ID:DO36z9YC0
3ヶ月前のあの日から、姉の様子が変わってしまった。
クラスのなかでも人気者で委員長までつとめていたのに、突然
授業中にクラスを飛び出して、学校の裏にある山に行ったまま、行方不明。
1週間後に山中で見つかったんだけど、その間の事はおろか、自分の名前すら
一言もしゃべることが出来なくなっていた。
両親もいろんな医者に連れて行くが、どの医者も首を振るばかり、とうとう、
近所でも有名な陰陽師のNさんに診て貰うことにしたようだ。

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131 :本当にあった怖い名無し:2011/04/04(月) 19:57:42.96 ID:DO36z9YC0
そんなある日、両親が親戚の法事で泊まりで出かけることになり、1晩姉と2人きり
で過ごすことなった。
僕は、明日の試験に備えて少し遅くまで勉強をしていたが、さっきから台所で
ガタガタと変な音がする。気になったので、台所に行ってみると、姉が冷蔵庫から
何やら取り出して食べている。
「お姉ちゃん何しているの?」僕が姉に問いかけると、姉はゆっくりと首だけを
あり得ない角度で曲げて、口の中の生肉をくちゃくちゃと食べながら、僕の方を
見ながら気味の悪い声で言った。
「憎い、おまえが憎い、父母は、いつもおまえばかりを可愛がり、私はいつも我慢ばかり」
すると、窓の外側にあのNさんがいつのまにか立っており、嬉しそうな声で「ほ~、だいぶ
育ったようだな」と独り言を言うと、手も触れていないのに、窓のカギが独りでに開き、
Nさんが部屋の中に入ってきた。

132 :本当にあった怖い名無し:2011/04/04(月) 19:59:18.09 ID:DO36z9YC0
Nさんは、懐から何かを掴むと姉の喉元に持って行き何やら短く口の中で唱えた。
「ム、ムカデ」Nさんが取り出したムカデは、姉の喉に食らいつくと音もなく血を吸い始め、
見る間に大きくなっていった。
「妬み、恨みのたっぷり詰まった血ぞ、腹がくちくなるまで食らうが良い。」
Nさんは、そいううとカラカラと笑った。
あ~もうだめだと思った次の瞬間、「そこまでだ!」の声と共に、寺生まれで霊感の強
いTさんが部屋に飛び込んできた。
「Tよ、また邪魔立てにきたか、ま~良い、お前も寺生まれなら蠱毒は、知っておろう、
このムカデはな、その蠱毒を三度繰り返し生き残った、化け物よ。」
Nさんがまた、短く口の中で唱えると、ムカデの腹が膨らみ何百匹ものムカデの子供が生まれ、すごい早さでTさんに右腕に駆け上ると、一斉に噛みついた。
「うごっー」Tさんは、うめき声が部屋にこだまし、見る間に右腕が黒色に変色した。
「Tよ、普通の人間ならあまりの痛みに失神しているところ、なまじ体を鍛えていることから、
失神もできまい。右腕の次は、左腕、次は、目、鼻、耳、最後は心臓ぞ、苦しみながら死ぬが
良い。」
もう、何もかもおしまいだと思ったその時、涼やかな鈴の音とともに、綺麗な謡が遠くから聞
こえてきた。


133 :本当にあった怖い名無し:2011/04/04(月) 20:00:55.79 ID:DO36z9YC0
「春爛漫の桜花、しかれども我が心は、晴れることなき...」窓の外に現れたのは、
神社生まれで巫女さんのJちゃんだった。
「兄様にこれ以上罪は犯させない!」そいうとJちゃんは、懐から4本の釘を取り出し、
Tさんと姉の回りを取り囲むように突き刺すと、「界」と短く唱え舞のように体を1回転させた。
すると、釘と釘の間から朱色の光が現れ、Tさんと姉さんを取り囲んだ。
「T様の回りに結界を張りました、これでも兄の呪術も手出しができません、今、お助け申します。」
Jちゃんが、腕を前に突き出し「離」と唱えるとTさん腕から、ばらばらとムカデの子供が離れた。
次に「集」と唱えながら、手を交差させると、そのムカデが一箇所に集まった。
「Jちゃん、助かったぜ」Tさんの「破っ」の声とともに左手から発射された光弾がムカデに当たると、黒い霧と共に、ムカデの子供は消滅した。
「ほ~、我が妹Jよ、言霊が操れるようになったか、成長したものよ。この世に人の心の闇があるかぎりまた、会うことになろうぞ」Nさんは、そう言うと黒い霧と共に消えていった。
「お二人とも、今、治してさし上げます。」JちゃんがTさんと姉の額に手を当てて、「治」と
唱えると、淡桃色の光が2人を包むと見る間に傷が治っていった。

134 :本当にあった怖い名無し:2011/04/04(月) 20:02:27.54 ID:DO36z9YC0
「T様、今日は、少し力を使いすぎたようです。」、Jちゃんは力なくそう言うと、ぐらりとその場に崩れ落ちた。
Tさんは、たくましい腕でJちゃんを抱き留めると、「心配するな、Nは必ず俺が基のNに俺が戻してみせるぜ」そう言うと、Jちゃんを抱えたまま、夜の闇へと消えていった。
寺生まれれも神社生まれもすごいけど、この3人にいったい何があったのだろうと部外者ながら余計な心配をしてしまった。


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107 :本当にあった怖い名無し:2011/03/22(火) 00:29:02.26 ID:SSTCjchf0
僕の母方の家はいわゆる「憑きもの筋」だそうです。
そうした場合はたいてい犬とか蛇とか猿らしいのですが、母の家は「ヘイシ様」というそうです。
読んだとおり、平氏の落ち武者のことです。
なんでも先祖のところへ平氏の武将が逃れて来た際、その武将を騙して殺し、源氏方に首を差し出したそうです。
その時の恩賞で土地をたくさんもらったので、その地域で並ぶもののない富豪になったんだとか。
でもやはりその時の武将の怨霊が祟りを次々と起こして、一族が全滅しかけたんだそうです。
それで必死に許しを請い、祠を建てて祀ったところ
「一代経るごとに、最初の子供の命を貰う」ということで、祟りは治まったそうです。
つまり、一族で最初の子供、最初の孫、最初のひ孫……という風に
母の代では、一番上の姉が死産だったそうで、僕の代も母の一番上のお兄さんの子供が生まれてすぐ亡くなりました。
そして昨年五月、僕達の次の代になる子供が生まれることになりました。

拍手

108 :本当にあった怖い名無し:2011/03/22(火) 00:32:21.41 ID:SSTCjchf0
ヨーヘイ(仮名)君は母の二番目のお兄さんの子供で、次男だったせいかけっこう好き勝手に生きてました。
一言で言えばDQNなんですが、僕は小さいころから仲が良かったです。
で、そのヨーヘイ君が同じDQNのJK――ナツミ(仮名)ちゃんを孕ませちゃったんで、
一族全員から「ある程度大きくなったら堕ろせよ」と強制されました。
過去に堕胎でもOKだったらしく、これで次の代のはクリアできる、とみんな少し嬉しそうでした。
ヨーヘイ君もナツミちゃんもまだ10代だし、DQN同士で出来ちゃった子だから、いなくなってもいいや、みたいな雰囲気でした。
僕はそんな空気に腹が立ってたんですが、父親のヨーヘイ君はもっとムカついてて
「ぜってー堕ろさねーし! 堕ろせって言った奴、ぶっ殺すし!」とキレまくって、
散々伯父さん達相手に暴れまくった挙句、大阪の僕のアパートに転がり込んできたんです。
「ケイちゃん(僕)、この子が生まれるまではここに居させてくれ。このままだとあいつらに殺されるわ」
親戚一同の態度が気に入らなかった僕は、すぐOKしました。
僕は祟りを信じていなかったし、仮に祟りが本当でも、遠く離れた大阪までは来ないだろう、と思っていたからです。

それでも念のため、寺生まれのTさんに相談することにしました。
 
109 :本当にあった怖い名無し:2011/03/22(火) 01:02:51.62 ID:SSTCjchf0
「なるほど、そいつは厄介だ」
僕の話を聞いたTさんはいつもの余裕ある態度ではありませんでした。
目を閉じて腕を組み、深く息をつきながら、カフェのソファーに背を凭れて、じっと考え込んでいました。

「悪霊ってのは怨念の深さと、恨み続けた長さがその霊力の強さになる。
そのヘイシ様ってのは1000年近くお前の家を恨み続けてるわけだから、その力は相当なもんだ。
おまけに何代にも渡って赤子の贄を出してきたから、益々強くなってるはずだ」

「じゃあ、Tさんでも無理なんですか?」
「わからない。こればかりは安心だと言えない。だが……」
目を開けたTさんの眼差しは、使命感と闘志で満ち溢れていた。
「赤ん坊の命がかかってるんじゃ、断れないだろ?」
Tさんは立ち上がると、俺の肩を叩いてそう笑ったのです。

そしてナツミちゃんの出産予定日が来ました。

無事、女の子に生まれ元気な泣き声が病室いっぱいに広がります。
ヨーヘイ君は赤ちゃんの小さな手を握って、「パパだよ、俺がパパだよ」と涙を流して話しかけていました。
「あいつもあんな父親の顔をするんだ」と僕は、彼の見せた一面に驚き、そして感動したのでした。
そんな幸せいっぱいの空間の中で、Tさんだけは重苦しい表情で周囲に気を配っていました。
そんなに気を張らなくても何も起こらないですよ、と僕がいいかけた時、
 
110 :本当にあった怖い名無し:2011/03/22(火) 01:08:22.59 ID:SSTCjchf0
シャン

どこからともなく鈴の音が聞こえてきました。
同時に病院中の電気が消え、病室は真っ暗闇になったのです。
お医者さんや看護師さん達が何事か、とざわめき出し、ヨーヘイ君達夫婦は固唾を飲んで身を寄せ合いました。
「やれやれ……どうやらもうおでましのようだな」
廊下に目をやるTさん。シャン、シャン、シャン、シャン、と鈴の音が廊下からどんどん近づいてきます。
そして病室のドアの前で止まりました。
耳が痛いくらいの静寂でした。廊下からは何も物音はしません。僕らも何も言わず、ただただ黙ってドアを見つめていました。
病室にいる皆が、ドアの向こうに何かが――それも危険な存在がいることを直感的に理解していました。
一分か二分、あるいはもっと短かったかもしれません。しばしの静寂の後、ドアが激しく叩かれたのです。

ドンドン、ドンドン

殴りつけるような感じでドアが撓むのがわかりました。
ドアの中央に貼られた呪符の効果か、ヘイシ様は入ってこれないようです。
「だが、それも時間の問題だ」
Tさんが指摘するとおり、確かにドアが叩かれるたび、鬼火のようなもので少しずつ呪符が焼け焦げて行くのが見えました。
ヘイシ様の力に耐えられなくなっているのです。
「こいつでなんとか決められればいいが」
Tさんは腰を落とし、両手を前に突き出して構えました。
青白い光が集まって膨れ上がり、巨大な光弾が出現しました。
入ってきた瞬間、最大の力を撃ち出す作戦のようです。

ドンドン、ドン、ドグシャ!

ついに呪符が完全に焼け落ちて、ドアが天井にまで吹き飛ばされました。
その瞬間、
「破ァああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
Tさんの必殺の一撃が放たれました。

 
111 :本当にあった怖い名無し:2011/03/22(火) 01:15:35.07 ID:SSTCjchf0
「うぎゃああああああっ!!!」
光弾が命中し、断末魔の叫びが響き渡ります。
「やった!」
僕はTさんがヘイシ様を倒したと思ってガッツポーズをしました。
「違う! よく見ろ! あれは囮だったんだ」
見ると、光弾を食らったのは中年の医師でした。壁にめり込み、完全に気絶しています。
「それじゃ、ヘイシ様は……」
「もうすでに病室のな、ぐはっ!」
Tさんの身体が凄い勢いで横に流れ、窓に激突しました。
「ああっ! Tさん!?」
窓枠ごと外に吹き飛ばされたTさんは、今の一撃で気を失ったのかそのまま地面に落下してしまったのです。
「そんな、Tさんがやられるなんて……」
僕は絶望的な気持ちでいっぱいでした。だってTさんがやられてしまったら、もう誰もヘイシ様を止めることができないのです。
「ちくしょー! やらせねーぞ! 娘は俺が守るんだ!」
見えない敵に向かってヨーヘイ君は叫びましたが、すぐその声は途絶えました。
ヨーヘイ君の首にくっきり浮かんだ手形がギリギリと喉を締めつけ、声を封じてしまったからです。
もう病室内は大パニックです。
医者も看護師も皆逃げ出そうとしましたが、病室の入り口に見えない壁のような障壁ができていて、
そこから抜け出すことはできませんでした。
そしてナツミちゃんの抱いた赤ちゃんが、引っ手繰られるように中に浮かび上がりあがりました。
見えました。はっきりとヘイシ様の姿が見えました。
血まみれの落ち武者が憎悪と凶器に歪んだ表情で刀を振り上げていました。
もうダメだ、と僕は赤ちゃんの死を覚悟しました。
 
112 :本当にあった怖い名無し:2011/03/22(火) 01:27:31.18 ID:SSTCjchf0
「……させ……るかよ」
それは最初、死者の呻き声のようでした。
息も絶え絶えな低く重苦しい響き。
ですが確かに聞き覚えのあるその声は寺生まれのTさんのものでした。
「……その赤ちゃんは必ず守る」
ボロボロになったTさんが這いずるように、落ちた窓から現れたのです。
「くそっ、倒そうと思っちゃダメなんだ。こいつを相手にするにはわからせなきゃダメなんだ」
Tさんはヨーヘイ君の手を掴むと自分の手と重ねるようにして、ヘイシ様に向けました。
「これが今、お前が復讐しようとしている相手だ! 破ァ!!」
なんと信じられないことに、ヨーヘイ君の手から青白い光弾が放たれました。
ですがそれはTさんのものよりも輝きは小さく、勢いも弱弱しい頼りないものでした。
あんなものでヘイシ様を倒すことなんてできるわけがない。そう僕は思いました。
ですが、その光弾がヘイシ様に触れた瞬間、ヘイシ様の周囲を包み込むように粒子が拡がったのです。
イルミネーションのような淡い輝きの中、不思議とヘイシ様は動きを止めました。
禍々しい気配が次第に薄れ、表情もどこか穏やかなものになっていくのがわかりました。
「わかってくれたか。こいつは、いや、こいつらはもうお前の恨むような相手じゃないんだよ」
Tさんがそう語りかけると、ヘイシ様はゆっくりと頷いて、姿を消しました。
後にはメチャクチャになった病室と、何事もなかったかのようにすやすやと眠る赤ちゃんが残されました。
 
113 :本当にあった怖い名無し:2011/03/22(火) 01:39:20.60 ID:SSTCjchf0
「なんでヘイシ様はあそこで退散したのでしょうか」
僕の質問にTさんは紫煙をくゆらせた。
「ヘイシ様は気づいたんだよ。赤子の贄を要求することの虚しさを」
「それはいったい……」
「ヨーヘイ君の赤ちゃんを思う気持ち、これからの父親として生きる覚悟、そして思い描くありふれた幸せの姿
そうしたものを光弾に込めてヘイシ様に伝えたんだ。貴方が奪おうとしているのは、悪人の命じゃない
どこにでもいるただの人間の未来なんだ、と」
「そんなことで恨みが晴れるんですか?」
「晴れたんじゃないさ。ただ千年近くも恨み続けてたら、恨むことに疲れちまうだろ?
だからもう恨まなくてもいいんだ、と少し肩の荷を下してやったんだ」
そしてTさんは最後にこう言った。
「何より、子供を守ろうとする父親の姿を見て、武士として何も思わないのか、って言ったのが効いたみたいだな」
あの時の必死なヨーヘイ君の姿を思い出しているのか、遠い目をしたTさんを見て
寺生まれってけっこう深いんだな、と思うと同時にヨーヘイ君達の幸せな未来を祈った。


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104 :本当にあった怖い名無し:2011/03/22(火) 00:21:00.20 ID:SSTCjchf0
2年前の話
高校生だった俺たちは、夏休みに友達Jの家に集まっていた。
その集団の中に、霊感のあるAもいた。

夏休みにだった事もあり、本当にあった呪いのビデオを借りて鑑賞する事になる。
このビデオ、当たりハズレが激しく、Aに頼んで本当にヤバイ雰囲気の奴を借りてもらっていた。

時刻も0時をまわり、そろそろビデオを見ようとした時にAがやめようと言い出した。
しかし、Bはやめるつもりが無くすでにプレイヤーにセットしていたため、渋々見る事になる。

ビデオが始まると、まず誰もいない部屋の電気がついたり消えたりした。
Aは更に焦る事になる。
次に、テレビがブツンと急に消えた。
テレビが消えた直後、Aは外に逃げだした。
俺たちは笑ってたが、消えたテレビの画面を見ると
反射した画面、つまり俺たちの後ろにあるはずもない無数の生首があったのだ。

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105 :本当にあった怖い名無し:2011/03/22(火) 00:23:47.16 ID:SSTCjchf0
「そこまでです!」
セーラー服の上に千早を羽織った、ポニーテールの少女が突然部屋に入ってきた。
神社生まれで巫女さんのJちゃんだ。
手にした弓を番え、「破ァ!!」と青白く光る光矢を放った!
「ギャアアア」というこの世のものとも思えないいくつもの叫びがして、画面の中の生首は全部消えた。
「危ないところでした。あれはビデオを使って結界を広げる小悪党です」
ホッとしたのも束の間、Jちゃんは人差し指を俺の鼻先にに突きつけてきた。
「そ、それとHなのはいけないと思います」
顔を真っ赤にしてそう言ったJちゃんを見て、神社生まれって可愛いと思うと同時に
ビデオ=AVという発想の方がHだと思った


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96 :本当にあった怖い名無し:2011/03/21(月) 14:10:51.89 ID:6rnTG9AR0
小学生の頃の話。


夕方家に帰る途中、近所の飼い猫のユキコが路地に入っていくのを見ました。
私は良くその家に行ってユキコと遊んでいたので、
「ユキちゃん、遊ぼう」と声をかけながら路地に足を踏み入れました。
まだ空は明るく、高い建物なんて周りに全然無いのに、路地は暗く、
名前の由来になったユキコの白い身体が薄ぼんやり見えるだけでした。
私は何か嫌な感じがしたので、引き返そうとしましたが
「ふぎゃー!」
ユキコの悲鳴のような叫びに慌てて路地の奥へ向かいました。
二度、右に曲がった(今思えば、何故そんな風に走ったのかわかりませんが)先の光景に
私は足を竦ませました。

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97 :本当にあった怖い名無し:2011/03/21(月) 14:13:40.29 ID:6rnTG9AR0
まだハイハイしかできないような赤ちゃんが、ユキコの腹に齧りついて、内臓を食べていたのです。
明らかにこの世のものではないと分かり、早く逃げなきゃ、と思いましたが
金縛りにあったかのように動けませんでした。
やがてユキコは内臓を全部食べられ息絶えましたが、赤ちゃんはまだ満足していないのか、
無邪気な笑顔でこちらに這いよってきます。
顔の下半分と産着がユキコの血で真っ赤に染まって、なのに赤ちゃんは可愛らしい笑顔で。
そのギャップがひたすら恐くて、「助けて助けて」と何度も心の中でお祈りしました。
赤ちゃんはとうとう私の足を掴み、大きく口を開けました。
歯がびっしりと生えていました。
上下じゃなくて、口の中全体に360度喉の奥まで歯です。
その歯の一本一本が別の生き物のようにウネウネ動くのです。
今思い出しても気持ち悪くなるような、化け物の口が私の足に噛みついて……

98 :本当にあった怖い名無し:2011/03/21(月) 14:16:17.19 ID:6rnTG9AR0
「そこまでだ! 破ァ!!」
寺生まれで霊感の強いTさんの放った青白い光弾が赤ちゃんの口の中に吸い込まれ、
その頭部を粉微塵に粉砕しました。
すると、ワァアアアアアアアアアアアアアアアンンンンンンとスピーカーが壊れた時のような音がして
路地全体が歪み出しました。
「この路地そのものが奴らだったのか!? 早く、ここから逃げるんだ! 急いで!」
動けない私をTさんはその太くたくましい腕に抱えあげました。
生まれて初めて男の人の逞しさを感じて、自分の鼓動が速くなっていくのがわかりました。
なんとかその路地から逃げだした時にはもうすっかり夜になっていました。
「猫ちゃんは可哀想だったけれど、君を助けられよかった。家まで送っていくよ」
私を落ち着かせるために何度も頭を撫でてくれるTさんの、優しげな笑顔を見て
寺生まれって年下でも好きになってくれるのかな? と切ない気持ちになった私でした。


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