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寺生まれのTさんまとめ@オカ板
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358 :東国従リ上ル人、鬼ニ値フ語:2011/11/23(水) 00:57:41.32 ID:LfXgyx4V0
今は昔、東国からやって来た人が、瀬田の橋(瀬田の唐橋:当時 東から京都に陸路で行くには、この橋を渡るしかなかった)を渡ってきたところで日が暮れたので、宿を借りようとしたところ、近くに人が住んでいない、荒れ果てた大きな家があった。
何故人が住まなくなった のだろうと思ったが、馬から降りて、皆でここに宿をとることにした。
お供の者は下で馬を繋いでそこに居り、主人は奥で皮を敷いて 独り寝ていたが、人里離れたところなので、眠れずに過ごしていた。

夜も更けた頃、火を微かに灯しながら見ると、そばに大きな鞍櫃のような 物が有ったのだが、人も近づかないのに,音を立てて蓋が開いた。
不審に思い、
「もしやここに鬼が居たから人が住まなかったのを、知らないで泊まってしまったのでは?」 と怖くなり、逃げようと思い出した。
さりげなく見ると、その蓋が 最初は小さく開いていたのが、徐々に大きく開くように見えたので、
「これは間違いなく鬼だ!」と思い、
「急いで逃げだしたら、 追いかけられて捕まってしまうだろう。しからば、さり気なく逃げよう」 と思って、
「馬たちが心配だ、見に行こう」と言って起きた。
359 :東国従リ上ル人、鬼ニ値フ語:2011/11/23(水) 01:00:26.74 ID:LfXgyx4V0

こっそりと馬に鞍を置いて、這い登って鞭を打って逃げ出したところ、 鞍櫃の蓋が開いて、何者かが出てきた。
極めて恐ろしい声で

「どこへ行こうというのか、私がここに居るのを知らなかったのか?」

と言って追ってくる。
馬を奔らせて逃げながら、振り返って 見たけれども、夜なので、その者の正体は見えない。
ただただ巨大で、言葉にならないほど恐ろしい気配を感じる。
瀬田の橋にさしかかり、どうも逃げられないと思い、馬を捨て、橋の下の柱辺りに隠れた。
「観音よ,お助け下さい!」 と念じて屈んでると、鬼がやって来た。
橋の上で極めて恐ろげな声を挙げて、
 
「川の者よ,川の者よ」

と何度も叫んだ。
「うまく隠れられた・・・」と思っていたところ

「おります」

と答えて下から出てくるものがあった。
そこも闇が広がり、何者なのか分からない・・・


 
360 :東国従リ上ル人、丁ニ値フ語:2011/11/23(水) 01:03:03.43 ID:LfXgyx4V0





するとそこへ

「破ぁ!!」

太い光線が双筋飛んできたかと思うと、鬼たちを吹き飛ばした!!
「・・・やれやれ、危ないところだったな」
眩い光が治まった頃、暗がりから一人の男が現れた。

「あ、あなたは?」

「私の名前は丁、この辺りの寺で生まれ育った者だ。
何、うちの寺の本尊が、貴方が危ないと教えてくれたのでな。
急いで駆け付けたのだ。
・・・しかし、鬼と一緒に橋まで吹き飛ばしてしまったな。
また親父に怒られてしまうぜ」

そう苦笑いする丁さんを見て

「寺生まれって、いとをかし!」男は改めてそう思った。

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359 :東国従リ上ル人、鬼ニ値フ語:2011/11/23(水) 01:00:26.74 ID:LfXgyx4V0

こっそりと馬に鞍を置いて、這い登って鞭を打って逃げ出したところ、 鞍櫃の蓋が開いて、何者かが出てきた。
極めて恐ろしい声で

「どこへ行こうというのか、私がここに居るのを知らなかったのか?」

と言って追ってくる。
馬を奔らせて逃げながら、振り返って 見たけれども、夜なので、その者の正体は見えない。
ただただ巨大で、言葉にならないほど恐ろしい気配を感じる。
瀬田の橋にさしかかり、どうも逃げられないと思い、馬を捨て、橋の下の柱辺りに隠れた。
「観音よ,お助け下さい!」 と念じて屈んでると、鬼がやって来た。
橋の上で極めて恐ろげな声を挙げて、
 
「川の者よ,川の者よ」

と何度も叫んだ。
「うまく隠れられた・・・」と思っていたところ

「おります」

と答えて下から出てくるものがあった。
そこも闇が広がり、何者なのか分からない・・・


 
360 :東国従リ上ル人、丁ニ値フ語:2011/11/23(水) 01:03:03.43 ID:LfXgyx4V0





するとそこへ

「破ぁ!!」

太い光線が双筋飛んできたかと思うと、鬼たちを吹き飛ばした!!
「・・・やれやれ、危ないところだったな」
眩い光が治まった頃、暗がりから一人の男が現れた。

「あ、あなたは?」

「私の名前は丁、この辺りの寺で生まれ育った者だ。
何、うちの寺の本尊が、貴方が危ないと教えてくれたのでな。
急いで駆け付けたのだ。
・・・しかし、鬼と一緒に橋まで吹き飛ばしてしまったな。
また親父に怒られてしまうぜ」

そう苦笑いする丁さんを見て

「寺生まれって、いとをかし!」男は改めてそう思った。

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