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- 389 :本当にあった怖い名無し:2010/01/23(土) 17:04:52 ID:Rke/28tr0
- これは小さい頃、秋田にある祖母の実家に帰省した時の事である。
年に一度のお盆にしか訪れる事のない祖母の家に着いた僕は、
早速大はしゃぎで兄と外に遊びに行った。
都会とは違い、空気が断然うまい。
僕は、爽やかな風を浴びながら、兄と田んぼの周りを駆け回った。
そして、日が登りきり、真昼に差し掛かった頃、ピタリと風か止んだ。
と思ったら、気持ち悪いぐらいの生緩い風が吹いてきた。
僕は、『ただでさえ暑いのに、何でこんな暖かい風が吹いてくるんだよ!』と、
さっきの爽快感を奪われた事で少し機嫌悪そうに言い放った。
すると、兄は、さっきから別な方向を見ている。
その方向には案山子がある。
『あの案山子がどうしたの?』と兄に聞くと、
兄は『いや、その向こうだ』と言って、ますます目を凝らして見ている。
僕も気になり、田んぼのずっと向こうをジーッと見た。
すると、確かに見える。
何だ…あれは。
遠くからだからよく分からないが、人ぐらいの大きさの白い物体が、くねくねと動いている。
しかも周りには田んぼがあるだけ。
近くに人がいるわけでもない。
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- 390 :本当にあった怖い名無し:2010/01/23(土) 17:10:38 ID:Rke/28tr0
- 僕は一瞬奇妙に感じたが、ひとまずこう解釈した。
『あれ、新種の案山子じゃない?きっと!今まで動く案山子なんか無かった
から、農家の人か誰かが考えたんだ!多分さっきから吹いてる風で動いてるんだよ!』
兄は、僕のズバリ的確な解釈に納得した表情だったが、その表情は一瞬で消えた。
風がピタリと止んだのだ。
しかし例の白い物体は相変わらずくねくねと動いている。
兄は『おい…まだ動いてるぞ…あれは一体何なんだ?』と驚いた口調で言い、気になって
しょうがなかったのか、兄は家に戻り、双眼鏡を持って再び現場にきた。
兄は、少々ワクワクした様子で、『最初俺が見てみるから、お前は少し待ってろよー!』と言い、
はりきって双眼鏡を覗いた。
すると、急に兄の顔に変化が生じた。
みるみる真っ青になっていき、冷や汗をだくだく流して、
ついには持ってる双眼鏡を落とした。
- 391 :本当にあった怖い名無し:2010/01/23(土) 17:11:27 ID:Rke/28tr0
- 僕は、兄の変貌ぶりを恐れながらも、兄に聞いてみた。
『何だったの?』
兄はゆっくり答えた。
『わカらナいホうガいイ……』
すでに兄の声では無かった。
兄はそのままヒタヒタと家に戻っていった。
僕は、すぐさま兄を真っ青にしたあの白い物体を見てやろうと
落ちてる双眼鏡を拾い、恐る恐る兄が見ていた方角にレンズを向け、
そして驚愕した。
田んぼの向こうでゆらめくもの、それは白いカッターシャツを着たTさんだったのだ。
あの寺生まれで霊感の強いTさんが、狂ったように笑いながら、くねくね、くねくねと乱舞していたのだ。
人間とは思えない程なめらかな腰使い、がむしゃらながらも確かなキレのあるステップ。
そして満開の笑顔、ほとばしる汗・・・
それは初期衝動としか言いようのない、どんなジャンルにも属さない
オンリーワンのダンススタイル。
なまめまかしく蠢く指の一本一本までもが、何かを表現しているようだ。
夕日というミラーボールに彩られ、人生というダンスホールで
いつまでも踊り続けるTさんを見ながら
寺生まれはやっぱりスゴイ、心からそう思った。
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- 383 :本当にあった怖い名無し:2010/01/19(火) 14:39:24 ID:bIiJBSSC0
- 12月30日
A「最近、Tの奴付き合い悪いんだが…忙しいのか?」
B「なんだA、知らんのか?」
A「何が?」
B「T、最強の宿敵がいるらしくて、そいつの出現までに仕事を片付けたいらしい」
B「そんなに強い相手なんか?」
A「ああ…」
俺達はTの親友だ。奴とは小学校からの付き合いだ。
年末になると、酒かっくらって遊び呆けるんだが…去年辺りから年末は付き合いが悪くなりやがった。
A「その…最強のライバル…って、誰や?お前、知ってんのか?」
B「ああ…お前も知ってるはずだ。だが、教えてもらうより、自分で調べた方が面白いぜ」
Bはクックックッと肩で笑っていた。こいつがこういう笑い方した時は、かなり面白い展開なんだろう。
- 384 :本当にあった怖い名無し:2010/01/19(火) 14:42:38 ID:bIiJBSSC0
- 12月31日
俺は色々調べてみたんだが、イマイチTのライバルってのがわからない。ただ協会生まれのKって奴より凄いらしい。
年越し蕎麦を食いに、Bがやって来た。後ろには疲労困憊のTとKもいた。
A「おいおいT…それにあんたKか?Tから話は聞いてるが…二人共、大丈夫か?」
まさに、精根尽き果てた感じだった。衣服もボロボロ泥だらけ。
T「破…腹減った…早く食わせてくれ…」
俺は素早く年越し蕎麦を作ることにした。
Bがテレビを点ける。年越しはやはり紅白歌合戦だろう。
それを見ながらTが呟いた。
T「これで奴も、手も足も出せまい…」
K「私達が嫌々ながら協力してまで、全国行脚してまで片付けてきたのから、あんな奴に出る幕はない筈です」
KがTに同意していた。ってか、なんでこの二人が協力してんだ?Bの話では、ライバル関係らしいのに。
年越し蕎麦を食い、紅白歌合戦も順調に消化され…遂にその時がきた!
- 385 :本当にあった怖い名無し:2010/01/19(火) 14:43:58 ID:bIiJBSSC0
- テレビには某巨大女性歌手が登場し、歌い始めた。
W『あの頃は~破っ!』
そのフレーズと共に、手から光弾が放たれ、カメラへと突進してきた!
俺はまさか!と思ったよ。
Tの最強のライバルって…Wなのか!
光弾は、テレビから飛び出し、TとKの肩越しの何かに当たって消えた。
TとKは、勿論目で追っていたさ!
二人とも怒りで震えていた。
T「…くそっ!またやられた!」
K「疲れ切った私達が憑かれていたとは…盲点でした」
T「修行のやり直しか…来年こそ、貴様に負けん!W、覚えてろよ!」
その後、暴飲暴食で暴れまくり我が家を破壊し尽くしたのは言うまでもなく…T生まれとは友達止めた方がいいかもしれん…元旦から壊れた家見て思ったね…
B「…俺、存在感ないんだけと…orz」
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- 371 :Ⅰ:2010/01/16(土) 22:04:23 ID:zsesf9t20
- Aさんは華のような女性だ。
それも過剰に派手だったり無駄に目立ったりするものではなく、もっと慎ましく
清らかで、ただそこにあるだけで周りを幸せにしてくれる種類の華だ。
この狭くて薄暗くて小汚い教室も、彼女がいれば緩やかで暖かいクリームのような
空気に満たされるのだ。
ところが最近、そのAさんに元気が無い。元々やせ形なのに、更に痩せたように見える。
ゼミも休みがちで、講義中も上の空なことが多い。
彼女はまるで夏の終わりの睡蓮のように、日を増す事に少しずつ萎れていくのだった。
近頃、隣町で若い女性ばかりが襲われるという物騒な事件が多発しているようだし、
彼女の身に何か良くないことがでも起こったのだろうか。
初めのうちはただ心配そうに見ていることしかできなかった僕も、ついには見てられなくなり
なけなしの勇気を振り絞って声をかけることにした。
これを機に親しくなれるかも…という不純な思いも無かったとは言えない。
が、何より僕にとって、彼女の笑顔が見れないということは死活問題なのだ。
「彼が消えちゃったんだ」と彼女は言った。
そりゃそうだ!彼氏くらいいるよなぁ、なんとなく分かってたよ。
…分かってたけどつらいもんはつらい。
それが消えただって?何も言わずに?こんな可愛い娘を残して?
何考えてやがるんだ!無性に腹が立ってきた。
いや、でもそんな甲斐性の無い男、いなくなってよかったよ。
君にそんな悲しい顔させるような奴のことなんか、さっさと忘れた方がいいよ。
などとはとても言えるわけもなくて、訥々と話す彼女の言葉に、相槌を打ち続けることしか
できずにいた。そればかりか、僕は遠慮するAさんを押し切ってまで強引に
「なくしもの探しのエキスパートを紹介する」という約束を取り付けてしまったのだ。
我ながら何たる逆走か。
そんなわけで、僕は久しぶりに寺生まれのTさんに連絡を取ることになったのである。
- 372 :Ⅱ:2010/01/16(土) 22:08:47 ID:zsesf9t20
- 「任せときな、破っと言う間に見つけてやるさ!」
40分遅れで待ち合わせの喫茶店にやってきたTさんは、悪びれる様子もなく
注文したナポリタンを豪快に食べ終えてから、高らかにそう宣言した。
このTさんは寺生まれで霊感が強く、除霊やまじない・霊視などを得意としている
少し変わった先輩だ。
少し変わったトラブルに巻き込まれた時に、男は日本酒一瓶、女は携帯番号を対価
として支払うことで、その類い希な力を貸してくれるというわけだ。
Aさんと、Aさんの番号が書かれたメモ交互に眺めながら、いやらしい顔をしている
Tさんを見ていると、心配事は尽きないが、
とにかく今は彼女の笑顔を取り戻すことが最優先だ。
「あの、そろそろ始めませんか?」と、いつまでもにやけてるTさんを促した。
「うむ、さっさっとやちまうか。頼んでたもの、持ってきてるよね?」
「はい」そう答えてAさんは鞄から数枚の写真と一着のスウェットを取り出して机に置いた。
「彼の写真と、彼が家に泊まりにきた時にいつも着てたものです…これで大丈夫でしょうか?」
おいおい、お泊まりまでしちゃってるのか!そうだよな…付きあってるんだもんな。
写真を見る限り、そんなに男前でもないと思うんだけどなぁ。
などと情けない僻みや嫉みに頭を巡らせている僕をよそにTさんは満足そうに頷いた。
「オーライ、これだけあればばっちりだ。まぁ見てな」
そう言うとTさんは打って変わって真剣な表情になり、机上のスウェットに手をかざし叫んだ。
「映屋ーーーっ!!」
- 373 :Ⅲ:2010/01/16(土) 22:13:22 ID:zsesf9t20
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・長い沈黙。
どうしたというのか?いつもならすんなり霊視を終わらせて、訊いてもいないことまで
べらべらとまくしたてるTさんが、額に汗を浮かべて固まっている。
僕もAさんもその場から動くことができず、固唾を呑んで見守るしかなかった。
それからどれくらい時間がたったろうか。
ようやく体勢を戻したTさんが煙草に火を付けながら口を開いた。
「すまん。…何も見えん」
「そんな!」僕はソファーから身を乗りだし、声を荒げた。
「どういうことですか!?何も見えないって…」
勇んでTさんを紹介した者として、このまま彼女を手ぶらで帰すわけにはいかない。
しかしTさんは食い下がる僕を遮るように頭を下げた。
「見えんもんは見えん。Aちゃん、申し訳ない」
Tさんに頭を下げられたAさんは、とても恐縮してしまっているし
その余りにも素直な謝りっぷりに、僕ももう何も言えなくなってしまった。
- 374 :Ⅳ:2010/01/16(土) 22:18:20 ID:zsesf9t20
- 何の収穫も無かったにも関わらず、Aさんは丁寧にお礼を言って帰っていった。
本当は駅まで送って行きたかったけれど、こんな状況で道中どんな話をしたらいいのかわからなかったのだ。
「Tさんでも失敗することあるんですね…」
僕はTさんを、そして自分を慰めるように呟いた。が、
Tさんは聞こえているのかいないのか、疲れた顔で紫煙を燻らせているだけだった。
これはTさんにも申し訳ないことをしたかな。それに明日からAさんと会うのがちょっと気まずいよなぁ…。
そんな事をなんとなく考えながら二杯目のコーヒーをすすっていると
Tさんがおもむろに、とんでもない言葉を発した。
「Aちゃんの『彼』な、死んでたわ」
「!!?」僕はコーヒーを吹き出してしまいそうになった。
そういうことだったのか!Tさんにはちゃんと視えていたのだ。悲劇的な結末が。
「…そりゃあ、彼女には言いにくいですよね」
「ん……まあな」と、なんとも歯切れの悪そうに答える思案顔のTさん。
そうなのだ、これを知れば彼女はもっと悲しむ事になる。
既に知ってしまった僕は一体これからどうすればいいのだろうか?どんな顔で彼女に会えばいいのか?
「それじゃ、行くか」僕の逡巡を断ち切るように、Tさんが立ち上がり言った。
いつものような力強さはないけれど、何かを決心したような、よく響く声だ。
「あ、帰ります?…今日はなんか、すいませんでした」
「何言ってんの、お前も来るんだよ」
「え?どこか行くんですか」
まだ頭の整理がついていない僕に、Tさんはまたとんでもない事をさらっと言う。
「え?遺体見に」
- 375 :Ⅴ:2010/01/16(土) 22:20:59 ID:zsesf9t20
- 「ええっ!!今からですか!?って僕も一緒に行くんですか!?」
「当たり前だろ。未発見の死体の場所がわかってるのに、ほっとけないだろうよ。
それにこれはお前が持ってきたヤマだろうが。俺だって本当は気が進まねぇんだよ?
多分もう腐敗始まっちゃってるだろうし。」
腐敗した死体。そんな事を聞かされたら余計に尻込みしてしまう。
でもこの人は、やると決めた事は他人がどれだけ拒んでも必ず実行する男だ。
僕は無駄と知りながらも、一縷の望みを賭けて別の提案をしてみる。
「そ、それならまず警察に連絡した方がいいんじゃないですか?」
「警察に何て説明すんだよ?『○×に死体がある気がするんで捜してみて下さい』
とでも言うのか?何にせよ一度現場には行かなくちゃならんだろ。
それに、タチの悪い自縛霊になってる可能性もあるしな。
経験上、こういうのは早めに対処するに越したことはない」
そう言い終わらないうちに、Tさんはもう僕の鞄を抱えて喫茶店の出口に
向かって歩き出していた。
もう観念するしかない。
僕は残されたレシートを握りしめ、急いでTさんの後を追った。
- 376 :Ⅵ:2010/01/16(土) 22:23:31 ID:zsesf9t20
- Tさんに連れてこられたのは、僕らの住む街から電車で1時間程度の○×市にある
鬱蒼とした雑木林だった。
そしてその林の奥深く、大きな枯れ杉の下に『彼』は眠っていた。無惨に朽ちかけた姿で。
Tさんによって掘り出された『彼』を見た瞬間、不覚にも、というか案の定というか、
僕は昼に食べたものをすべて土に還してしまった。
そのTさんはといえば、始めの内は顔をしかめて片目だけで発掘作業をしていたものの
今ではもう慣れた様子で死体やその周りをしきりに観察している。
よくやるよ。と思いながらもこわいもの見たさから、もう一度だけ恐る恐る
『彼』の方に目を向けると、土まみれでボロボロの衣服に、かなりの量の
赤黒い染みがついていることに気がついた。
「…これって…血ですか?」
極力平静を装って聞いたつもりだったが、自分の声が震えているのが分かる。
「うん、滅多刺しにされてるよ。ひどいもんだ」
「さ、殺人事件じゃないですか!!」
「まあな。でもそんなもん、こんな人気のない雑木林に埋められてる時点でわかってただろ?」
なんてことだ。彼女の大切な『彼』はただ死んだのではなくて、誰かに殺されて、しかも隠されたのだ!
「それだけじゃない。もっと面倒くさいことになってるぞ」
何がおかしいのかTさんは唇の端を上げ呟いた。
「ここに『こいつ』の霊魂は居ない。…とっくに成仏した、わけないよな。
こんな酷い目にあっといて」
- 377 :Ⅶ:2010/01/16(土) 22:27:01 ID:zsesf9t20
- 「…どいうことです?」
「こういった遺体の場合な、その霊魂は殺された場所か殺した人のところに居る
もんなんだよ。で、ここが殺された場所だ。なのに居ない」
「じゃあ、殺した人のところに行ったんじゃないんですか?」
「それが居なかったんだよ。だからてっきりここに居るのかと思ってた」
「居なかったって、会ったんですか!?Tさんは誰が殺したか分かってるんですか!?」
「まあな。本当何もかも視えてたよ、事件が起きる瞬間もな。寺生まれ舐めんなよ?」
Tさんは少しおどけて「破っ」のポーズをとってみせたが、すぐにまじめな顔に戻って話を続ける。
僕を更に混乱させる。
「それで、近頃この辺を騒がせてる女子大生連続殺人事件、そっちの犯人は多分『こいつ』だわ。
探してるみたいだな、自分を殺した人間を。被害者からしたらとばっちりもいいとこだけど」
「それじゃあ『彼』の霊魂は復讐のために街を彷徨って、自分を殺した人に似た女を殺してるってことですか?
つまり『彼』をこんな目に遭わせたのは、若い女…」
そこまで言って、自分がとても恐ろしい事を言ってしまった気がして口を噤んだ。
これ以上考えてはいけない。何も聞きたくない。でもTさんはそれを許さない。
「お前も流石にもう気づいただろ?誰が『こいつ』を殺したか」
「……見当もつかないです」
「頼むぜ、俺に言わせる気かよ。俺だって本当はこんなこと言いたかないんだ。
今日、俺が霊視してからここに来るまでに会った人物で、尚かつ『こいつ』と関わりのある
若い女性なんて、一人しかいないだろ」
- 378 :Ⅷ:2010/01/16(土) 22:30:53 ID:zsesf9t20
- 「違う!」それは違う。Tさんは間違っている。彼女のはずない。
あんな優しい娘がこんな酷いことをするわけがない!
「もし彼女が犯人なら、言われた通り『彼』の写真や私物を用意するわけないじゃないですか。
偽物を持ってくればよかったんだから!自分の首を絞めるような真似をするなんておかしい!」
「まぁ、俺が本当に霊視出来るなんて思ってなかったんだろうな。
知らない人間い、いきなり霊視してやると言われて、信じる奴の方が珍しいさ」
Tさんは諭すように言って、それからこう締めくくった。
「いや、もしかしたら本当に見つけてほしかったのかもな…」
その後のTさんの行動は迅速そのものだった。
Tさんが一度「破っ!!」と叫ぶと、死体が浮かび上がり、街のどこかを彷徨っていた『彼』の霊魂は消滅し
もう一度「破っ!!」と叫ぶと、死体は警察病院へ、自宅で眠っていたAさんは刑務所へと飛んでいった。
「後半部分は蛇足だったな…この話、もっとコンパクトにまとめられたはずだ」
自分の活躍ぶりを振り返り、反省点まで述べているTさんを見て
寺生まれってやっぱりスゴイ。心からそう思った。
追記を閉じる▲
- 360 :1:2010/01/11(月) 13:04:44 ID:mu+E9FM10
- 宵から勢いを増した風は、海獣の飢えに吠ゆるような音をたてて、庫裡、本堂の棟をかすめ、
大地を崩さんばかりの雨は、時々砂礫を投げつけるように戸を叩いた。縁板という縁板、
柱という柱が、啜り泣くような声を発して、家体は宙に浮かんでいるかと思われるほど揺れた。
夏から秋へかけての暴風雨の特徴として、戸内の空気は息詰まるように蒸し暑かった。
その蒸し暑さは一層人の神経をいらだたせて、暴風雨の物凄さを拡大した。
だから、ことし十五になる小坊主の法信が、天井から落ちてくる煤に胆を冷やして、部屋の隅に
ちぢこまっているのも無理はなかった。
「法信!」
隣の部屋から呼んだ和尚の声に、ぴりッと身体をふるわせて、あたかも、恐ろしい夢から覚め
たかのように、彼はその眼を据えた。そうしてしばらくの間、返答することはできなかった。
「法信!」
一層大きな和尚の声が呼んだ。
「は、はい」
「お前、御苦労だが、いつものとおり、本堂の方を見まわって来てくれないか」
言われて彼はぎくりとして身をすくめた。常ならば気楽な二人住まいが、こうした時には
うらめしかった。この恐ろしい暴風雨の時に、どうして一人きり、戸締まりを見に出かけられよう。
「あの、和尚様」
と、彼はやっとのことで、声をしぼり出した。
「なんだ」
「今夜だけは……」
「ははは」
と、和尚の哄笑いする声が聞こえた。
「恐ろしいというのか。よし、それでは、わしもいっしょに行くから、ついて来い」
法信は引きずられるようにして和尚の部屋にはいった。
いつの間に用意したのか、書見していた和尚は、手燭の蝋燭に火を点じて、先に立って本堂の方へ
歩いて行った。五十を越したであろう年輩の、蝋燭の淡い灯によって前下方から照し出された瘠せ顔は髑髏を思わせるように気味が悪かった。
- 361 :2:2010/01/11(月) 13:06:48 ID:mu+E9FM10
- 本堂にはいると、灯はなびくように揺れて、二人の影は、天井にまで躍り上がった。
空気はどんよりと濁って、あたかも、はてしのない洞穴の中へでも踏みこんだように感ぜられ、
法信は二度と再び、無事では帰れないのではないかという危惧の念をさえ起こすのであった。
正面に安座まします人間大の黒い阿弥陀如来の像は、和尚の差し出した蝋燭の灯に、
一層いかめしく照し出された。和尚が念仏を唱えて、しばらくその前に立ちどまると、金色の仏具は
思い思いに揺れる灯かげを反射した。香炉、燈明皿、燭台、花瓶、木刻金色の蓮華をはじめ、
須弥壇、経机、賽銭箱などの金具が、名の知れぬ昆虫のように輝いて、その数々の仏具の間に、何かしら恐ろしい怪物、たとえば巨大な蝙蝠が、べったり羽をひろげて隠れているかのように思われ、
法信の股の筋肉は、ひとりでにふるえはじめた。
「恐ろしい風だなあ」
和尚の言葉に法信はどきりとした。
「時に法信」
しばらくの後、和尚は突然あらたまった口調で、法信の方に向き直って言った。
「今夜わしは、阿弥陀様の前で、お前に懺悔をしなければならぬことがある。
幸いこの暴風雨では、誰にきかれる憂いもない。耳をさらえてよく聞いておくれよ」
和尚はその眼をぎろりと輝かして一段声を高めた。
「実はなあ、お前はわしを徳の高い坊主だと思っているかもしれんが、わしは阿弥陀様の前では、
じっとして坐っておれぬくらいの破戒無慚の、犬畜生にも劣る悪人だよ」
「えっ?」
あまりに意外な言葉に法信は思わず叫んで、化石したかのように全身の筋肉をこわばらせ
和尚の顔を穴のあくほどながめた。
「わしはなあ、人を殺した大悪人だ。さあ、驚くのも無理はないが、お前がこの寺に来る前に
雇ってあった良順という小坊主は、あれはわしが殺したのだ」
- 362 :3:2010/01/11(月) 13:21:54 ID:mu+E9FM10
- 「嘘です!嘘です、和尚さま、それは嘘です!どうぞ、そんな恐ろしいことはもう言わないでください」
「いや、本当だよ。阿弥陀様の前で嘘は言わぬ。良順は、表て向きは病気で死んだことになっているがその実、わしが手をかけて死なせたのだ。それには事情があるのだよ、深い事情があるのだよ。
その事情というのはまことに恥ずかしいことだけれども、これだけはどうしてもお前に聞いてもらわねばならん。わしは坊主となって四十年、その間、ずいぶん人間の焼けるにおいを嗅いだ。
はじめはあまり心地のよいものではなかったが、だんだん年をとるにしたがって、あのにおいが
たまらなく好きになったのだ。そうしてしまいには、人間の脂肪の焼ける匂いを一日でも嗅がぬ日があると胸の中が掻きむしりたくなるような、いらいらした気持になって、じっとして坐っていることすらできなくなったのだ。あさましいことだと思っても、どうにも致し方がない。
魚を焼いても、牛肉を焼いても、その匂いは決してわしを満足させてくれぬ。あの、したまがりの花の毒々しい色を思わせるような人肉の焼けるにおいは、とても、ほかのにおいでは真似ができぬ。
お前は、わしがこのあいだ貸してやった雨月物語の青頭巾の話を覚えているだろう。
童児に恋をした坊主が、童児に死なれて悲しさのあまり、その肉を食い尽くし、それからそれに味を覚えて、後には里の人々を殺しに出たというあの話を。
わしは、ちょうど、あのとおりに人界の鬼となったのだ。そうして、とうとう、そのために、良順を殺すようなことになったのだ。良順がしばらく病気をしたのを幸いに、わしはひそかに毒をあたえて、首尾よく彼を殺してしまった。まさか、わしが殺したとは誰も思わないから、ちっとも疑われずに葬式を出した。
しかし、彼が焼かれる前に、彼の肉は、ことごとく、わしのために切りとられたのだ。そうしてそのことは、もとより誰も知るはずがなかったのだ。
それから、わしがその良順の肉をどうしたと思う。さすがにわしもたびたび人を殺すのは厭だから、なるべく長い間、彼の肉の焼けるにおいを嗅ぎたいと思ったのだよ。そこでいろいろと考えた結果、ふと妙案を思いついたのだ。それはほかでもない、その肉の脂肪から、蝋燭を作ろうと考えたのだ」
- 363 :4:2010/01/11(月) 13:23:11 ID:mu+E9FM10
- 「蝋燭ならば坊主の身として、朝晩それを仏前で燃やしてにおいをかぎ、誰に怪しまれることもない。それに蝋燭にしておけば、かなり長い間楽しむことができる。
こう思って、わしはひそかに手ずから蝋燭を作ったよ。普通の蝋の中へ良順の脂肪をとかしこんで、わしは沢山思いどおりのものを作った。そうして毎日、わしはもったいなくも、勤行の際に、その蝋燭を燃やして、わしの犬畜生にも劣る慾を満足させておった。時には勤行以外のおりにも蝋燭を燃やして楽しんだことがある。だが今日まで、仏罰にもあたらず暮らしてきた。思えば恐ろしいことだった。
ところが、法信、わしの作った蝋燭には限りがある。毎日一本ずつ燃やしても一年かかれば三百六十五本なくなる。だんだん蝋燭がなくなってゆくにつれて、わしは言うに言えぬもどかしさを覚えたよ。
この二、三日、わしはなんともいえぬやるせない心細さを感じてきた。これではなんとかしなければならんと法信、わしは食べ物も咽喉をとおらぬくらい考え悩んだのだ。
ここにいま燃えているのが、良順の脂肪でつくった蝋燭のおしまいだ。わしは先刻から気が気でないのだ。法信、わしは良順の代わりがほしくなった。わしは、法信、お前を殺したくなった」
後ずさりする法信のふるえる腕を、力強く掴み、和尚は続けた。
「逃げようったとてもう駄目だ。この暴風雨は、人を殺すに屈竟の時だ。
泣いたとて、わめいたとて、誰にも聞こえやせん。お前はもう、蛇に見こまれた蛙も同然だ。いさぎよくわしの心を満足させてくれ。これ、どうかわしの不思議な心をたのしませる蝋燭となってくれ」
- 364 :5:2010/01/11(月) 13:28:12 ID:mu+E9FM10
- 和尚に腕をつかまれた法信は、絶大な恐怖のために、もはや泣き声を立てることすらできず
その場に水飴のようにうずくまってしまった。でも、今が生死のわかれ目と思うと、
その心は最後の頼みの綱を求めて、思わず歎願の言葉となった。
「和尚さま、どうぞ勘弁してくださいませ! わたしは死にたくありません、どうぞどうぞ、生命をお助けくださいませ」
「ふ、ふ、ふ」
和尚は悪魔の笑いを笑った。その時、暴風雨は一層つよく本堂をゆすぶった。
「これ、この期になって、お前がいくら、なんといっても、わしはもう容赦しない。さあ、覚悟をせい!」
こう言ったかと思うと、和尚は腰のあたりに手をやって、ぴかりとするものを取り出した。
「和尚さま、後生です、どうかその刃物だけは、どうか、御免なされてくださいませ! わたしは厭です、殺されては困ります」
この言葉をきくなり、和尚はふり上げた腕をそのまま、静かに下ろした。
「お前はそれほど生命がほしいのか」
「はい」
法信は手を合わせて和尚を拝んだ。
「それでは、お前の生命は助けてやろう。その代わり、わしの言うことをなんでもきくか」
「はい、どんなことでもします」
「きっとだな?」「はい」
「そうならわしの人殺しを手伝ってくれるか」「え?」
「お前を助ければ、その代わりの人を殺さにゃならん。その手伝いをお前はするか」
「そ、そんな恐ろしいこと」「できぬというのか」
「でも」「それならば、いさぎよく殺されるか」
「ああ、和尚さま!」「どうだ」
「ど、どんなことでも致します」「手伝ってくれるか」
「は、はい」「よし、それではこれからすぐに取りかかる」
「え?」「これから人殺しをするのだ」
- 366 :6:2010/01/11(月) 13:58:41 ID:mu+E9FM10
- 「誰を殺すのですか」
法信の問へ返答する代わりに、和尚は殺気に満ちた顔をして、左手で、阿弥陀如来の方を指した。
「それではあの阿弥陀様を?」
「そうではない。あの尊像の後ろには、今、この暴風雨に乗じて、この寺にしのび入った賽銭泥棒がかくれているのだ。 それをお前の身代わりにするのだ。さあ来い」
和尚は立ち上がった。が、法信が立ち上がらぬ前に、そこに異様な光景があらわれた。
阿弥陀如来の後ろから、「破っ!!」という叫び声が聞こえたと同時に、巨大な鼠のような真っ黒な怪物が青い光弾と共にさッと飛び出したのだ。
法信が、それを覆面の泥棒だと知るには幾秒かの時間を要した。
そしてその幾秒の間に、青い光弾が和尚の右肩を吹き飛ばしていたのだ。
「和尚さま!!」
不思議にもその時恐怖を忘れた法信が、こう叫んで、和尚に駈け寄ると、
和尚はぎゅッと彼の腕を掴み、今までとは似ても似つかぬやさしい顔をして言った。
「法信…勘忍してくれよ。今のわしの話した蝋燭の一件は、あれはわしがとっさの間にこしらえた話だよ。さっき…わしは阿弥陀様の後ろに、ちらッと動くものを見たので、さては、泥棒がこの暴風雨に乗じて賽銭を盗みに来たのだと知ったが、うっかりわめいては、先方がどんなことをするかも知れぬと思ったから…これは策略で追い散らすより外はないと、考えたのだよ…
刀でもふりまわされた日にゃ、二人とも殺されてしまうかもしれないからなあ…」
そう言い残して息絶えた和尚の懐から、ぴかりと光るものが落ちた。
呆然とする法信を余所に、賽銭泥棒はそれを拾い上げて呟いた。
「これは刃物なんかではなく、銀色の扇子だったのか。 成程、恐ろしい時には、物が間違って見える。まんまと騙されたよ」
寺生まれはやっぱり凄い。寺生まれの賽銭泥棒は心からそう思った。
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- 359 :本当にあった怖い名無し:2010/01/06(水) 22:18:44 ID:iaZUyqlL0 ?2BP(1)
- 「さあ なけ! ないて ルビーのなみだを ながすんだ!
ごうじょうなやつ! これでもか!」
ピサロ「ロザリー!き きさまら! ロザリーに なにをしたっ!?」
ロザリー「ピ…サロさ…ま……。 きて…くださったのですね……。
わたしの さいごの わがままを きいてください……。
どうか どうか…… やぼうをすてて この わたしと……。 ぐふっ!」
ピサロ「ロ ロザリー!
…………。
ゆるさんぞ! にんげんどもめ! たとえ わたしが どうなろうとも ひとりのこらず ねだやしに してくれん!」
Tさん「ちょっとまちな!あんた、うらむあいてがまちがってるぜ。それより、そのおじょうさんをみせてみな。」
Tさんはロザリーのしたいにめをやった。
Tさん「ん、ま、これくらいならもんだいないな。ピサロ、すこしはなれてろ・・・はァァァァァァァァーーーーーーッッッ!!」
ロザリーは いきかえった!
Tさん「ひとのふこうをみるとほっとけなくてな・・・よけいなおせわかもしれんが、こうしてやってきたわけだな。」
ピサロ「ザオリクでもロザリーのいのちをとりもどせなかったのに・・・どこのそうりょかぞんじあげないが、かんしゃする。てらうまれはすごいのだな。」
Tさん「ふふ、まあな。かのじょはだいじにしろよ。それと、こんかいのじけんのくろまくはにんげんじゃないぜ。ゆうしゃたちときょうりょくしてかいけつするんだな。あばよ!」
- 355 :本当にあった怖い名無し:2010/01/05(火) 05:12:20 ID:Z7k4mQSh0
- ルイズ!ルイズ!ルイズ!ルイズぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ルイズルイズルイズぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!ルイズ・フランソワーズたんの桃色ブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
小説12巻のルイズたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
アニメ2期放送されて良かったねルイズたん!あぁあああああ!かわいい!ルイズたん!かわいい!あっああぁああ!
コミック2巻も発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!コミックなんて現実じゃない!!!!あ…小説もアニメもよく考えたら…
ル イ ズ ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ハルケギニアぁああああ!!
この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵のルイズちゃんが僕を見てる?
表紙絵のルイズちゃんが僕を見てるぞ!ルイズちゃんが僕を見てるぞ!挿絵のルイズちゃんが僕を見てるぞ!!
アニメのルイズちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはルイズちゃんがいる!!やったよケティ!!ひとりでできるもん!!!
「破ぁっ!!」
その途端、僕ははっと我に返った。
- 356 :本当にあった怖い名無し:2010/01/05(火) 05:14:44 ID:Z7k4mQSh0
- 僕の手にはコミックが握られており、ルイズたんが笑顔を振りまいていた。
しかし僕は冷静に呟いた。「これは…、絵だ…。」
するとTさんがぼくの肩に手を乗せた。
「さっきのは絵巻物に取り付いて、人の魂を引きこませ、抜け殻にしちまうってぇケチな悪霊さ。
もともとこういう絵には人の心が宿るもんだが、まぁほどほどにするこったな。破っ破っ破」
そう言って、僕が集めたエロラノベをちゃっかり2,3冊持っていったTさんの背中を見て、やっぱり寺生まれはスゴイ、と思った。
- 347 :本当にあった怖い名無し:2009/12/31(木) 01:00:27 ID:N+H3sWYaO
- 俺は久々に嫌な夢を見た
ノコギリを持った男が俺の部屋に立っている・・・
俺は恐怖のあまり動くことが出来ず、ただその男を眺めている。
すると男は突然ノコギリで家の柱を切り出した!
思わず「やめろ!!」と叫ぶ俺
するとゆっくりこちらを振り返る男
その顔は、見るも無残に潰されて顔中に釘が打ち付けてある
「お前もこうなりたいのか?お前もこうなりたいのか?
してやろうか?してやろうか?」
ゆっくり俺に近づく男・・・俺は金縛りにあったように動けず、そして・・・
男のノコギリが俺の顔に・・・
そこで目が覚めた
嫌な夢だ、後味が悪い・・・俺は水を飲もうと立ち上がった
俺の目に飛び込んできたのは、無残にも傷つけられた家の柱!
俺は恐怖で腰を抜かしてしまった、あの男は現実に!!
そして次はホントに俺の顔が刻まれてしまうのではないかと
その日のバイトで、俺は寺生まれで霊感の強いTさんにその夢を相談してみた
しかし、Tさんは「しょせん夢だろ?」と冷たい対応
仕方がなく俺は教会育ちで神父のKさんに相談する事にした
- 348 :本当にあった怖い名無し:2009/12/31(木) 01:02:50 ID:N+H3sWYaO
- しかしKさんは俺に「大丈夫です、あなたには私と聖なる力が付いています」とだけ言って帰って行った
次の日、不安ながらも朝の早かった俺は床に付いた、そこでまた夢を見た
「つづき、つづき、つづき!つづき!つづき!つづき!」
またあの男だ!!俺は夢の中でKさんの事を信じて必死に恐怖に耐える事しか出来なかった
しかしKさんは一向に現れない・・・男はついに俺にノコギリを振りかざした。
もうおしまいだ!!
そう思った次の瞬間、Kさんが部屋の窓を派手に割って俺の目の前に現れた。
「あいたた…やはり派手なアクションは私向けじゃありませんね」
Kさんに気付いた男は、背を向けた彼の頭目掛けてノコギリを振り下ろした。
「Kさん!危ない!!」
俺がそう叫ぶと、なんとKさんは素手でノコギリを受け止めた。
「神の御加護があらん事を・・・」
Kさんがそう呟くと、男の動きが凍り付いたように静止した
「ア ー メ ン」
Kさんが胸の前で十字を切りながらそう唱えると、男の体はまばゆい光に包まれて跡形も無く吹き飛んだ
Kさんは手に刺さったノコギリを抜いから、血まみれの手を隠すようにしてこちらを向いて微笑んだ。それから俺は夢から目覚めた
その話をTさんに話すと
「全身を吹き飛ばすとは・・・あいつまた強くなりやがったな・・・」Tさんはタバコに火を付けながらそう呟いた。
「困っている人を見捨てるとは、貴方も堕ちたものですね」
どこからともなく現れたKさんがTさんに言った。
「俺だって悪霊払い三昧で忙しいんだよ。それよりお前、その手はどうした?」
「これは・・・料理中にちょっと手を滑らせてしまいまして・・・ね」
寺生まれもスゴイけど、教会育ちもスゴイ、俺は新しい感動を覚えずにはいられなかった。
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- 346 :本当にあった怖い名無し:2009/12/27(日) 03:15:37 ID:eC9muqkl0
- 終電が過ぎてしまって困っていた。
「あぁ、どうしよう」そんなことを何度も呟いていた。
ふと気づくと、目の前に黒いスーツを着た男が立っていた。
その男は俺と目が合うと驚いた表情をして俺にこう言った。
「お前さん、この前の・・・」
俺は考えた。見覚えがない人間にそんなこと言われても。
10秒間の沈黙があった。何故か俺はただならぬ危機感を感じていた。
「お前さん、この前の」
男が再びその言葉を口にしたとき、俺は気づいてしまった。
俺はその場を駆け出した。必死に走った。
どこかで「破ァー」という声が聞こえたが、構わず走る。
もう大丈夫だろうと思って後ろを振り向くと男の姿はなかった。
そして、作務衣を着た男が現れて、こう言った。
「大丈夫、あいつは悪霊じゃない。ただの人間だ。
寺生まれの俺が追い払おうとしても、消えなかったのだから」
あの「破ァー」男だ。
俺は呟いた。
「あぁ、どうしよう」
数日後、俺が黒スーツ男に殺されたのは言うまでもない。
結論:寺生まれ男も当てにならない。
- 341 :本当にあった怖い名無し:2009/12/25(金) 22:48:19 ID:8KRlAnBzO
今回は俺の尊敬する、寺生まれで霊感の強いTさんが冒頭から珍しく登場する。
-二日前-
T「お前さ、俺んち来たことなかったよな?」
俺「はい、何度かお参りには行ってますけど」
T「明日BBQやるから昼に来いよ。それに最近よく憑かれるみたいだから祓いもしてやる」
俺「ありがとうございます、じゃまた明日」
-当日-
俺は約束通りTさんの寺へ向かった。階段を登りきり境内が見えてきた辺りでいきなり人がふっ飛んできた。
この寺生まれで霊感の強いTさんだ!とっさにTさんを抱き止めると
前方からサングラスをかけたコワモテな50台のおじさんが現れた。T「クソ・・親父のやつ」
俺「はいっ!?」
なんとTさんの親父さんだったのだ。親父さんは俺に気付くと
「お客人!BBQちと待ってね!説教してるから!」と言った
父「オラそんなもんか!こいや!」
Tさんは勢いよく走っていく。今までに何度か見た青い光弾が飛びかう。漫画でも見ているようだ
俺なんかに全てを見切れるはずはなかったが、Tさんの放った光弾の1つが親父さんの頬をかすり、血が流れた
- 342 :本当にあった怖い名無し:2009/12/25(金) 22:51:25 ID:8KRlAnBzO
- その時だった。大気が震え、大木はざわめき、小鳥が一斉に飛び立ち、親父さんのサングラスが割れた
T「虎を起こしたか・・・」
親父さんは無言のまま首を鳴らす
そして突然叫んだ!!!
「葉ぁっ!」
大木から無数の葉が飛び、Tさんを中心に渦を作る!
「刃いっ!!」
BBQ用の刃物数本がTさん目がけ飛んでいき、シャツの端を貫きTさんごと背後の大木に突き刺さる
身動きが取れなくなったTさんを睨みながら、親父さんは半身になり右の脇腹辺りに両手を構えた
小さな声で呪文か何かを唱えると、親父さんの両手に今まで見たことがない黄金の光弾が見えた
父「破ぁぁぁ・・・」今にもそれが放たれようかとした時
Tさん「参った!」
Tさんの声が響くと、親父さんは構えを解いた。
落ち着いた親父さんに何があったのかを尋ねると、親父さんは
父「イヤ、俺らみたいのは極力人前で力を使っちゃいかんのよ」
「なのにコイツはサーフィンしながら除霊したり、電車を止めたりやりたい放題だから喝を入れたんだよ。すまなかったねお客人」
親父さんはそう言うとやさしい笑顔を初めて見せてくれた。
T「ま、そういうわけだからお前も霊に絡まれないようにしろよな」
俺はそれからお祓いをしてもらったが、2人のバトルでBBQ道具はなくなっていたのは言うまでもない
3人で行ったラーメン屋で、今日起こった信じられない出来事を思い出しながら
寺生まれで片付く話じゃない、そう思った
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- 334 :。:2009/12/24(木) 12:24:53 ID:kZb3bm7bO
- 2年ほど前だろうか。僕は彼女に指輪をプレゼントしようと歩きで宝石店に向かっていた。賑やかな通りに出るまで、割と細めの道が続き踏み切りが1つある。
普段は車が多いのだが、やはり特別なものを買うのだから、自分の足で向かいたかった。
踏み切りが目の前に見えてくると、カンカン鳴りはじめたが上機嫌な僕は小走りで駆け抜けようとした。
ガッ!・・・!?突然足に何かが引っ掛かり、転んでしまった。 足元に目をやると両足首が青白い手に捕まれている。
とてつもない力で、とても振りほどけない。まだ電車は見えない。
僕は自由な手を使って向かいで踏切待ちをしている車に向かって必死で手を振った。しかしまるで僕の存在がないものであるかのように気付いてくれない。
今まで数回心霊体験をしたせいで、変に付け狙われる体質になっちまったのか・・・そんなことを心で嘆いている内に左右から電車がやってきた。やはりブレーキをかけるそぶりすらない。
「見えてないのかよ!!」
諦めて死を覚悟した。
すると僕の眼前に大の字に立ちはだかる人が!!寺生まれで霊感の強いTさんだ!上下スウェットのTさんは何か呪文のようなものを小さい声で唱えると両手を左右にビシッと広げ「破っ!」と叫んだ。
すると左右の電車の前に青く光る大きな壁が現れた!僕の足首をつかむ感覚もきえた。壁にぶつかる衝突音もなく電車の勢いがピタリと止まった。するとTさんはため息を吐きながら腰の抜けた僕を抱え上げ、踏切を出た所で再び「破!」と叫んだ。
その途端電車がすごいスピードで通過していった。
「Tさん、なぜここに?」
Tさんは「ダイヤを乱しちまったかな?ハハ」と言いながらジョギングしていった。
その後ろ姿を見て、寺生まれはスゴい。改めてそう思った。