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オレは小さい頃、家の事情でばあちゃんに預けられていた。
当初、見知らぬ土地に来て間もなく当然友達もいない。
いつしかオレはノートに、自分が考えたすごろくを書くのに夢中になっていた。
それをばあちゃんに見せては
「ここでモンスターが出るんだよ」
「ここに止まったら三回休み~」
ばあちゃんはニコニコしながら、「ほうそうかい、そいつはすごいねぇ」と相づちを打ってくれる。
それが何故かすごく嬉しくて、何冊も何冊も書いていた。
やがてオレにも友達が出き、そんなこともせず友達と遊びまくってたころ
家の事情も解消され、自分の家に戻った。ばあちゃんは別れる時もニコニコしていて、
「おとうさん、おかあさんと一緒に暮らせるようになってよかったねぇ」と喜んでくれた。
先日、そのばあちゃんが死んだ。89歳の大往生だった。
遺品を整理していた母から、「あんたに」と一冊のノートをもらった。
開いてみると、そこにはばあちゃんが作ったすごろくが書かれてあった。
モンスターの絵らしき物が書かれていたり、何故かぬらりひょんとか
妖怪も混じっていたり。「ばあちゃん、よく作ったな」とちょっと苦笑していた。
最後のあがりのページを見た。「あがり」と達筆な字で書かれていた、その下に
「義弘(オレ)くんに友達がいっぱいできますように」
人前で、親の前で号泣したのはあれが初めてでした。
ばあちゃん、死に目に会えなくてごめんよ。
「破ぁぁぁぁぁぁーーん!」
すると突然、一人の男が泣きながら我が家突入してきてこう言ったんだ。
「俺、寺生まれのT・・・友達になろうよ!」
ばあちゃん、もう寺生まれの友達ができたよ、ありがとう。
409 名前:1/3[age] 投稿日:2009/05/18(月) 21:22:12 ID:rVb69sug0
深夜になって忘れ物に気付き、学校に戻った。真っ暗になった3階の廊下を歩いていると、
俺の足音に合わせるかのように背後から「テケテケテケ…」と足音がした。
驚いて振り返ると、なんと下半身がない女の子が猛スピードで迫ってきているではないか!
「うわぁーーーーー!」
女の子は俺の悲鳴ににやりと笑うと、更にスピードをあげ、目の前まで迫ってきた。
俺がわなわなと震えたまま立ちつくしていると、彼女はついに僕の足下へ!
俺は思わず叫んでしまった。
「あ、あんた、どうしたんだよ!?車椅子は!?」
女の子は手は床につけたまま、大きな瞳できょとんと俺を見上げていた。
俺は更に怒りで体が震えた。
こんな可愛い子の車椅子を隠して、こんな深夜になるまで置き去りにするなんて。
あんなに急いで這ってくるなんて、よっぽど心細かったに違いない。俺はいじめは大嫌いだ。
「ちょっと待ってろ!」
俺は保健室まで走り、大急ぎで車椅子を持ってきて、彼女を座らせてあげた。
「もう大丈夫だ。ひどい奴がいるもんだな」
「…あ、あんた、怖くないの?」
「うちのじいちゃんも片足がなくて車椅子を使ってるからな。全然平気さ」
「そうじゃなくて!あたしは!」
「いいって!足を無くした時の話なんてしなくても…」
「いやだからそうじゃなくて!あたしの顔とか怖くないの!?」
「へ?別に怖くないけど…。つかむしろ可愛い方じゃん?」
女の子はみるみる内に顔を赤らめ「ば、ばっかじゃないの!」と言って車椅子から飛び降り、
来た時と同じように手だけ使って走り去ってしまった。
410 名前:2/3[age] 投稿日:2009/05/18(月) 21:23:58 ID:rVb69sug0
翌日女の子のことが気になった俺は、また深夜に学校へ行ってみた。
昨日と同じように廊下をゆっくりと歩くと、また背後から「テケテケテケ…」と足音がする。
振り返って、やあ、と笑顔を向けると、女の子はぱぁっと嬉しそうな笑顔を浮かべたが、
はっとしたようにまた昨日のようなにらみ顔に戻って、俺の足下まで無言で這ってきた。
「べ、別にあんたに会いたくて出てきたわけじゃないのよ。
あたしは深夜に廊下を歩く人間を、こ、怖がらせたいだけで」
「俺は怖くないって言ったじゃん」
「い、いやだから、それをどうにか怖がらせようと思ったの!」
「無理だよ。あんたみたいに可愛い顔でいくら驚かせてきたって、全然怖いと思えないって」
「な、なによ!ばかにしてるの!?」
「バカになんてしてないよ。ほんとに可愛いもん。俺の好みだし」
「…あ、足がないのに?」
「だから俺そういうの気にしないから」
「深夜にしか出てこれないんだけど…」
「俺夜型だし全然平気。むしろ助かるくらい」
そう言ってしゃがみ込んで彼女の顔を間近で見た。色が白くて本当に可愛い。
彼女はびっくりしていたが、俺が笑うとちょっと笑ってくれた。
間近で見る笑顔は正しく天使のようだった。
しかしまたしてもはっとしたように必死で恐い顔を作り、俺を睨む。
その顔が赤らんでいるように見えるのは目の錯覚じゃないと思う。
411 名前:3/3[age] 投稿日:2009/05/18(月) 21:30:47 ID:rVb69sug0
「へ、変なやつ!」
そう言って彼女はまた走り去る。しかしふと立ち止まり、くるりと振り返って俺に叫んだ。
「いつもは1階の廊下にいるから…。べ、別にあんたなんか来なくてもいいけど!」
それ以来毎晩1階の廊下で彼女と会っていますが、これはデートじゃないんだそうです。
まあ、俺もキスするまではデートとは呼べないかなと思ってる、と彼女に言うと、
彼女は顔を真っ赤にして「ばか…」と呟いて目を潤ませて俺を見詰めてきます。
そして眼をそっとつむってきたので、この流れは・・・と俺も覚悟を決めました。
深呼吸をすると彼女の肩を掴み、そっとその唇に・・・・
「破ァ!」
突如後方から放たれた青白い光が彼女を吹き飛ばしました
彼女は光に照らされると少し悲しげに笑い、口だけで「バイバイ」と言ってそのまま消えて行きました。
消える最後の瞬間に『一緒にいられて本当に楽しかったよ・・・ありがとう』と声にならぬ声が聞こえた気がした。
突然の別れに茫然とした俺の肩を部活の先輩であるTさんがぽんと叩いた
「危なかったな・・・いや、いろんな意味で危なかった」
気がついたら俺はTさんの上に馬乗りになると、泣きながら全身全霊を込めて殴りつけていた。
先輩だからって全てが許されるわけじゃない。俺は彼女との思い出を胸にそう思った。
追記を閉じる▲
バイト先の後輩の家に幽霊が出るようになったらしくてさ「一人じゃ怖いから泊まりに来て!」
って頼まれたんだ、昨日。
女の子だったら良かったのにそいつ191cm体重115kg位で丹波文七似なんだよ… で、
幽霊は猫に弱いって聞いたからわざわざ姉ちゃんち行って猫借りてきたの。
でもエルバイラ(猫名ね)は産まれてからずっと家で育った猫で
野生の欠片もない超チキン猫でさ籠から出した途端
『どどどこでしゅか!ここ知らないとこじゃないですかぁ!やぁのやぁの!
ここやぁの!まりちゃーん、まりちゃーん!(←姉)』
みたいな感じで逃げ回りガクガクとキッチン隅で固まってしまったんです。
借り物だし文七も猫好きだから「おいでーエルバイラおいでー」
って餌やろうと近づいたら、まぁ失禁しそうに怯える怯える。
そんな事を42回程繰り返して段々エルバイラがヤバい状態に!
普段使わない体力を消耗したせいかストレスのせいか
小刻みに震えだしてゲロを吐き出したんです。
こらヤベェと近づくと狂ったように暴れだすしホントにどうしよかと…
そしたら壁からちゅる、って感じで寺生まれで霊感が強いTさんが出てきて
エルバイラの背中を優しく撫ではじめたんです。
俺と丹波は思わず「ヒィっ!?」って抱き合っちゃったくらいビックリした。
生で寺生まれのTさんを見たのは初めてだったから実は少しチビった。
エルバイラも一瞬ビクゥ!ってなったけど手を通して慈しみの気持ちを感じたのだろう、
次第に緊張を解いてゴロゴロと丸くなったりTさんの手を抱えて
ネコキックをしてジャレたりし始めた。
端から見ててもそれはもうよく分かる程にTさんの手は慈愛に満ちた動きをしていた。
良かったね、エルバイラ。やがて疲れたのか寝てしまうエルバイラ。
俺が腰が引けながら回収しようと近づくとTさんはにゅっと
俺の方に向かいシッシッみたいな仕草をされた。
とりあえずエルバイラを助けてくれたお礼におずおずと盛り塩を差し出したがスルーされた。
寺生まれでもやっぱり猫好きなんだ、俺は改めてそう思った。
俺が中学生の時の話。
その日学校終わった後、友達のA、Bが家に遊びに来てて、まあ普通の話してました。
俺の部屋は二階。
日が沈んだ頃に、そろそろ帰るか~て二人が話始めた時、
バァンと物凄い勢いで部屋の扉が開いた。
ひぇええ!?て固まってたら、そこに立っているのは寺生まれで霊感の強いTさんだった。
TさんはBを静かに睨みつけて(てゆーか、Tさん、アンタどこから入ってきたんだよ!)、
「…猫13匹。クソガキ、お前どうすんだそいつら。
もう体出来始めてるぞ。」て一言。
瞬間、部屋の中が電気はそのままなのに薄暗くなって、
生乾きの犬からするような、生臭い臭いが充満した。
おええって口押さえて屈み込んだら、Bの足元に見えた。
もう内臓とか全部ぶちまけたような、三毛だの黒だの茶色だのの
血にまみれたグッチャグッチャの死体。本当にグロテスク。血の泡まで浮いてるし。
「おい、お前二度とうちに来るなよ。」
Tさんが言い捨てて扉を閉めていなくなると、不思議な事にもとの俺の部屋に戻った。
顔面蒼白のAと顔を見合わせていたら、Bが床にへたり込んで言った。
「良いストレス解消法だったんだ…。なんか、
甘えてくる猫を残酷な方法で殺せば殺すほどスッキリして…。」
立ってる俺からはBの表情は見えなかったけど、その背中は震えてた。
Bは真面目君を絵に描いたような奴で、
普段優しいしとてもそんな事をするような奴には見えなくて、
心の底からゾッとしたのを覚えてる。
その後はBと何となく疎遠になった。
それから徐々にBの様子もおかしくなりだして、
独り言をブツブツ言ったりとか壁に向かって謝ったりとか。
顔つきも憔悴しきっておっさんみたくなってたし。
中2の春にやつは転校してしまったんでその後は知らない。
最近になって、Tさんにあれは何とか出来なかったのかって聞いた。
「何とでもなったけど、面倒くさいだろ。」
とシラッと言われて、俺はBや猫の怨念(?)よりも、
勝手に俺の部屋に入ってくる寺生まれのTさんの方が怖いと思った。
今住んでるアパートに地味な女の人が出るんだけど、(そのお陰で家賃半分以下だし)
元々実家が古戦場の近くにあったからしょっちゅう血まみれのオッサンとか見てたせいで、
出てきても「はいはい乙乙」とか「テーブルの上のバナナ食っていいよ」とか
「今日も美人っすねwwwフヒヒwwwサーセンwww」的な扱いをしてたんだ、特に害も無かったし
で、情けない話なんだけど彼女と些細な事で大喧嘩して部屋でメソメソしてる所に、
いつもより早く幽霊登場。(いつも俺が寝てる3時ぐらいに出てくるんだけど、この日は1時位)
いつも部屋の端から出てきて部屋の真ん中のテーブルの上に乗せてある
食い物を物色してからまた元の部屋の端に消えていくんだけど、
その日は何故かメソメソしてる俺の方まで歩いてきて
「そんなに後悔してるんならさっさと謝っちまえよ」
「今すぐにでもメールしとけって」的な説教を
延々と小一時間されて、結局2時ごろ監督されながら
彼女にメールを打つことになった
翌朝、枕元に放置されてた携帯にTさんからの
「破ぁ! 危なかったな」みたいなメールが届いてた
深夜帯の妙なテンションと幽霊の80年代センスで監督された送信メールを、
寺生まれで霊感の強いTさんに誤爆してしまい
そのあと俺はかつてないほど悶絶するハメになったっていうのはまた別の話
「やっぱりキミなしじゃ生きていけない」だっておwwwwwww
俺の誕生日に、ホームパーティを開いたわけ。
その時、家の中で皆の写真をとってみたら、変なものが映っちゃったのよ。
背後の押入れから見知らぬ真っ白い顔して真っ赤な目の女が顔を出して、こっち睨みつけてんの。
これやべーじゃんってことで、寺生まれのTさんに写真を鑑定してもらった。
そしたら、「この写真からは霊気を感じない。心霊写真でも何でもないよ。」だとさ。
あ~あ、ビックリさせやがって全く。
「破ぁ?霊気を感じないってことは実在してるってことじゃねーか。」
その言葉に俺は耳を疑った、すげぇ震えが止まらなくなってさ。
だから助けてくれよって言ったんだけどさ、
「俺は霊的な物以外には干渉しない主義なんでね。」と、軽くあしらわれた。
寺生まれってときどきひどい、俺はそのときそう思った。
3年ほど前の話です。
大学時代の仲の良い仲間5人で100物語をやりました。
一人蝋燭を20本用意して畳6畳の部屋の隅にそれぞれ散らばり、開始しました。
50話目くらいから背筋が寒くなりはじめました。
80話過ぎたあたりで部屋の空気が重くなりました。
90話で明かに普通では無くなってきたのですが、誰も話をやめません。
というか、止めれなかった感じがします。
96、97、98、99、と進むにつれて部屋の空気が重くなりました。
もういつ”出て”もおかしくありません。ついに100話目になりました。
後で聞いた話ですが、100話目を話したTさん以外は誰もが心から
100話目を話さないでくれと祈ってたそうです。(勿論私も)
無情にもTさんは話はじめました。心身ともに凍る話を・・・・・
A君という小学生がいました
A君は何というか勘に優れていて、悪い予感などは殆ど当たっていたそうです。
ある日A君は、学校帰りにこれまでに感じたことが無いくらいの悪寒に襲われました。
周囲を見回しても危険な物や人物は見当たりません。
恐ろしくなったA君は急いで家に帰ることにしました。
無事家に着くと、母が既に帰ってました。
A君の家は共働きなので、いつもは早くても母親の帰りは19時近くでした。
不思議に思いながら居間に行き、台所にいる母親に「ただいまー」と声をかけました。
家に着いた安心感と母親が既にいることもあり、A君は悪寒のことをすっかり忘れていました。
母親は台所から振り返り笑顔で「おかえりー」と返してきました。
やけに機嫌がいいみたいです。 どうしてこんなに機嫌がいいのか不思議に思い、
台所へいってみると・・・ A君の大嫌いな”ふ”の味噌汁が!
この時点で私は「?え?え?あれ?」といった感じでした。
部屋の重い空気なんぞ気にもならないほど頭に??
寺生まれで霊感の強いTさんが最後に「今日ふのみそしる~~」と言うと
誰も点けてないのに勝手に電気がつき、風が吹いて蝋燭の火が消えました。
しかしそれ以上は何もおきませんでした。
寺生まれのダジャレってものすごく寒い、改めてそう思いました。
昨日から寒い夜が続いていたので俺はベッドに猫(♀三歳・名前はシルモンド)
を引っ張りこんで寝ていた。
約二時間ほど前、大体深夜三時くらいに俺は金縛りにあった。
ベッドのすぐ横に女が立っていた。
顔の右上が弾け飛んだザクロみたいにグチャグチャになっていて
、残った左目がすごい殺気と怨念をはらんでいて、ぶっちゃけもう心臓止まりそうだった。
必死にお経を唱えるが女は全然平気。
シルモンドが追い払ってくれるかと期待したいが、
いかんせん日頃の愚猫ぶりでは無理だろう。
そうこうしてるうちに女がゆっくり俺の首に手をかけてきた、
妙に湿った感触と原色ピンクのマニキュアが生々しく、マジに死を覚悟した。
ぐいぐいと絞められて意識が白む、もうダメ、と思ったとき少し手の力が弛んだ。
うっすらと女をチラ見すると女の視線が俺の脇に注がれてる。
そこはシルモンドの定位置だ。シルモンドが起きた?
でかしたシルモンド!はやく追っ払え!とすがるがどうも違うらしい。
女はチラチラとシルモンドを見ながら俺の首締めを再開。
しかし明らかに身が入ってないらしく全然力が弱い。
挙げ句に片手を離してシルモンドをナデ始めた気配。
女の顔はもう完全に猫に向いているし、妙にニコニコしてる。
お義理で俺の首に置いてた右手(シルモンドに気付いてからは
絞めるってよりは置く感じ)もシルモンドに向かい何やら肉球を触って遊んでいるような仕草。
俺はほったらかしにされ、ホッとしつつ金縛りのまま二時間。
女は何時の間にかいなくなってました。
本当についさっきの出来事です。
信じられない。
今まで築いた価値観が崩れるような気がする。
今まで心霊現象に遭遇した経験のない俺は昨日の事は
夢だと言い聞かせて忘れるつもりだった。
起きたときにシルモンドが少し湿ってたのも気のせいだと決め付けた。
だがやはり怖いものは怖い。
今日は一階の客間で寝ることにした。
「今日は私がシルモと一緒に寝るのー!」と駄々をこねる中学生の妹を蹴り倒して
シルモンドを確保しつつ眠りにつく。
が、寝れない。
またあの女が来たらどうしよう?もしシルモンドが目当てなら
妹に押しつけといた方が良かったのでは?
などと考えながらビクビクしてるうちに時計は三時を回った。
つい先程の事だった、二階から「ヴヴォゥホゥオオォォォーーッ!」と野獣のような咆喉が二階から!
間違いない、姉だ。
慌てて部屋に行くと姉は般若のような顔でメロンパンを振り回していた
落ち着くのを待って話を聞くと―
課題のレポートを書いていた姉は三時のおやつ(夜光性の姉は昼と深夜の二回、
必ずおやつにメロンパンを摂取する)に大好物のメロンパンに
ウキウキとかぶりつこうとした瞬間に金縛りになった。
霊感が弱い姉だが、その時ばかりはなんとも言えぬ嫌な気配を感じたという。
机の横の姿見を見るとピンクのワンピースを着た長髪の女が立っていた。
女はふらふらと部屋を徘徊したりベッドをぽふぽふ触ったり、
何かを探しているようだったと姉は語る。
気性の激しい姉は段々とムカついてくる
『メロンパンタイムを邪魔したうえに金縛っといてシカトかよっ!』と。
姉は子供の頃、襲ってきた野犬を殴り殺しかけた程の兵(つわもの)。
気合い至上主義者の姉は金縛りなど気合いで粉砕せんと前述のオタケビをあげた。
女はビックーン!と肩を縮め姉を怯えた目で振り返った、
そこへ飛び掛かった姉は振りかぶったメロンパンを叩きつける!…という話だった。
正直、誇張癖の姉の言うことだけに全部は信じられないが、
きっとシルモンドを探していたのだろう。
姉いわく顔は普通っぽかったらしい。
シルモンドの為にオメカシしてきたのか?…少し気の毒
シルモンドは今も丸まってぐっすりと寝てる。
そして俺はこの寒空に寺生まれで霊感の強いTさんがアルバイトをしている
デイリーヤマザキまでメロンパンを買いにパシッている。
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「もしもし? もしもし? もしもしもしもし? ももっももっも、もしもしもしもし?
あたしメリー、あたしメリー、あたっしあたし、あたたたたたあたっしメリー、
メリー、メメメメメリー。 あなたのあなたの うしろにうしろに
すぐすぐすぐすぐ後ろ 後ろに後ろに いるYO!」
「マジかマジかよ OK,OK,CHECK’IT ALL! 今日の恐怖は狂気の凶器!
背中の後ろに驚愕教師! いつも心に侠気と定規! だけどメリーにゃ首ったけ!
OKいいぜ応えるぜ、お前の心に応えるぜ! 背中を隔てたお前のLOVEを
俺のLIVEで満たしてやるぜ!
ALL RIGHT,いま来いすぐ来いやって恋!
お前のFACEをNICEに染める、俺の心を受け取れYO!」
「ふふふ・・・なかなかやるじゃない・・・!」
「へっ、お前のシャウトもイカしてたぜ」
「でもこのラップ勝負・・・貴方の勝ちよ。
「なに・・・勝ちを譲る気か!?」
「・・・惚れた相手がラッパーじゃ、惚れた時点で負けじゃな「破ぁ!!」ッきゃあぁぁあぁ!!」
「メリー!?」
「危なかったな、呪い殺されるところだった。何なら俺がラップ勝負の続きを引き受けるが?」
寺生まれって空気読めない、改めてそう思った
今は昔。
頃は秋。友人Aと上高地へ行った時の事。
休日でもあり、そこは我々も含めた観光客でいっぱいだった。
その賑わしさをものともせず、梓川、河童橋の向こうに見える穂高は
相変らず凛として美しい。
少し早い食事を済ませ、遊歩道へ行ってみると、
初めて穂高を見て感動モードに突入しているAはもう何を見ても“嬉しい状態”である。
「あ、さかな!」
歓声を上げ、私より先に2、3歩川に近づいたAがふいにその場にしゃがみ込んだ。
「どうした?」
あわてて駆けより、その体に手をかけると異様に冷たい。
振り仰いだAの顔は青白く、唇に至っては紫色に近い。
「なんか、腹へって、寒いんだ…」
か細い声でAはそう言ったが、食事をして未だ20分もたっていない。
あれほど人がいたはずなのに、なぜか周囲には誰もいない。
「だめだ…」
そして、へたり込んでしまったAの不気味なしゃがれ声。
「ひもじいよォ…」。
私はぞっとした。
違う、いつものヤツじゃない。
これはダルだ!子供の頃、年寄から聞いたダルに違いない。
「山へ入った時、何でもいいから食べ物は一口残せ。山にはダルがおる。
ダルに取っ憑かれたら腹が減って動けんようになって死んでしまう。
そん時にな、何でもいいから口に入れたらダルが離れて助かるんじゃ。
だから、山で弁当使う時は必ず一口残せ」
そう、言聞かされた。
本当か嘘か知らないし今までそんな目に遭った事はなかったので
本気にしていなかったので予備の食べ物は持ち歩いていなかった。
これが多分それだ。とにかく急いでリュックを探すも飴玉の一つも見つからなかった。
「ひもじい…ひもじいよォ…」。
まるで死人のような青白い顔でつぶやく友人を前に恐怖と焦りで呆然として何も出来なかったその時。
「破ぁーーー!!」と言う叫び声とともに勢いよく振られるフライパン。
強火の炎に炙られ黄金色に輝くパラパラに炒められたご飯が宙を踊る。
焼けた鍋肌から回し入れられたしょう油の焦げる匂いが食欲をそそる。
「できたぞ」とTさんがフライパンから出来立て熱々の炒飯を皿に盛りつける。
ご飯の一粒一粒がパラパラに炒められ黄金色に輝くその炒飯をAはまるで蛇のように一飲み。
「………」
人間業ではない。
恐怖に駆られた私は、フライパンに残っていた残りの炒飯もAの口に放り込み、
それが飲込まれるのも確かめないまま水筒を彼の口に押しつけた。
大きく喉が動き、やがてAは自分の手で水筒を掴んで茶を飲み始め、
次第に飲み干す速度がゆっくりとなって、ついにそれが止った。
「ああー、旨かった」
満足げに笑ったAの声が妙にダブって聞えた。
Tさんは「危なかったな・・・」というと満足げな表情で帰っていった。
台湾の中華は美味い、改めてそう思った。
※ダルはヒダル神、餓鬼憑きともいう
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