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409 名前:1/3[age] 投稿日:2009/05/18(月) 21:22:12 ID:rVb69sug0
深夜になって忘れ物に気付き、学校に戻った。真っ暗になった3階の廊下を歩いていると、
俺の足音に合わせるかのように背後から「テケテケテケ…」と足音がした。
驚いて振り返ると、なんと下半身がない女の子が猛スピードで迫ってきているではないか!
「うわぁーーーーー!」
女の子は俺の悲鳴ににやりと笑うと、更にスピードをあげ、目の前まで迫ってきた。
俺がわなわなと震えたまま立ちつくしていると、彼女はついに僕の足下へ!
俺は思わず叫んでしまった。
「あ、あんた、どうしたんだよ!?車椅子は!?」
女の子は手は床につけたまま、大きな瞳できょとんと俺を見上げていた。
俺は更に怒りで体が震えた。
こんな可愛い子の車椅子を隠して、こんな深夜になるまで置き去りにするなんて。
あんなに急いで這ってくるなんて、よっぽど心細かったに違いない。俺はいじめは大嫌いだ。
「ちょっと待ってろ!」
俺は保健室まで走り、大急ぎで車椅子を持ってきて、彼女を座らせてあげた。
「もう大丈夫だ。ひどい奴がいるもんだな」
「…あ、あんた、怖くないの?」
「うちのじいちゃんも片足がなくて車椅子を使ってるからな。全然平気さ」
「そうじゃなくて!あたしは!」
「いいって!足を無くした時の話なんてしなくても…」
「いやだからそうじゃなくて!あたしの顔とか怖くないの!?」
「へ?別に怖くないけど…。つかむしろ可愛い方じゃん?」
女の子はみるみる内に顔を赤らめ「ば、ばっかじゃないの!」と言って車椅子から飛び降り、
来た時と同じように手だけ使って走り去ってしまった。
410 名前:2/3[age] 投稿日:2009/05/18(月) 21:23:58 ID:rVb69sug0
翌日女の子のことが気になった俺は、また深夜に学校へ行ってみた。
昨日と同じように廊下をゆっくりと歩くと、また背後から「テケテケテケ…」と足音がする。
振り返って、やあ、と笑顔を向けると、女の子はぱぁっと嬉しそうな笑顔を浮かべたが、
はっとしたようにまた昨日のようなにらみ顔に戻って、俺の足下まで無言で這ってきた。
「べ、別にあんたに会いたくて出てきたわけじゃないのよ。
あたしは深夜に廊下を歩く人間を、こ、怖がらせたいだけで」
「俺は怖くないって言ったじゃん」
「い、いやだから、それをどうにか怖がらせようと思ったの!」
「無理だよ。あんたみたいに可愛い顔でいくら驚かせてきたって、全然怖いと思えないって」
「な、なによ!ばかにしてるの!?」
「バカになんてしてないよ。ほんとに可愛いもん。俺の好みだし」
「…あ、足がないのに?」
「だから俺そういうの気にしないから」
「深夜にしか出てこれないんだけど…」
「俺夜型だし全然平気。むしろ助かるくらい」
そう言ってしゃがみ込んで彼女の顔を間近で見た。色が白くて本当に可愛い。
彼女はびっくりしていたが、俺が笑うとちょっと笑ってくれた。
間近で見る笑顔は正しく天使のようだった。
しかしまたしてもはっとしたように必死で恐い顔を作り、俺を睨む。
その顔が赤らんでいるように見えるのは目の錯覚じゃないと思う。
411 名前:3/3[age] 投稿日:2009/05/18(月) 21:30:47 ID:rVb69sug0
「へ、変なやつ!」
そう言って彼女はまた走り去る。しかしふと立ち止まり、くるりと振り返って俺に叫んだ。
「いつもは1階の廊下にいるから…。べ、別にあんたなんか来なくてもいいけど!」
それ以来毎晩1階の廊下で彼女と会っていますが、これはデートじゃないんだそうです。
まあ、俺もキスするまではデートとは呼べないかなと思ってる、と彼女に言うと、
彼女は顔を真っ赤にして「ばか…」と呟いて目を潤ませて俺を見詰めてきます。
そして眼をそっとつむってきたので、この流れは・・・と俺も覚悟を決めました。
深呼吸をすると彼女の肩を掴み、そっとその唇に・・・・
「破ァ!」
突如後方から放たれた青白い光が彼女を吹き飛ばしました
彼女は光に照らされると少し悲しげに笑い、口だけで「バイバイ」と言ってそのまま消えて行きました。
消える最後の瞬間に『一緒にいられて本当に楽しかったよ・・・ありがとう』と声にならぬ声が聞こえた気がした。
突然の別れに茫然とした俺の肩を部活の先輩であるTさんがぽんと叩いた
「危なかったな・・・いや、いろんな意味で危なかった」
気がついたら俺はTさんの上に馬乗りになると、泣きながら全身全霊を込めて殴りつけていた。
先輩だからって全てが許されるわけじゃない。俺は彼女との思い出を胸にそう思った。
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410 名前:2/3[age] 投稿日:2009/05/18(月) 21:23:58 ID:rVb69sug0
翌日女の子のことが気になった俺は、また深夜に学校へ行ってみた。
昨日と同じように廊下をゆっくりと歩くと、また背後から「テケテケテケ…」と足音がする。
振り返って、やあ、と笑顔を向けると、女の子はぱぁっと嬉しそうな笑顔を浮かべたが、
はっとしたようにまた昨日のようなにらみ顔に戻って、俺の足下まで無言で這ってきた。
「べ、別にあんたに会いたくて出てきたわけじゃないのよ。
あたしは深夜に廊下を歩く人間を、こ、怖がらせたいだけで」
「俺は怖くないって言ったじゃん」
「い、いやだから、それをどうにか怖がらせようと思ったの!」
「無理だよ。あんたみたいに可愛い顔でいくら驚かせてきたって、全然怖いと思えないって」
「な、なによ!ばかにしてるの!?」
「バカになんてしてないよ。ほんとに可愛いもん。俺の好みだし」
「…あ、足がないのに?」
「だから俺そういうの気にしないから」
「深夜にしか出てこれないんだけど…」
「俺夜型だし全然平気。むしろ助かるくらい」
そう言ってしゃがみ込んで彼女の顔を間近で見た。色が白くて本当に可愛い。
彼女はびっくりしていたが、俺が笑うとちょっと笑ってくれた。
間近で見る笑顔は正しく天使のようだった。
しかしまたしてもはっとしたように必死で恐い顔を作り、俺を睨む。
その顔が赤らんでいるように見えるのは目の錯覚じゃないと思う。
411 名前:3/3[age] 投稿日:2009/05/18(月) 21:30:47 ID:rVb69sug0
「へ、変なやつ!」
そう言って彼女はまた走り去る。しかしふと立ち止まり、くるりと振り返って俺に叫んだ。
「いつもは1階の廊下にいるから…。べ、別にあんたなんか来なくてもいいけど!」
それ以来毎晩1階の廊下で彼女と会っていますが、これはデートじゃないんだそうです。
まあ、俺もキスするまではデートとは呼べないかなと思ってる、と彼女に言うと、
彼女は顔を真っ赤にして「ばか…」と呟いて目を潤ませて俺を見詰めてきます。
そして眼をそっとつむってきたので、この流れは・・・と俺も覚悟を決めました。
深呼吸をすると彼女の肩を掴み、そっとその唇に・・・・
「破ァ!」
突如後方から放たれた青白い光が彼女を吹き飛ばしました
彼女は光に照らされると少し悲しげに笑い、口だけで「バイバイ」と言ってそのまま消えて行きました。
消える最後の瞬間に『一緒にいられて本当に楽しかったよ・・・ありがとう』と声にならぬ声が聞こえた気がした。
突然の別れに茫然とした俺の肩を部活の先輩であるTさんがぽんと叩いた
「危なかったな・・・いや、いろんな意味で危なかった」
気がついたら俺はTさんの上に馬乗りになると、泣きながら全身全霊を込めて殴りつけていた。
先輩だからって全てが許されるわけじゃない。俺は彼女との思い出を胸にそう思った。