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寺で生まれたときからずっと猫を飼っていて、その猫、もうお婆ちゃんといってもいい歳だった。
俺はちっちゃい頃から喘息がひどくてよく入院をしていた。
小学生の頃、喘息の発作で入院し、病室で夢を見た。夢の中でそのおばあちゃん猫が語りかけてきた。
「Tちゃん、苦しいかい?私はいまから遠くにいくから、Tちゃんの苦しみも持って言ってあげるね…波ぁ!」
おばあちゃん猫の肉球から青白い閃光が放たれたと思うと俺は気を失った。
目が覚めて親に聞いたら、そのおばあちゃん猫は昨夜、静かに死んだらしい。
それからは喘息は良くなって、発作がでることもなくなった。猫が本当にもっていってくれたんだ…。
そして俺は不浄なものを見ることができるようになった。
おばあちゃん猫が俺を助けてくれたように、俺も世のため人のために不浄なものを浄化していくと決めた。
一人暮らしをしている大学生の男がいた。
男が住んでいるのはごく普通のアパートだが、たまにおかしなことが起こった。
大学から帰ってくるとカーテンの形やゴミ箱の位置などが微妙に変わっている気がするのだ。
最近は誰かにつけられてる様な気もしてきた、流石に気味が悪くなってきた男は大学の友人に相談した。
男が「もしかして…ストーカーかな?警察に言うのが一番良いと思うけど…
警察は実際に被害が無いと動いてくれないって聞くしなぁ…どうしよ……。」
と困っていると、友人は「…じゃあ大学に行ってる間ビデオカメラで部屋を撮影しておいて、
もしストーカーが部屋に侵入してるのが撮れたらそのテープもって警察に行けば良いじゃん、
不法侵入してるわけだからさすがに警察も動いてくれるだろ。」
と具体的な解決策を提示してくれた、やはり持つべきは友!これは良い案だ!と思った男は
早速次の日の朝、部屋にビデオカメラを設置して録画状態のまま大学へ行った。
大学から帰ってきた男は焦った、何者かが争ったように、部屋中がひどい有様になっていたのだ
「これは期待出来る、マジにストーカー写ってるかも…」と思いながらビデオの録画を止め、再生した。
しばらくは何も写らなかった。
しかし夕方になると、知らない女が包丁を持って部屋に入ってきた。
「…!!!!!!」ビビった男はすぐに友人に電話をかけた、
「ヤッベー!写ってる写ってるストーカー写ってる!!!!」と若干興奮気味に伝え、
それからは録画を見ながら友人に内容を実況した。
「ゴミ箱漁ってるよぉ…」「今度は服の匂い嗅いでる…キメェ!!」今までコイツは何回も来ていたのかと思うと
男は背筋が凍る思いだった。「これで警察も動いてくれるなぁ」と少しホッとしてると、画面の中の女は押入れに入った。
「うっわ…押し入れの中入ったよ、しかもなかなか出てこない……」などと友人と喋っていると、また誰かが部屋に入ってきた。
男は言葉を詰まらせた。
部屋に入って来たのは寺生まれで霊感の強いTさんだった。
Tさんは押入れに歩み寄り襖を開けると、中に居た女を引きずり出して窓から放り投げた!
そしてあろうことか、箪笥や机の中を物色し始めたのだ!
あまりの出来事に友人と話すことさえ忘れていると、鍵を開ける音がして自分が入ってきた。
Tさんは慌てて押入れの中に逃げ込んだ。
そしてビデオの中の自分はカメラに近付き録画を止める。
そこでビデオは終わ『破ぁ!!!』
突然背後から頬を掠めて青白い光弾が飛び出し、ビデオデッキを粉々に打ち砕いた!
振り返ると冷や汗をかいたTさんが押入れから這い出し、
「し、心霊写真の一種だ。こういう現象が起きるんだよ。うん、問題ない問題ない」と言い残して去っていった。
寺生まれってスゴイ。110番しながらそう思った。
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さぁ、俺の話を聞いてくれ。
ま、俺のカーチャンの実体験なんだがな。
ま、俺のカーチャンはいま40近い。
だから子供の頃には今の子供とかとは違う遊びで遊んでた。
こっくりさんも、その一つだったらしい。
カーチャンも偶に女の子の友達とやった事があると言っていた。
ある出来事が起きるまで。
それは、小6ぐらいの事だったらしい。
カーチャンと仲が良かった男の子達がふざけてこっくりさんやろうず!みたいなノリになったらしい。
そこでこっくりさんを彼等は始めたんだが、こっくりさんが中々帰って下さらない。始めて一時間ほど経ってもお帰りになられない。
いくら贈り物を指差しても帰ってくるのは「いやだ」「まだ遊ぶ」と言った言葉ばかり。そればかりか十円玉と、十円玉にのせたS君の指がどんどんあいうえおの上を移動していく。
ここで流石に男の子達はヤバイと思い、S君を残してカーチャン含む女の子グループに相談しに行ったんだ。
そこで、大人を呼ぶ事になり、ある女の子の親と一緒にS君の様子を見に行った所、大変な事になっていた。
十円玉が紙の上を外れて家中を移動している。S君は殆ど十円玉に引っ張られて移動している状態だった。
親も手出しができず、途方に来れていた。
そんな時に現れたのが偶々俺のカーチャンの故郷、山中温泉に遊びに来ていた寺生まれのTさんだった!
Tさん「何をやってるんだ…こっくりさんってのは低級な動物霊を呼ぶ遊びだぞ…まぁこうなってしまったのなら仕方が無い。破ッー!」
Tさんがそう行った瞬間青白い口銭が彼の手から飛び出し、狐の姿をした何かを十円玉から吹き飛ばした。
Tさん「それに、こっくりさんってのは女の子の遊びだ。男なら男らしい遊びをしろ、俺がお前らを叩き直してやる。そこに立て!」
数日後……
そこには破ッーといいながら光線を撃ちあうTさんと男の子達の元気な姿が。
俺のカーチャンは子供心に寺生まれって凄いって思った。
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母が、洋服ダンスの前で着替えをしようとしている。僕は、それを横目でチラリと見てリビングに向かおうとした時…
『ガチャ!ギィィィ』
玄関のドアが開く音がした。
「親父かな?今日は早いな」
と思い、今いる廊下から一直線の方向にある玄関を見てみた。電灯がついてないので、暗くてよくわからないが、やはり見覚えのあるシルエットだ。
しかし、それは親父じゃなかった。小さいし、何よりも髪が長いように見えた。しかも、頭のシルエットが異様に大きい。だが、見覚えがある。ついさっき見たような気がする…
「ただいま」
前触れもなく、それは突然声をあげた。どうということはない、帰ってきたのは僕の母だった。
だが、どうも釈然としない…僕の心の声が警告をつげた‥
(何かおかしくないか?…洋服ダンスの前で着替えをしようとしてるのは僕の母じゃなかったか?!)
そうだよ!!今帰ってきたのは母じゃないんだっ!。違う何かだ!
しかし、ペタペタとゆっくりと歩いて来るそれは、明かりに近づくにつれ、無情にも僕の母以外のものの可能性を否定してゆく…
(なぜだ!?なぜ二人いる!!)
僕は心底怯えた。
(来るな!来るな!僕の母だと確認したくない!わかりたくない!!)
気付くと、それはもう目の前にいた。
温かいやさしい笑顔があった。仕事帰りで疲れているみたいだが、いつもの母だった。僕の母だ。
…!?…あ、あぁ!!新たな恐怖が僕を包んだ。
それじゃあ、着替えをしようとしてるのは一体誰なんだ!!思わず洋服ダンスの方を見てしまった。
目を限界まで開いた白い顔の母が、僕を凝視していた。人間の顔じゃなかった。
僕は叫び声をあげようとしたが、あまりの恐怖に声が出ない。
助けを求めて、本当の母に駆け寄ったが反応がない…
見上げると、目も鼻も口もついてない母の顔があった・・・
「そこまでだ」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこには寺生まれで霊感の強いTさんの姿が!
「坊主、動くなよ」
Tさんが狙いを定めて「破ぁ!!」と叫ぶと、Tさんの手から青白い光弾が飛び出し
目の前に居るのっぺらぼうを消し飛ばした!
Tさんはあまりの出来事に呆然としている僕に歩み寄ると、
「もう一人居るだろ、どこだ」と言った。
そうだ!化粧台の前にもう一人居るんだ!
僕が慌ててそのことを教えようとすると、ドタドタという足音と共に
鬼の形相の化け物がこちらに向かってきた
「やれやれだ」
Tさんが両手を広げてなにやら呪文を唱えると、Tさんの手が発光し指先から輝く糸のようなものが現れた!
「母を装い幼い魂をもてあそぶ小悪魔め!」
Tさんの腕が残像を残しながら縦横無尽に動き回り、化粧台の化け物を光の糸で絡め取った!
「破ぁー!!」
Tさんが大振りに腕を捻ると光の糸が食い込み、化け物は血飛沫を上げながらバラバラの輪切りになった!!
「もう安心だぜ」
Tさんは煙草に火を点けながらそう言うと、
「男はでっかく生きろよ」と残して去っていった。
※小学生の時だったので、夢なのか現実かも覚えていないけど、とにかく寺生まれはすごいです。
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子供の頃、留守番してて、ジュースこぼしてしまった。
それをティッシュで拭いてたら丁度無くなって、何気に空の箱を覗いてみた。
なんと外灯に照らされた夜道が見えた。
風が箱から吹き上げてくるほど強かった。
ためしに4本指を入れてみると、ちゃんと風の感触がした。
なんじゃこりゃおもしれー、と一人はしゃいでいたとき、突っ込んでいた指にべちゃっという感触が走った。
慌てて指を引き抜いた。緑色のスライムみたいなのが手にくっついてた。
謎の物体の中は透けていて、目玉みたいなのもあったような気がする。
情けない声を上げながら洗面所で洗い流した。
もう片方の手でそれを握り潰しながら、30分ぐらい洗い続けた。
洗い終えた後ちょっと落ち着いてきて、恐る恐るさっきのティッシュの箱を見たが、もう何も見えなかった。
もちろん両親に話したけれど信じてはくれず、でも右手は火傷したみたいに水ぶくれが出来ていた。
包帯をして、もやもやした気持ちを抱えたままその日は寝た。
数年後学校から帰るとき、家の近くの溝で蠢いている物を見つけた。
近付くと、いつかのスライムの欠片のような物。
小さくなっていたが、必死に進もうとしていた。
俺はどうしようか一瞬迷ったが、それを踏み潰した…
グチャグチャになったスライムが、ぴくぴくと動いていた。
なんだか、こっちを見ている気がした。
「破ぁ!!」
突然近くの草むらから青白い光弾が飛び出し、スライムの残骸を消し飛ばした。
「・・・ありがとよ。坊主。助かったぜ」
声が聞こえた草むらを覗き込むと、寺生まれで霊感の強いTさんが血だらけで横たわっていた。
「アレを潰してくれなかったら・・・俺は死んでいたよ。
いつか・・・お前がティッシュ箱の怪物を殺した時から、俺はお前に目を付けていたんだ」
Tさんは膝を起こすと、血だらけの袈裟を引きずりながら
「こりゃ当分禁煙禁酒だな」と笑って路地裏の闇に消えていった。
謎の世界と謎の生物。寺生まれって奥が深い。子供ながらにそう思った。
ある小学校に、一年中赤いマフラーをつけている少女がいた。
ある日、同じクラスの少年がその少女に、
「おい、何でいつもマフラー着けてるんだ?」
と聞いた。すると少女は、
「あなたが私と同じ中学校に行ったら、教えてあげる。」
と言った。
少女と少年は2人とも受験をせず、同じ中学校に入った。同じクラスだった。
ある日、少年が少女に、
「約束どおり教えてくれよ。何でいつもマフラー着けてるんだ?」
と聞いた。すると少女は、
「あなたが私と同じ高校に行ったら、教えてあげる」
と言った。
少女は偏差値が高い学校に入り、少年も彼女に理由を聞くためだけに受験し、同じ高校に入った。同じクラスだった。
入学式の日、少年が少女に、
「お前、何でいつもマフラー着けてるんだよ?」
と聞いた。すると彼女は、
「あなたが私と同じ大学に行ったら、教えてあげる」
と言った。
2人は偏差値の高い同じ大学に入った。同じ学科だった。
いつしか2人は付き合い始めた。仲が良く、ほとんど公認のカップルだった。
「いい加減教えてくれよ。何でマフラー着てんだい」
ある日の帰り道、男は笑いながら言った。すると彼女は、
「もう、逃げられないのね」
と言った。そして、始めてマフラーに手を掛けた。
そこにはくびが
次に目覚めたとき、俺は病院のベッドで横になっていた。
彼女がマフラーを外して、そこから後の記憶が無い。
「よぉ。この色男が」
声のした方を向くと、寺生まれで霊感の強いT先輩が彼女と一緒に見舞いに来たところだった。
T先輩曰く、俺は転んで段差に頭をぶっつけたらしい。
一通り談笑を済ませると、T先輩は
「さて、それじゃあ邪魔者は帰るぜ。破っ破っ破」と笑いながら立ち去ろうとした。
「待って」
その背中に、彼女が言った。
「・・・ありがとう」
T先輩は、何も言わなかった。
二人きりになったので、俺はさっきから気になっていたことを聞いた。
「お前、マフラーはどうしたんだ?」
そう。病室に来た彼女は、マフラーを外していたのだ。
すると彼女は悪戯っぽそうな笑顔で、
「あなたが私と結婚してくれたら、教えてあげる」と言った。
寺生まれってスゴイ。大学3年の秋のことだった。
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あと10分ほどで真夜中になるという時間帯に、私は特急電車に乗っていた。
やがて、途中の駅で一人の男が乗り込んできた。
その男は、電車のドアが閉まると、突然我に返ったように乗客の顔を見回し始めた。
「すみません。あなたの年齢は28歳ですか?」
男が私に話しかけてきた。
「そうですが、どうしてわかったんですか」
私が聞き返しても、男は無視して、また別の人に話しかけた。
「あなたの年齢は45歳ですか?」
「そうですけど……」
「あなたは62歳ですね?」
「どうしてわかったんだ?」
そんなやり取りを繰り返していく。
どうやら、その男には、顔を見ただけで年齢を当てる特殊能力があるらしい。
次の停車駅までは、まだ15分以上ある。
私を含め、乗客たちは全員その男に注目し始めた。
「あなたは50歳ですね?」
「そうですが、あと5分で日付が変わったら、51歳になるんですよ」
最後に質問された女性は、笑顔でそう答えた。
年齢を当てていた男の顔が、その途端に青くなった。
「破ァァー!」
突然、寺生まれで霊感の強いTさんが立ち上がると、その男に向かって光る切符を投げつけた!
すると、年齢を当てていた男が青い影に変身した。
「こいつが当てていたのは乗客の年齢なんかじゃない! こいつは乗客の脳をいじくり、偽の記憶を植えつけていたんだ!」
Tさんはそう言って私の頭に手を載せた。
その途端、私は思い出したのです。
私はまだ17歳で、Tさんの後輩だったことを。
「誕生日を祝ってもらえなかったことを悔しく思う人々の想念がこいつの正体だ。みんなで誕生日を祝えばこいつは消える」
Tさんがそう言うので、乗客全員で青い影の誕生日を祝ってあげることにしました。
「……ハッピバースデー、ディア青い影~、ハッピバースデー、トゥーユー♪」
すると、満足したのか青い影は煙のように消えてしまいました。
寺生まれって凄い。今日が私の誕生日だと忘れているTさんを見ながら、改めてそう思いました
「あれ?Tくん?」
駅前で見覚えのない女が声を掛けてきた。
どうせキャッチだろうと無視して歩いていくと、
「やっぱTくんだよねー?ねー?無視しないでよー」と追いかけてくる。
こんな展開がモニタの中以外で起こるはずがない。
さらに無視して早足で歩く。
「ほらあたしよあたし!高校で同じクラスだったM!」
え……?
よく見ると、メガネがなくなっているし、化粧もしてるが確かにMだ。
「え……な、なんだ。メガネがないからわからなかった」
「ひどいなーあたしをメガネで認識してたわけ?」
「いや、そうじゃないけど…」
「卒業以来だねー。あ、そうだ。メアド教えてよー」
「うん……いいけど……」
「じゃあ、あたしのこれ。メールして!
今ちょっと用があるから、またねー」
そういって名刺みたいのを渡してくれた。
高校の時、俺と彼女はいつもクラスでトップを争っていて、こっちは勝手に
ライバルだったと思っていた。あの頃は俺と同じくらい暗くて、メガネで、
マジメな感じの子だったのに、すっかり女子大生みたいになっちゃったな…
迷う。
本当にメールしてもいいのか。
何をメールしたらいいのか。
携帯のメールなんて滅多に使わないしな俺。友達いないから。
とりあえず、当たり障りがないところで
「アドレスありがとう。こちらのアドレスはxxxx@xxx.ne.jpです」
と打ってみる。
5分もしないうちに返事が来た。
「ありがとー^^ 番号も教えてくれる?」
「番号はxxx-xxxx-xxxxです」とだけ返事する。
すぐ電話がかかってきた。
「こんばんはー。ホント久しぶりだねー」
「あ…うん…」
「ごめん、迷惑だった?」
「いや……そんなことないよ」
「Tくんって××大学だから、あの駅のあたりに住んでるの?」
「……そうだよ…」
「あはは。Tくん相変わらず無口だねー」
「……Mさんは変わったよね」
「そおー?変わってないよ」
「いや、変わったよ。……きれいになった」
「ありがとー、お世辞でもうれしいな」
「お世辞じゃないよ……本当にきれいになった」
「もー口がうまくなったなーTくんも」
彼女が他愛のない、とりとめのない話を続ける。
同級生の誰が誰とつきあってるとか、別れたとか。
こっちは全然友達づきあいもないし、「へえ」とか「ほう」とか
相づちしか打てない。
そうこうしているうちに彼女が言った。
「ねえ、今度の日曜日、空いてる?」
「え……?」
「空いてたら、お願いがあるんだけど」
「俺ができること?」
「Tくんに、是非お願いしたいこと」
「何?」
「あのね、Tくんが住んでいるところの選挙区に、××党から
○○さんって人が立候補してるんだけ
「破ァーーーーッ!」
涙でにじんだ目に、青白い光弾がMに向かって飛ぶのが見えた。
男の純情を、この純粋な下心をもてあそんだMが許せなかった。
追記を閉じる▲
自分が小学校1・2年だったときの話。
学校に申し込み制の学童みたいな教室があって、放課後、いつもその教室に行って、漫画読んだり遊んだりしてた。
その教室にはおばちゃんが2人いて、夏だったかわからないけどいろいろ怖い話をしてくれた。
そして片方のおばちゃんがこんな話をしてくれた。
もう結構前のことなのに、この話を覚えてるぐらいだから当時は結構ビビってたはず。
あるところにスゴく内気な女の子がいた。
その子はなぜか隅っこが好きで、いつも部屋の隅にいた。
あまりに部屋の隅っこばかりに居るので、見かねたその女の子のお母さんがその女の子の部屋を四角い形から、隅の無い丸い部屋にした。
そうすれば、その子の隅好きが治ると思ったから。
しかし相変わらず、その子の隅好きは治らず、もうどうしようもなくなったお母さんは
その子を丸い部屋の扉に鍵をかけて閉じ込めてしまった。
その子は毎日毎日苦しそうに
「出して~、出して~、隅っこ行かせて~」
と唸っていたそうだ。
お母さんはそれでも部屋から出さずに、
ご飯は扉に付いている窓のようなところから入れてあげていたが、その子は全然食べなかった。
そんな生活を続けていたある日、女の子の家に一人の男が訪れた。
彼は自分を修験者だと名乗り、娘さんに合わせて欲しいと言った
不審に思った母親は断ったが、男は無理やり壁を砕くと、中で倒れていた娘を引っ張り出した。
壁中、引っかいた跡やら何やらで、女の子の爪は既に剥がれていた。
女の子は既に死相を浮かべながら
「すみすみすみ」
と掠れた声で呟いていたそうだ。
それを見た修験者風の男が手をかざした途端、凄まじい轟音と閃光が迸り
気が付いた時には部屋もろとも家が全壊していたらしい。
修験者風の男は女の子を母親に預けると、
「眠っているだけだから心配いらない。そいじゃあな・・・おや『すみ』」
と言って瓦礫と化した家を後にしたという。
寺生まれってスゴイ。自分は深く感動し、出家を志した。
ある大学に通う男子学生には、最近気になってしょうがないことがあった。
深夜アルバイトから帰る道にあるアパートの窓から、星を眺めている少女がいるのだ。
その少女は飽きることもなく、夜空に輝く星々を眺めていた。
最初はそれほど気に留めていなかった彼も、そんな日が何度も続き、自分の心の中で
どんどん少女の存在が大きくなっていくのを感じていた。
そしてある日、自分の中の思いに耐え切れなくなった彼は、アパートの少女に告白を決意する。
胸を弾ませながら階段を上り、とうとう少女の部屋の前までやってきた。
インターフォンを鳴らすが返事がない。留守かな…と思い、ドアノブを回すと
抵抗なくドアが開いた。
そこで彼は全てを悟ってしまった。
自分が心を寄せていたのは、窓際で首を吊っている少女だったのだ。
「あの時は本当にびっくりしたよ・・・でも、幸いなことに彼女の霊魂はまだその部屋に
残っていたんだ。よく考えてみれば、恋愛に関しては実体が有るか無いかなんて
些細なことだしな・・・ 。
それからは穏やかで、心豊かな日々だった・・・でも、翌年の大天狗との戦いで・・・
俺の・・・俺の『破っ』の威力が強過ぎたせいで・・・・!!
あいつは・・・あいつは!・・・・くぅぅっ・・・」
合コンでの打ち明け話で、寺生まれに話を振ったのが間違いだった。
ドン引きしている女性陣を見て、本当にそう思った。