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「あれ?Tくん?」
駅前で見覚えのない女が声を掛けてきた。
どうせキャッチだろうと無視して歩いていくと、
「やっぱTくんだよねー?ねー?無視しないでよー」と追いかけてくる。
こんな展開がモニタの中以外で起こるはずがない。
さらに無視して早足で歩く。
「ほらあたしよあたし!高校で同じクラスだったM!」
え……?
よく見ると、メガネがなくなっているし、化粧もしてるが確かにMだ。
「え……な、なんだ。メガネがないからわからなかった」
「ひどいなーあたしをメガネで認識してたわけ?」
「いや、そうじゃないけど…」
「卒業以来だねー。あ、そうだ。メアド教えてよー」
「うん……いいけど……」
「じゃあ、あたしのこれ。メールして!
今ちょっと用があるから、またねー」
そういって名刺みたいのを渡してくれた。
高校の時、俺と彼女はいつもクラスでトップを争っていて、こっちは勝手に
ライバルだったと思っていた。あの頃は俺と同じくらい暗くて、メガネで、
マジメな感じの子だったのに、すっかり女子大生みたいになっちゃったな…
迷う。
本当にメールしてもいいのか。
何をメールしたらいいのか。
携帯のメールなんて滅多に使わないしな俺。友達いないから。
とりあえず、当たり障りがないところで
「アドレスありがとう。こちらのアドレスはxxxx@xxx.ne.jpです」
と打ってみる。
5分もしないうちに返事が来た。
「ありがとー^^ 番号も教えてくれる?」
「番号はxxx-xxxx-xxxxです」とだけ返事する。
すぐ電話がかかってきた。
「こんばんはー。ホント久しぶりだねー」
「あ…うん…」
「ごめん、迷惑だった?」
「いや……そんなことないよ」
「Tくんって××大学だから、あの駅のあたりに住んでるの?」
「……そうだよ…」
「あはは。Tくん相変わらず無口だねー」
「……Mさんは変わったよね」
「そおー?変わってないよ」
「いや、変わったよ。……きれいになった」
「ありがとー、お世辞でもうれしいな」
「お世辞じゃないよ……本当にきれいになった」
「もー口がうまくなったなーTくんも」
彼女が他愛のない、とりとめのない話を続ける。
同級生の誰が誰とつきあってるとか、別れたとか。
こっちは全然友達づきあいもないし、「へえ」とか「ほう」とか
相づちしか打てない。
そうこうしているうちに彼女が言った。
「ねえ、今度の日曜日、空いてる?」
「え……?」
「空いてたら、お願いがあるんだけど」
「俺ができること?」
「Tくんに、是非お願いしたいこと」
「何?」
「あのね、Tくんが住んでいるところの選挙区に、××党から
○○さんって人が立候補してるんだけ
「破ァーーーーッ!」
涙でにじんだ目に、青白い光弾がMに向かって飛ぶのが見えた。
男の純情を、この純粋な下心をもてあそんだMが許せなかった。
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迷う。
本当にメールしてもいいのか。
何をメールしたらいいのか。
携帯のメールなんて滅多に使わないしな俺。友達いないから。
とりあえず、当たり障りがないところで
「アドレスありがとう。こちらのアドレスはxxxx@xxx.ne.jpです」
と打ってみる。
5分もしないうちに返事が来た。
「ありがとー^^ 番号も教えてくれる?」
「番号はxxx-xxxx-xxxxです」とだけ返事する。
すぐ電話がかかってきた。
「こんばんはー。ホント久しぶりだねー」
「あ…うん…」
「ごめん、迷惑だった?」
「いや……そんなことないよ」
「Tくんって××大学だから、あの駅のあたりに住んでるの?」
「……そうだよ…」
「あはは。Tくん相変わらず無口だねー」
「……Mさんは変わったよね」
「そおー?変わってないよ」
「いや、変わったよ。……きれいになった」
「ありがとー、お世辞でもうれしいな」
「お世辞じゃないよ……本当にきれいになった」
「もー口がうまくなったなーTくんも」
彼女が他愛のない、とりとめのない話を続ける。
同級生の誰が誰とつきあってるとか、別れたとか。
こっちは全然友達づきあいもないし、「へえ」とか「ほう」とか
相づちしか打てない。
そうこうしているうちに彼女が言った。
「ねえ、今度の日曜日、空いてる?」
「え……?」
「空いてたら、お願いがあるんだけど」
「俺ができること?」
「Tくんに、是非お願いしたいこと」
「何?」
「あのね、Tくんが住んでいるところの選挙区に、××党から
○○さんって人が立候補してるんだけ
「破ァーーーーッ!」
涙でにじんだ目に、青白い光弾がMに向かって飛ぶのが見えた。
男の純情を、この純粋な下心をもてあそんだMが許せなかった。