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- 237 :本当にあった怖い名無し:2009/10/28(水) 21:55:12 ID:I/ilKID50
- 友達と二人で話してたら、久しぶりに心霊写真を撮ってみたいと誰かが言い出したので、
近くの山道に惨殺事件があってからも未だに取り壊されず残されてた民家があるので夜中に行ってみた。
玄関から居間、風呂場とトイレ、キッチンに父親の部屋、階段から二階へ行き、
子供部屋からベランダ、母親の部屋、階段を降りて一階へ。
最後に家をバックに一人ずつ。片っ端から写真撮って帰った。
んで今日。出来上がった写真を見て俺達は驚いた。
何も写ってないのだ。
もちろん俺達は普通に写ってる。霊的な物が何も写ってなかったのだ。
「・・おかしくね?」
「もう成仏しちゃったとか、じゃねぇかな?」
「やっぱそうなのかな。じゃあ、あそこ行ってももう心霊写真撮れないって事か。無駄だったなぁ」
「そうでもないよ。行く途中に結構周りから孤立してる民家、一軒あるから。次はそこ行こうぜ」
「おぉ!マジで?そこも廃墟?」
「んな訳ねぇじゃん。普通に人住んでたよ。今日の夜行こうぜ」
「おっけ、分かった。今の内に適当に準備しとくわ」
「待て」
後ろから掛けられた声にハッとして振り返ると、柱の陰から男が現れた。
ここは雑居ビルの使われていない最上階フロア。用もなく誰かがやってくる事はない筈だ。
「やはりお前らか」
現れた男は大股でこちらにやってくる。
- 238 :本当にあった怖い名無し:2009/10/28(水) 21:56:31 ID:I/ilKID50
- その男は、がっしりした長身で僅かに浅黒く日焼けし、伸び放題の肩までの黒髪と無精ヒゲで
一見して軽薄な最近の若者風だったが、その眼光は鋭かった。
「…誰だお前は…どうやってここが解った?」
「惨殺事件のあった山道の民家から、霊体の残滓を辿って調べていたのさ。
成仏できずに苦しんでいる霊に頼まれたんでね」
「!!するとあの家で心霊写真が撮れなくなったのは…!?」
「あぁ、うちの寺で手厚く弔って俺が成仏させた。そして彼等にお前達の事を聞いたのさ」
俺たちの目の前に仁王立ちになった男は静かに、しかし怒りも露わに俺達を睨みつけた。
「お前達のしてきた事は決して許される事じゃあない」
そう言うと男は左右の掌を俺達にかざす。
咄嗟に飛び退いて身をかわす俺達だったが男は素早かった。
「無駄だ悪鬼ども!おのれの業を贖え!!破ぁ~~~!!!!」
両手から放たれた二つの青白い光弾が俺と友人の胸を貫く。
刹那、醜い獣の顔をした煙のようなものが俺達の体から引剥がされ、
弾き飛ばされて苦悶の顔を見せて消滅した。
俺と友人は魂でも抜かれたようにぽかんと口をあけてその場にへたり込んだ。
片手で煙草に火を付けると、男は窓から外の様子を窺うように背を向けた。
遠くでパトカーのサイレンが鳴っている。
「お前達に憑いていたモノは消滅した」
「お、俺達は一体…」
「…お前らは邪悪な存在に操られていたのさ」
「じゃあ俺達のしてきた事は…」
「奴らに唆されてした事だ、だがな…」
- 239 :本当にあった怖い名無し:2009/10/28(水) 21:57:40 ID:I/ilKID50
- 「だが責任の一端はお前達にもある」
「!?」
「お前達はな、奴らに魅入られたのさ。奴らは取り憑く相手を選ぶ。
お前達の邪な心が奴らを呼び寄せたんだ」
「そんな…じゃあ俺達は…やっぱりこの手で…」
こちらを振り返り俺達を憐みの目で見つめると、男はやるせなさそうに、ゆっくりと煙草の煙を吐いた。
「…警察の偉いさんに…俺の親父の知り合いがいてな、親父づてに事情は話してある。
悪鬼は祓った。今度はお前達が贖う番だ。
お前達に真摯に償う気持ちがあれば罪はそんなに重くはならないだろう。」
やがてパトカーがビルの真下に停まり、刑事と数名の警察官に促されて俺達は大人しく捕まった。
連れて行かれる前に後ろを振り返ると、男はまだ窓際に佇んでいた。
「あの…ありがとうございました」
振り向きもせず、片手を挙げて応える男に深く一礼すると俺達は再び歩き出す。
そうして部屋を出る間際の俺達の背に、呟くように男が声を掛けた。
「悔い改めろよ…俺にだって、祓えないものはあるんだ…人の心、とかな」
ハッとして振り向くと、相変わらず向こうを向いてはいるが、その拳は何かに耐えるように固く握られ、
背中はまるで泣いているかのようだった。
その背中に再度深々とお辞儀をすると、寺生まれって凄い、溢れ出す涙を拭いながら俺はそう思った。
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- 238 :本当にあった怖い名無し:2009/10/28(水) 21:56:31 ID:I/ilKID50
- その男は、がっしりした長身で僅かに浅黒く日焼けし、伸び放題の肩までの黒髪と無精ヒゲで
一見して軽薄な最近の若者風だったが、その眼光は鋭かった。
「…誰だお前は…どうやってここが解った?」
「惨殺事件のあった山道の民家から、霊体の残滓を辿って調べていたのさ。
成仏できずに苦しんでいる霊に頼まれたんでね」
「!!するとあの家で心霊写真が撮れなくなったのは…!?」
「あぁ、うちの寺で手厚く弔って俺が成仏させた。そして彼等にお前達の事を聞いたのさ」
俺たちの目の前に仁王立ちになった男は静かに、しかし怒りも露わに俺達を睨みつけた。
「お前達のしてきた事は決して許される事じゃあない」
そう言うと男は左右の掌を俺達にかざす。
咄嗟に飛び退いて身をかわす俺達だったが男は素早かった。
「無駄だ悪鬼ども!おのれの業を贖え!!破ぁ~~~!!!!」
両手から放たれた二つの青白い光弾が俺と友人の胸を貫く。
刹那、醜い獣の顔をした煙のようなものが俺達の体から引剥がされ、
弾き飛ばされて苦悶の顔を見せて消滅した。
俺と友人は魂でも抜かれたようにぽかんと口をあけてその場にへたり込んだ。
片手で煙草に火を付けると、男は窓から外の様子を窺うように背を向けた。
遠くでパトカーのサイレンが鳴っている。
「お前達に憑いていたモノは消滅した」
「お、俺達は一体…」
「…お前らは邪悪な存在に操られていたのさ」
「じゃあ俺達のしてきた事は…」
「奴らに唆されてした事だ、だがな…」
- 239 :本当にあった怖い名無し:2009/10/28(水) 21:57:40 ID:I/ilKID50
- 「だが責任の一端はお前達にもある」
「!?」
「お前達はな、奴らに魅入られたのさ。奴らは取り憑く相手を選ぶ。
お前達の邪な心が奴らを呼び寄せたんだ」
「そんな…じゃあ俺達は…やっぱりこの手で…」
こちらを振り返り俺達を憐みの目で見つめると、男はやるせなさそうに、ゆっくりと煙草の煙を吐いた。
「…警察の偉いさんに…俺の親父の知り合いがいてな、親父づてに事情は話してある。
悪鬼は祓った。今度はお前達が贖う番だ。
お前達に真摯に償う気持ちがあれば罪はそんなに重くはならないだろう。」
やがてパトカーがビルの真下に停まり、刑事と数名の警察官に促されて俺達は大人しく捕まった。
連れて行かれる前に後ろを振り返ると、男はまだ窓際に佇んでいた。
「あの…ありがとうございました」
振り向きもせず、片手を挙げて応える男に深く一礼すると俺達は再び歩き出す。
そうして部屋を出る間際の俺達の背に、呟くように男が声を掛けた。
「悔い改めろよ…俺にだって、祓えないものはあるんだ…人の心、とかな」
ハッとして振り向くと、相変わらず向こうを向いてはいるが、その拳は何かに耐えるように固く握られ、
背中はまるで泣いているかのようだった。
その背中に再度深々とお辞儀をすると、寺生まれって凄い、溢れ出す涙を拭いながら俺はそう思った。
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