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ある日の夕方。
僕が自分の部屋で本を読んでいると、突然窓をバンバン!と叩く音がした。
びっくりして振り返ると、友達のB君が興奮しながら窓を叩いていた。
『A君!開けて開けて!!』
僕が慌てて窓を開けると同時に、物凄い勢いでB君が話し出す。
『あのさ、ついさっきの話なんだけど!!』
『ちょ、ちょっとB君、その前にさ…』
『まあ聞けって。さっき自転車乗ってたんだよ。河原走ってて。』
『…うん』
『暫く走ってて、何かおかしいな~って思って自転車降りたらさ…』
『どうしたの?』
『自転車のチェーンかけたまんまだったんだよ』
98 :2/2:2009/04/15(水) 22:14:17 ID:XeFOrm6A0
『うわぁぁぁぁあぁぁぁああ』
僕は落下していくB君に向かって手を伸ばしたけれど、手は虚しく宙をかいただけだった。
『破ぁーーーーーーー!!』
下を見ると、駐車場に立ったTさんが空中のB君に向けて手をかざしていた。
するとB君の身体が青白い光に包まれ、落ちる速度がどんどん遅くなっていく。
僕が呆然としているうちにB君はゆっくりと地面に降り立った。
エレベーターに乗って急いで外に出ると、あまりのことに号泣しているB君をTさんが慰めているところだった。
『もう大丈夫だ、安心しな。力をコントロールできるように俺が訓練してやるからよ。ついてきな』
二人肩を並べ、夕日に向かって歩いていくTさんとB君。
寺生まれの男らしさに僕は震えが止まらなかった。
『え?』
『だから、チェーンがかかってて、タイヤが回らなかったの』
『…?それでどうやって走れるの?』
『分かんないよ。その時までは走れたんだよ。でもさ、その後はだめだった』
『だめって?』
『チェーンかかってるって事に気付いたら、走れなくなっちゃった』
『そうなんだ…』
『無意識だからできたのかなぁ…。あ、A君さっき何か言いかけてなかった?』
『え?!…あ、うん…あのさ…』
『?』
『…ここ、5階なんだけど、B君どうやってそこに立ってるの?』