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寺生まれのTさんまとめ@オカ板
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501 :本当にあった怖い名無し:2010/06/15(火) 00:25:23 ID:Qsu/eELc0
昔の洒落怖スレより転載。

547 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/06/30 02:12
これは、私の後ろの守護霊様?に感謝を込めて書かせて頂きます。
この間の水曜日06/26日、体調を崩して仕事を休んで家で
寝ていた時の事。元々バイトの開始時刻が12時からなので世間
的には真っ昼間ですが、寝ていて夢ともなんともつかない位の眠り
の浅さでふと目を開けた所。布団の足元近くに女の人が立っている!
「あれ?誰だ!」と思っていたら段々と女の人が近づいて来た…。
そしてその女の人は私の上にのしかかって来る。
そこまでは、金縛りでもよくある話だと思いますよね?所がどっこい
その女の人は私に覆い被さり、私に重なろうとするのです。
さすがに「ヤバイ!」と思い押し戻そうとすると今度は!
私の幽体?を引き出そうとするんです!
「お前取り憑くのか、人の魂引っこ抜くのかどっちなんじゃい!」
と言う思いと「まじでこれはヤバイ状況…。どっちの選択肢も駄目だし」
でもどうしたら良いものかと…。「そうだ!御経だ!」電球マーク!
「全部ワカンネーよー(泣)」とパニクっていたら。何処からともなく
男性の声で御経が聞こえ、最後には「破邪ぁぁぁぁーーーーっっっ」と
物凄い迫力の御声でその女の人は吹っ飛びました…。
後にも先にも金縛りにあってアシストを受けた事がなく、その御声がなかったら
私はどうなっていたんだろう…。
そして、どちら様かは解りませんがナイスアシスト!感謝感激!
人ってやっぱり一人で生きている訳じゃないんだなぁ~って思いました。
これからも世話の焼ける私ですが宜しくお願いしますと手を合わせて
しまいました。


これTさんじゃねえのかw

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495 :1/2:2010/06/07(月) 14:38:21 ID:wtUT/oZj0
「私メリーさん…今駅前に居るの…」
そんな電話が深夜にかかってきたら誰でもビックリするだろう
続けて電話が鳴る「私メリーさん…今貴方の家の近くに居るの…」
ヤバい…近づいてくる、俺は段々恐ろしくなってくる
もしここまで来られたら一体どうなってしまうのか…俺は恐怖する
ジリリリリ、電話が鳴り恐る恐る俺は受話器を取った…
「もしもし…ワたシめリーsン…いマ玄カんのmェに…」
風景がグワングワンと揺れ、頭がパニックになる
電話の向こうでも何を言ってるのか分からない
その時、バンッ!、玄関のドアが叩かれる音が響いた
バンッ!…バンッ!…1回、2回…ドアが叩かれる
ガタ…ガタガタガタガタガタ…向こう側からドアを開けようと押しているのが分かる
ジリリリリ!!けたたましく電話が鳴り、俺は覚悟を決めた
俺『…もしもし』
メリーさん「…アケテ?」
俺『…すいません、ウチ引き戸ですし鍵かかってません』
メリーさん「・・・・・・・ほぇ?」

あまりにも間の抜けた可愛らしい声に苦笑し俺は玄関まで迎えに行ってやった
玄関先の彼女は顔を真っ赤にして「すくゎqwせdrftgyふじこl!!」とか
わけの分からない事を叫んでいて近所迷惑だったので部屋に連れ込みお茶を振る舞ってやり落ち着かせる
落ち着いた彼女と世間話をする、1日のノルマがどうとか先輩メリーがどうとか
お化けの世界も大変なんだろうと少し同情してしまった
それ以来、メリーさんは暇があると俺の家にお茶をたかりに来るようになった
彼女曰く「別にたかりに来てるわけではなく呪いに来てるのだ」とのこと
顔を真っ赤にして言っても説得力がないんだが、と俺は微笑ましく思っていた

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496 :2/2:2010/06/07(月) 14:38:38 ID:wtUT/oZj0
ピンポーン

ある日の深夜、チャイムが鳴った、ティーセットの用意をしていた俺はいつもの様に玄関先まで彼女を迎えに行く
ドアを開けると彼女は一瞬だけパァッ!っと笑顔になり、ハッと気づいてすぐに仏頂面になってしまう
そんなやり取りが楽しく俺が微笑んでいると、彼女は決まって「何ニヤニヤしてるのよ」と頬を膨らませる
俺が『何でもないよ』と微笑み、彼女を家に上げる、今日も深夜の楽しいお茶会がはじまる

「そこまでだ!!」

低い猛獣の様な声が響き、彼女のうしろに男が立って居るのに気付いた
『Tさん!?』寺生まれで霊感の強いTさんだった
彼女はTさんの迫力に怯え俺の後ろに隠れる
「おのれ!民間人を盾にするとは、畜生外道にも劣る悪霊め!!だが甘いッッ!!」
Tさんは両手を握り締め俺の背後の彼女に向ける
バッと両手を開くと青白い糸の様な光が背後の彼女に絡み付いた
Tさんが両腕を真上に上げると彼女も糸ごと天井に張り付けられた
「破ぁ――ッッ!!」
Tさんが吼え、両手から青白い光弾を放ち彼女を天井ごと吹き飛ばした
天井の大穴の向こうに見える星空を悲しげに見つめTさんは煙草に火をつける
「夢のお茶会は夢のまま…な…」
Tさんが「破っ!」っと軽く手をかざすと掌から青い光が溢れ俺は気を失った

目が覚めると俺は泣いていた
テーブルの上にはティーセットが茶を淹れる前の状態で置いてあった
それを見てると何故かまた涙が溢れてきた
そして心の中に、知らない女の子の向日葵のような笑顔と
寺生まれにいつかバックドロップをかましてやろうと言う決意だけが残っていた


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494 :本当にあった怖い名無し:2010/06/06(日) 09:18:50 ID:gVhV1GKq0
107 爆音で名前が聞こえません sage 2010/05/16(日) 00:26:03 ID:iYKekQ5OO
破ぁ禁止令が出た
隠れてやるとして、寝室のドアが開いてからベッドに潜るまでの時間
服を着て靴下を脱ぐ→4秒
頭に貼ったお札を剥がす→3秒
まとめてこたつの中に入れてベッドへ→5秒
合計12秒
なんとか大丈夫そうだ

110 爆音で名前が聞こえません sage 2010/05/16(日) 01:04:04 ID:iYKekQ5OO
>>108
ああ、親が寝てる時の話ね
母親の方は寝室→トイレ→寝室の確率が一番高くて、茶の間をたまに見る程度だからまあ最悪隠せなくても
父親の方は寝室→(トイレ・茶の間)→(茶の間に居座る・寝室)だから休みの日は絶対危険
つまり今日はやらない

112 爆音で名前が聞こえません sage 2010/05/16(日) 01:16:09 ID:iYKekQ5OO
その通り。
この時気をつけるべきは時間ではなく音
いかに音を立てずに事を済ますかだ
破ぁは小声でもできる。
威力が高いのでほんの少しでも物や人が吹っ飛ぶ
テレビ周りには鉄やガラスもあるので飛んだ物が当たればそれなりの音がする
それを抑えることが何よりも重要視されて、時間は二の次でいいのだ
だが万が一、そう考えるとつい急ぎがちになってしまうのである

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492 :本当にあった怖い名無し:2010/06/05(土) 14:46:51 ID:o4o8iTHF0
【T様】
T様とは、自分の知りたいことを何でも教えてくれる男の人だ。
T様を呼び出す方法は、簡単。
まず公衆電話に十円玉を入れて、自分の携帯電話に電話をかけて「T様、T様、おいでください。」といえばOK。
後はなんでもいいので生肉を購入、24時間以内に必ずT様から電話が来る。
A子はその方法を友達から聞いて、さっそく実行してみた。
そのわけは、仲のいい男子が好きで、その男子の気持ちが知りたいからだ。
そしてA子は電話して、友達から教わった方法の通りにした。
そして電話を待っていた。でも、いくら待っても電話は来ない。
やっぱりただの噂だったのか、とA子は思い、諦めて寝ることにした。そしたら、突然自分の携帯電話が鳴った。
急いで電話に出ると、「俺はT様。只今君の家に行く道を歩いているんだ。」そう言って、電話は切れた。
するとまた暫くたったら電話が来て、「私T様。今君の家の前だよ。」A子はだんだん怖くなった。
すると、「俺T様。今君の家の階段を上がっているよ。」そしたら、電話がまた鳴った。
そして、「俺T様。今君の後ろにいるよ。」といった。A子は急いで振り向いた。
でもA子は質問をすることができなかった。友達は、大切なことを言い忘れていた。T様の姿を見たら、自分は破ァされてしまうと・・・

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489 :本当にあった怖い名無し:2010/06/02(水) 22:16:13 ID:bMO4BbgH0
339 毛無しさん sage 2009/07/01(水) 22:37:26 ID:LlRes/T5
さっきTさんに大変な事が起きた
風呂場から「うわ!」とTさんの唸り声
焦った声で「かーさん!ちょっと来てくれ!」
オカンが慌てて風呂場へ
「なにそれ!」とオカンの叫び声
俺も慌てて駆けつけたら、Tさんの頭が緊急事態!
自慢のフサフサのロマンスグレイが所々うすくなっている
皮膚病にかかった猫みたいに所々にまだらハゲが
「どうしちゃったの髪の毛」とオカン
Tさんは青い顔してフルチンで
「わからん!クシで髪をといたらゴッソリ抜けた」
「病気じゃないのかい」とオカンもオロオロしている
「見てみろ、どんどん抜ける」と何度もクシを入れている

俺はぞっとして、心の中で叫んだ
それ、クシじゃないよ!
髪を減らすのに使うヘアカッターだよ
昨日ダイソーで買ったばかりだから切味抜群だよ
昼間、風呂場で自分で散髪した時に置き忘れてた
ごめんよTさん

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487 :本当にあった怖い名無し:2010/05/30(日) 20:14:08 ID:tHL/kjO80
朝起きる。
小便をしようと便所へ行き便器の蓋を開ける。
顔が半分抉られた女の生首が中からこっちを恨めしそうに見ている。

ゴボゴボゴボ

邪魔なので流す。

「破ぁ~・・・流しても流しても毎朝出やがって、
寝起きは吹き飛ばす気力も湧かないってのに」

ぼやきながら小便を済ませる。
そのうち、いちいち流すのが面倒になってそのまま用を足すように
なるかもしれない。

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483 :本当にあった怖い名無し:2010/05/26(水) 14:47:12 ID:whvRJh2q0
インターネットオークションサイト『Yahoo! オークション』で『iPhone』を落札したはずなのに、『iPhone』の箱しか届かなかった! 
そんな悲しみの声をあげている人がおり、インターネット上で注目されている。

Aさんは『Yahoo! オークション』を利用し4万3000円で『iPhone』を落札(したと思っていた)。しかし、実際に届いたのは『iPhone』の箱だけで、
出品者に問い合わせたところ「出品したのは箱だ」と返答があったという。
実際に出品ページを確認してみると、掲載されている写真は箱のみで、商品説明にも本体があるとは記載されていない。
しかし、商品タイトルや商品説明を読んだ限りでは『iPhone』本体を出品していると思ってしまってもおかしくない。
慎重に質問等をしなかった出品者にも非があるかもしれないが、入札開始価格が3万円であることもあり、10人中9人が
『iPhone』本体を出品していると思ってもおかしくない。

出品者も箱だけを出品するならば、勘違いしないように気を使って「箱のみの出品となります」などの注意書きを入れるべきだと思われる。
そのような文が一切ないことから、落札者は「商品説明はいかにも本体を販売していると思うもので、高額で箱を落札させようという悪意が
感じられます」と言っているわけだ。

一人で悩んでもどうにもならないと思ったのか、落札者Aさんは『Yahoo!知恵袋』に相談を書き込みし、「悪質なオークション出品者に引っかかって
しまい本当に困っています。どうかお力をお貸しください!」と嘆いていたところ、即座に「俺に任せろ、破ぁっ!!」という回答が書き込まれ、
それと同時にAさんの落札した箱が炎上、消滅した。

現在のところ、「出品者からの返金も返答もまだありませんが、寺生まれってやっぱりすごいですね」という状態のようで、進展はないようだ。
そんなAさんの相談に、多くの人たちが「消費生活センターにでも相談してはいかがでしょうか」とアドバイスしている。

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481 :本当にあった怖い名無し:2010/05/26(水) 04:51:35 ID:3hJRJE8a0
42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/02(土) 00:09:30.47 ID:X4m2IyLK0
ファミレスで「T」とだけ書いておいたら、普通に
「寺生まれのTさんー」と呼ばれた。
ほんと普通に呼ばれたので思わず吹き出してしまった。

「奥の席でもよろしいですか?」と聞かれたので、
「破ァ・・・・・・」と答えたら
店員が鼻水飛ばして吹き飛んだ

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477 :本当にあった怖い名無し:2010/05/26(水) 00:24:06 ID:qrzwOda60
ある日のこと。私は山道に車を走らせていました。
その日は友人達と夕食を食べたりドライブをしていました。
雑談が長引いたりあっちこっち寄り道をしたおかげで、
友人達を全員送り終えた頃には日が変わっていました。
この時、私は運転しながら内心ビクビクしていました。
というのも、先ほど送り終えた友人が家に着くまでいろいろと怖い話を
話していたからです。
深夜であることと山道というのもありますが、
それに加え雨天と雨霧で視界が悪く、蒸し暑さもあって何かが
出そうな雰囲気を感じていたのです。

(何も出ませんように・・・)

私は心の中で祈るようにその言葉を何度も繰り返していました。

ドン

突然、車の上から一際大きな音がしました。
雨音と思いたかったのですが、その音には雨音とは明らかに違う重みがあった
のです。
しかも・・・

ガタ・・・ガタ・・・

車の上を移動するような音が続けて聞こえてきたのです。
上に何かがいるのは明らかでした。

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478 :本当にあった怖い名無し:2010/05/26(水) 00:25:45 ID:qrzwOda60
気が動転した私は逃れたい一心で山道にも関わらずスピードを
上げました。
しかし、音は一向に止みません。
半泣きになりかけていた私でしたが、その時友人が最後に話していた
寺生まれのTさんの話を思い出しました。
寺生まれのTさんは霊感が異常に強くあちらこちらで心霊現象を解決している
凄い人らしいのですが、本当に怖くてどうしようもなくなった時は
心の中でそのTさんに助けを求めろと友人は言っていました。

(助けて寺生まれのTさん、助けて寺生まれのTさん、助けて寺生まれのTさん)

私は念仏の如く心の中でTさんに助けを求めました。
しかし、事態はもっと悪くなりました。
フロントガラスの上方から人の髪の毛のようなものが見えてきたのです。
「ぬーっと」という表現がありますが、正にその表現通りに髪が垂れていき
遂には白目を剥いた青白い顔が見えてきたのです。

「助けて寺生まれのTさん!破ァ!」

恐怖のあまりに助けるを求める声と同時に、私は話に聞いたTさんの真似を
して手の平をフロントガラスに向けて突き出しました。
その時です。

「人の恐怖心を煽る下級霊め!」

突然手の平が光ったと思いますと、そこから私と同じ様に手の平を突き出し
ながら一人の男が現れたのです。

「破ァァァァァァァァ!」

私はつい急ブレーキを踏みましたが、男は構わずに突き出した手の平から
青白い光弾をフロントガラスに向かって放ちました。

479 :本当にあった怖い名無し:2010/05/26(水) 00:27:19 ID:qrzwOda60
凄い振動を感じましたがすぐに止み、雨音だけが周囲から聞こえていました。

「もう大丈夫だ」

先ほどの男が爽やかな笑みを浮かべていつの間にか助手席に座っていました。
フロントガラスを見ますとあの青白い不気味な人の顔はありませんでした。
それどころかフロントガラスも粉々に吹き飛んでなくなっていました。

「・・・あの、ありがとうございました。ところであなたは?」

名前を聞くと男はTといい寺生まれであると言いました。
そう、その男こそ友人の話していたTさんだったのです。

「いったいどうやってここへ?」

「俺を呼ぶ強い念を感じたんでな。すっとんで来たってわけさ」

私は初めて寺生まれが凄いと思いました。

「あ、来たのはいいけど帰りどうしようかな」

帰れないらしいので私がTさんを家まで送りました。
ちなみにフロントガラスはTさんが直してくれました。


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466 :本当にあった怖い名無し:2010/05/23(日) 17:44:32 ID:DSZHszMl0
ある街の柱の上に幸福な王子の像が立っていました。王子の像は全体を薄い純金で覆われ、
目は二つの輝くサファイアで、王子の剣のつかには大きな赤いルビーが光っていました。
そんなとても美しい王子は、街に住む全ての人々の自慢でした。

ある晩、その街に小さなツバメが飛んできました。友達らはすでに六週間前にエジプトに
出発していましたが、そのツバメは残っていました。彼は最高にきれいな葦に恋をして、
冬が間近に迫るまで留まっていたのです。
しかし、どうしても靡くばかりで頼りない葦の様子にじれてやはり南に渡ろうと思ったのです。

「どこに泊まったらいいかな」一日中飛び続け、疲れ果てたツバメは言いました。
「泊まれるようなところがあればいいんだけれど」それからツバメは高い柱の上の像を見ました。
「あそこに泊まることにしよう」と声をあげました。「あれはいい場所だ、新鮮な空気もたくさん吸えるし」
そしてツバメは幸福の王子の両足のちょうど間に止まりました。

「黄金のベッドルームだ」ツバメはあたりを見まわしながらそっと一人で言い、眠ろうとしました。
ところが、頭を翼の中に入れようとしたとたん、大きな水の粒がツバメの上に落ちてきました。
「何て不思議なんだ!」とツバメは大きな声をあげました。
「空には雲一つなく、星はとてもくっきりと輝いているというのに、雨が降っているなんて。
北ヨーロッパの天候はまったくひどいもんだね。」 すると、もう一滴落ちてきました。

「雨よけにならないんだったら、像なんて何の役にも立たないな」とツバメは言いました。
「もっといい煙突を探さなくちゃ」ツバメは飛び立とうと決心しました。
でも、翼を広げるよりも前に、三番目の水滴が落ちてきて、ツバメは上を見上げました。
すると――何が見えたでしょうか。

幸福の王子の両眼は涙でいっぱいになっていました。そしてその涙は王子の黄金の頬を流れていたのです。
王子の顔は月光の中でとても美しく、小さなツバメはかわいそうな気持ちでいっぱいになりました。
「あなたはどなたですか」ツバメは尋ねました。

「私は幸福の王子だ」

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467 :本当にあった怖い名無し:2010/05/23(日) 17:47:49 ID:DSZHszMl0
「それなら、どうして泣いているんですか」とツバメは尋ねました。「もう僕はぐしょぬれですよ」

「まだ私が生きていて、人間の心を持っていたときのことだった」と像は答えました。
「私は涙というものがどんなものかを知らなかった。というのは私はサンスーシの宮殿に住んでいて、
そこには悲しみが入り込むことはなかったからだ。庭園の周りにはとても高い塀がめぐらされていて、
私は一度もその向こうに何があるのかを気にかけたことがなかった。
周りには、非常に美しいものしかなかった。廷臣たちは私を幸福の王子と呼んだ。実際、幸福だったのだ、
もしも快楽が幸福だというならば。私は幸福に生き、幸福に死んだ。
死んでから、人々は私をこの高い場所に置いた。ここからは町のすべての醜悪なこと、
すべての悲惨なことが見える。私の心臓は鉛でできているけれど、泣かずにはいられないのだ」

「何だって! この王子は中まで金でできているんじゃないのか」とツバメは心の中で思いました。
けれどツバメは礼儀正しかったので、個人的な意見は声に出しませんでした。

王子の像は低く調子のよい声で続けました。「ずっと向こうの小さな通りに貧しい家がある。
窓が一つ開いていて、テーブルについたご婦人が見える。顔はやせこけ、疲れている。
彼女の手は荒れ、縫い針で傷ついて赤くなっている。彼女はお針子をしているのだ。
その婦人はトケイソウの花をサテンのガウンに刺繍しようとしている。
部屋の隅のベッドでは、幼い息子が病のために横になっている。
熱があって、オレンジが食べたいと言っている。母親が与えられるものは川の水だけなので、
その子は泣いている。
ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん。私の剣のつかからルビーを取り出して、
あの婦人にあげてくれないか。両足がこの台座に固定されているから、私は行けないのだ」


468 :本当にあった怖い名無し:2010/05/23(日) 17:49:57 ID:DSZHszMl0
「私は男の子が好きじゃないんです」とツバメは答えました。
「去年の夏、川のほとりにいたとき、二人の乱暴な男の子がおりました。
粉引きの息子たちで、二人はいつも僕に石を投げつけました。もちろん一回も当たりませんでしたよ。
僕たちツバメはそういうときにはとてもうまく飛びますし、その上、僕は機敏さで有名な家系の出ですから。
でも、石を投げてくるっていうのは失礼な証拠ですよね」

でも、幸福の王子がとても悲しそうな顔をしましたので、小さなツバメもすまない気持ちになりました。
「ここはとても寒いですね」とツバメは言いました。
「でも、あなたのところに一晩泊まって、あなたのお使いをいたしましょう」

「ありがとう、小さなツバメさん」と王子は言いました。

そこでツバメは王子の剣から大きなルビーを取り出すと、くちばしにくわえ、
町の屋根を飛び越えて出かけました。

ツバメは川を越え、船のマストにかかっているランタンを見ました。ツバメは貧民街を越え、
老いたユダヤ人たちが商売をして、銅の天秤でお金を量り分けるのを見ました。
やっと、あの貧しい家にたどり着くと、ツバメは中をのぞき込みました。
男の子はベッドの上で熱のために寝返りをうち、お母さんは疲れ切って眠り込んでおりました。
ツバメは中に入って、テーブルの上にあるお母さんの指ぬきの脇に大きなルビーを置きました。
それからツバメはそっとベッドのまわりを飛び、翼で男の子の額をあおぎました。
「とても涼しい」と男の子は言いました。「僕はきっと元気になる」そして心地よい眠りに入っていきました。

それからツバメは幸福の王子のところに飛んで戻り、やったことを王子に伝えました。「妙なことに」とツバメは言いました。
「こんなに寒いのに、僕は今とても温かい気持ちがするんです」

「それは、いいことをしたからだよ」と王子は言いました。
そこで小さなツバメは考え始めましたが、やがて眠ってしまいました。考えごとをするとツバメはいつも眠くなるのです。

469 :本当にあった怖い名無し:2010/05/23(日) 17:56:44 ID:DSZHszMl0
「今夜、エジプトに行きます」次の日の朝、ツバメは言いました。ツバメはその予定に上機嫌でした。
町中の名所をみな訪れてから、教会の尖塔のてっぺんに長い時間とまっていました。
ツバメが行くところはどこでもスズメがチュンチュン鳴いていて、「素敵な旅人ね」と口々に言っていましたので、
ツバメはとてもうれしくなりました。
月がのぼると、ツバメは幸福の王子のところに戻ってきて声をあげました。「もうすぐ出発します」

「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん。もう一晩泊まってくれませんか」と王子は言いました。
「ずっと向こう、町の反対側にある屋根裏部屋に若者の姿が見える。彼は紙であふれた机にもたれている。
傍らにあるタンブラーには、枯れたスミレが一束刺してある。彼の髪は茶色で細かく縮れ、唇はザクロのように赤く、
大きくて夢見るような目をしている。彼は劇場の支配人のために芝居を完成させようとしている。
けれど、あまりにも寒いのでもう書くことができないのだ。暖炉の中には火の気はなく、空腹のために気を失わんばかりだ」

「…もう一晩、あなたのところに泊まりましょう」ツバメは言いました。
「もう一つルビーを持っていきましょうか」

「ああ!もうルビーはないのだよ」王子は言いました。
「残っているのは私の両目だけだ。私の両目は珍しいサファイアでできている。
私の片目を抜き出して、彼のところまで持っていっておくれ。彼はそれを宝石屋に売って、
食べ物と薪を買って、芝居を完成させることができるだろう」

「私にはできません」ツバメは泣き始めました。
「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。
「私が命じたとおりにしておくれ」

そこでツバメは王子の目を取り出して、彼の部屋へ飛んでいきました。屋根に穴があいていたので、入るのは簡単でした。
ツバメは穴を通ってさっと飛び込み、部屋の中に入りました。その若者は両手の中に顔をうずめるようにしておりましたので、
鳥の羽ばたきは聞こえませんでした。そして若者が顔を上げると、そこには美しいサファイアが枯れたスミレの上に乗っていたのです。

若者は大声を出しました。「これは誰か、熱烈なファンからのものだな。これで芝居が完成できるぞ」若者はとても幸福そうでした。
470 :本当にあった怖い名無し:2010/05/23(日) 18:00:34 ID:DSZHszMl0
次の日、ツバメは波止場へ行きました。大きな船のマストの上にとまり、水夫たちが大きな箱を
船倉からロープで引きずり出すのを見ました。箱が一つ出るたびに「よいこらせ!」と水夫たちは叫びました。
「僕はエジプトに行くんだよ!」とツバメも大声を出しましたが、誰も気にしませんでした。
月が出るとツバメは幸福の王子のところに戻りました。

「おいとまごいにやってきました」ツバメは声をあげました。

「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。「もう一晩泊まってくれませんか」

「もう冬です」ツバメは答えました。「冷たい雪がまもなくここにも降るでしょう。王子様、僕は行かなくちゃなりません。
あなたのことは決して忘れません。来年の春、僕はあなたがあげてしまった宝石二つの代わりに、
美しい宝石を二つ持って帰ってきます。ルビーは赤いバラよりも赤く、サファイアは大海のように青いものになるでしょう」

「下のほうに広場がある」と幸福の王子は言いました。「そこに寺生まれの青年がいる。売り物のお札を溝に落としてしまい、
全部駄目になってしまった。お金を持って帰れなかったら、お父さんが彼ををぶつだろう。だから彼は泣いている。
彼は靴も靴下もはいていないし、何も頭にかぶっていない。私の残っている目を取り出して、寺生まれの青年にやってほしい。
そうすればお父さんからぶたれないだろう」

「もう一晩、あなたのところに泊まりましょう」ツバメは言いました。「でも、あなたの目を取り出すなんてできません。
そんなことをしたら、あなたは何も見えなくなってしまいます」

「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。「私が命じたとおりにしておくれ」

そこでツバメは王子のもう片方の目を取り出して、下へ飛んでいきました。ツバメは寺生まれ青年のところまでさっと降りて、
宝石を手の中に滑り込ませようとしました。
ところが、その青年はひらりと身をかわし叫びました。「人を狙うとはなんと危険なツバメだ!」
そしてもの凄い速さで印を結び、「破ぁ!!」という掛け声とともに、ツバメ目掛けて青白い光弾を飛ばしてきました。

間一髪逃げ延びたツバメは宝石を寺の入口に置き、王子のところに戻りました。
473 :>>470と>>471の間が抜けていた。:2010/05/23(日) 18:12:35 ID:DSZHszMl0
次の日一日、ツバメは王子の肩に止まり、珍しい土地で見てきたたくさんの話をしました。
ナイル川の岸沿いに長い列をなして立っていて、くちばしで黄金の魚を捕まえる赤いトキの話。
世界と同じくらい古くからあり、砂漠の中に住んでいて、何でも知っているスフィンクスの話。
黒檀のように黒い肌をしており、大きな水晶を崇拝している月の山の王の話。
広く平らな葉に乗って大きな湖を渡り、蝶といつも戦争しているピグミーの話。

「可愛い小さなツバメさん」王子は言いました。「あなたは驚くべきことを聞かせてくれた。
しかし、苦しみを受けている人々の話ほど驚くべきことはない。度しがたい悲しみ以上に解きがたい謎はないのだ。
小さなツバメさん、町へ行っておくれ。そしてあなたの見たものを私に教えておくれ」

ツバメはその大きな町の上を飛びまわり、金持ちが美しい家で幸せに暮らす一方で、
乞食がその家の門の前に座っているのを見ました。暗い路地に入っていき、ものうげに
黒い道を眺めている空腹な子供たちの青白い顔を見ました。橋の通りの下で小さな少年が二人、
互いに抱き合って横になり、暖め合っていました。「お腹がすいたよう」と二人は口にしていましたが「
ここでは横になっていてはいかん」と夜警が叫び、二人は雨の中へとさまよい出ました。

それからツバメは王子のところへ戻って、見てきたことを話しました。

「私の体は純金で覆われている」と王子は言いました。「それを一枚一枚はがして、貧しい人にあげなさい。
生きている人は、金があれば幸福になれるといつも考えているのだ」

ツバメは純金を一枚一枚はがしていき、とうとう幸福の王子は完全に輝きを失い、灰色になってしまいました。
ツバメが純金を一枚一枚貧しい人に送ると、子供たちの顔は赤みを取り戻し、笑い声をあげ、通りで遊ぶのでした。
「パンが食べられるんだ!」と大声で言いました
471 :本当にあった怖い名無し:2010/05/23(日) 18:03:04 ID:DSZHszMl0
「あなたはもう何も見えなくなりました」とツバメは言いました。「だから、ずっとあなたと一緒にいることにします」

「いや、小さなツバメさん」とかわいそうな王子は言いました。「あなたはエジプトに行かなくちゃいけない」

「僕はずっとあなたと一緒にいます」ツバメは言いました。そして王子の足元で眠りました。


やがて、雪が降ってきました。その後に霜が降りました。通りは銀でできたようになり、たいそう光り輝いておりました。
水晶のような長いつららが家ののきから下がり、みんな毛皮を着て出歩くようになり、子供たちは真紅の帽子をかぶり、
氷の上でスケートをしました。

かわいそうな小さなツバメにはどんどん寒くなってきました。でも、ツバメは王子の元を離れようとはしませんでした。
心から王子のことを愛していたからです。パン屋が見ていないとき、ツバメはパン屋のドアの外でパン屑を拾い集め、
翼をぱたぱたさせて自分を暖めようとしました。

でも、とうとう自分は死ぬのだとわかりました。ツバメには、王子の肩までもう一度飛びあがるだけの力しか残っていませんでした。
「さようなら、愛する王子様」ツバメはささやくように言いました。「あなたの手にキスをしてもいいですか」

「あなたがとうとうエジプトに行くのは、私もうれしいよ、小さなツバメさん」と王子は言いました。
「あなたはここに長居しすぎた。でも、キスはくちびるにしておくれ。私もあなたを愛しているんだ」

「私はエジプトに行くのではありません」とツバメは言いました。「死の家に行くんです。『死』というのは『眠り』の兄弟、ですよね」

そしてツバメは幸福の王子のくちびるにキスをして、死んで彼の足元に落ちていきました。
その瞬間、像の中で何かが砕けたような奇妙な音がしました。それは、鉛の心臓がちょうど二つに割れた音なのでした。ひどく寒い日でしたから。

472 :本当にあった怖い名無し:2010/05/23(日) 18:07:32 ID:DSZHszMl0
次の日の朝早く、市長が市会議員たちと一緒に、像を見上げていました。
「おやおや、この幸福の王子は何てみすぼらしいんだ」と市長は言いました。
「ルビーは剣から抜け落ちてるし、目は無くなってる。これでは乞食とたいして変わらんじゃないか」
「それに、死んだ鳥なんかが足元にいる」市長は続けました。
「われわれは実際、鳥類はここで死ぬことあたわずという布告を出さねばならんな」
そこで書記がその提案を書きとめました。

そこで彼らは幸福の王子の像を下ろしました。
「もう美しくないから、役にも立たないわけだ」大学の芸術の教授が言いました。

溶鉱炉で像を溶かすときに、その金属を使ってどうするかを決めるため、市長は市議会を開きました。
「もちろん他の像を立てなくてはならない」と市長は言いました。「そしてその像は私の像でなくてはなるまい」

「いや、私の像です」と市会議員たちがそれぞれ言い、口論になりました。私が彼らのうわさを最後に聞いたときも、まだ口論していました。

「おかしいなあ」鋳造所の労働者の監督が言いました。「この壊れた鉛の心臓は溶鉱炉では溶けないぞ。捨てなくちゃならんな」
心臓は、ごみために捨てられました。そこには死んだツバメも横たわっていたのです。

あくる日、そのごみだめに寺生まれの青年がごみ漁りにやってきました。

「もったいない、鉛が捨てられている。これでありがたい仏像を作るとしよう」
「おや、こちらにはツバメが死んでいる。可哀想に。上手いことしてあげよう。破ぁ!」

こうして、幸福な王子様の像とツバメは、上手いこと幸せになったそうです。
寺生まれってっやぱりすごい。お堂から街を眺めながら、王子の仏像はそう思いました


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