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寺生まれのTさんまとめ@オカ板
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52 :本当にあった怖い名無し:2011/03/08(火) 07:15:45.50 ID:KG1tVcQU0
「恋が叶う御守り?」
友美はうん、と頷いてポケットから何やら奇妙な紙切れを取り出した。
彼女に寄れば、それは最近流行りの恋に効く御守りなのだという。
「由梨、知らなかったの? 新しいもの好きだから、もう持ってるかと思った!」
「別に。私オカルトとか興味ないから」
友美の意外そうな声に少しムッとしながら、私はそう言って校舎を出た。
…私にだって気になる相手くらい居る。
ただ、御守りでどうこうなる位生易しい恋では無いことは、私自身良く分かっていた。
健介…。彼には、既に可愛い彼女がいる。
私なんか到底敵わない。そう、神頼みでどうにかなる問題じゃ無いのだ。
「それはどうですかな?」
不意に聞こえた声に足を止めると、何時の間にか私のすぐそばに男の人が立っていた。柔和な面持ち、けれど何処か…怖い。
「私の作るこの札は、貴女の心を反映します。神頼みなどではありません。
思いが強ければ強いほど、それを現世に反映する」
彼はそう言うと、何処から取り出したのか一枚のお札を私に手渡した。
「お代は頂きませんとも。うら若き乙女の恋を手伝うのは、私自身の愉しみでもありますからね」
そう言うと、彼は踵を帰して去って行った。後には私とお札が残される。
「今の…何だったの…?」
私は半信半疑のまま、カバンの中に札をしまい込んだ。

効果は直ぐに現れた。
次の日、健介が私に告白してきたのだ。
何でも前の彼女とは別れたらしい。私の頭の中を、彼から貰ったお札がよぎった。
「勿論!」
私の返事に、健介は極上の笑顔を返してくれた。
それから、健介の元彼女は不登校になったらしい。なんでもいじめに遭ったとか。
その話を聞いて、私は思わず喜んだ。
彼女のせいで長年報われない片思いに苦しんだのだ。今度は彼女が苦しむ番。もっと苦しめばいい。自殺してしまえ。

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53 :本当にあった怖い名無し:2011/03/08(火) 07:16:58.18 ID:KG1tVcQU0
「少しいいかな?」
彼と一緒の帰り道。家の手前で別れて別々に帰る。
家の前に、近所に住む寺生まれで霊感の強いTさんが立っていた。
「君から何かよくないものを感じてね。
心霊スポットや何か謂れのある場所に行かなかったかい?」
「いえ、行ってないですけど…」
この人はダメだ、にげなくちゃ。
私の中の何かが急きたてる。
「じゃ、じゃあこれで…」
「まてっ!」
Tさんが私の肩をつかんだ。
「じゃあ、特殊な札や御守りは?」
心臓が跳ね上がった。あれは私の恋愛を成就させてくれたのだ。渡す訳にはいかない。あれを無くしたら、彼は私の元から去ってしまうかも…。
「思った通りだな。姿を現わせ、悪しき式神め!」
Tさんが叫んだ途端、私の鞄が勝手に開いた。
驚いて取り落としたそこから、黒いもやが吹き出してくる。
「ばれてしまいましたか…。彼女の憎しみはとても心地よかったのですがねえ…」
背後の影から、あの時私に札を渡した男が現れた。
「矢張り貴様か…陰陽師っ!」
Tさんが叫ぶと、男は薄く笑う。
「貴様も腐っても陰陽師なら、何故人を貶めようとする!」


54 :本当にあった怖い名無し:2011/03/08(火) 07:17:18.67 ID:KG1tVcQU0
Tさんの問いに、彼は再び笑った。
「簡単なこと…。人の恨み、憎しみこそがこの世でもっとも強いエネルギーと気付いたからに過ぎぬ。
現にそこのお嬢さんの恨みの力は恋敵を呪いの力で陥れ、私の式神をこんなにも成長させてくれた!」
その言葉と共に、黒いもやがTさんに迫る。
「何をっ…破ぁ!」
「我々陰陽道を生業とする一族は、貴様ら住職一族に地位と居場所を奪われた…。
この恨み、今こそ晴らしてくれようぞ!」
闇の中に男の笑い声が響く。
その声は霧散したもやを再び携えて、暗闇に消えていった。
「大丈夫ですか、Tさん!」
「ああ、それより君は…」
私は俯いた。健介の彼女を不幸の淵に叩き落としたのは、私の醜い心だった…
「私は、どうしたら…」
ぽん、と肩に手が置かれた。
「謝るといい。誠心誠意、心の底から。特殊な力なんか要らない、真心こそが人間の最大の矛であり盾だ」
私の瞳から、ほろほろと涙がこぼれる。
「はい…!」
寺生まれって凄い。改めてそう思いながら私は頷いた。


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520 ::2010/07/06(火) 16:36:40 ID:6QqFYzmJ0
ある高校生の男女各4人が、一人の家に集まって怖い話をしていたそうです。
夜もふけてきた所で、肝試しに行くことになりました。
でも本当の目的はむしろ、男女ペアになって行くという事のほうが楽しみだったので、
場所は安直に彼らの通う高校に行くことにしたそうです。
しかしこの高校は築100年近くたっていたので、行って見ると思ったより迫力があります。
早速男女ペアになって、一組づつ学校の周りを一周することになりました。
構内には入れなかったので、周りを一周するだけならせいぜいかかる時間は20分ほどです。
まず最初の1組が出発しました。皆でひやかしたりしながら、にぎやかに去っていきました。
しかし、20分たっても30分たっても戻ってきません。
2人っきりで何をしてるんだろうかとひやかしながら、2組目が出発しました。
しかし、やはり彼らも帰ってきません。
3組目が出発することになりました。
このころにはさすがに深刻になってきていて、絶対周ったら戻ってくるし、
他のやつらも見つけたら連れてくると約束して出発しました。
そしてこの3組目も戻ってきません。
一組目が出発して、既に時間は2時間以上立っていました。
とうとう女の子は泣き出しました。
残ったもう一人の男の子が、
「俺が行ってくる。もし30分たっても俺が戻ってこなかったら警察へいけ。絶対待つなよ。」
と言い残して駆け出しました。
そしてその子も戻ってきませんでした。
残された女の子は泣きながら、それでも1時間待ったそうです。
そしてその足で、警察へと向かいました。

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521 ::2010/07/06(火) 16:38:29 ID:6QqFYzmJ0
そして警察官と一緒にその場所に戻り、彼らを探した彼女が見た物は、無数の悪霊と戦う彼らの姿でした。
DQNだが霊感の強いUさん「ショットガン破ァ!!」
拳から散弾のように発射された光がUさんの正面にいた悪霊数体を粉砕しました。
不思議ちゃんキャラで霊感の強いOさん「Uくん危ない!波ァ!」
Oさんが突き出した掌からバリアのような光の壁が現れUさんへの攻撃を遮断します。
眼鏡で優等生で霊感の強いSさん「Uくん、考え無しに突っ込んで皆の足を引っ張らないで下さい。破ァ!」
言いながら親玉と思しきひときわ大きな悪霊に光弾を打ち込みます。
親玉「ふん!通常の破ァがこの我に通用するか!」
だが悪霊の親玉は難なく避けます
Sさん「戻れ!ブーメラン破ァ!」
Sさんがそう言い手首を返すと外れた光弾がカーブして戻り親玉の後頭部に直撃します。
親玉「くっ…小癪な真似を!」
姐御肌で霊感の強いRさん「みんな!あたいが奴の動きを封じるからありったけを叩き込みな!把ァ!」
セレブで霊感の強いMさん「エターナル・アブソリュート・エクスプロージョン・破ァ・フォルテッシモ!」
アメリカからの留学生で霊感の強いJさん「フラッシュ・ピストン・マッハ破ァ!」
寺生まれで霊感の強いTさん「破ァ!!」
警察官「やれやれ、本来警察ってのは霊事不介入なんだが仕方ねえ!リボルバー破ァ!」
親玉「くっ…おのれ!こうなったら我の真の姿を見せてやる!」
するとその場にいた悪霊達が親玉吸い込まれ、親玉はとうとう高校の建物より巨大に!
Uさん「なん…だと…!?」

522 ::2010/07/06(火) 16:39:19 ID:6QqFYzmJ0
親玉「喰らえ!覇ァ!」
悪霊の親玉の口から発射された黒い光弾によってその場にいた全員が吹き飛ばされます。
Rさん「そんな…こんな奴どうやって倒せっていうのよ…」
全員の心が絶望に支配されようとしたその時、
Tさん「You're still have lots more to work on…」
見るとTさんはいつの間にか立ち上がり親玉と対峙しています。
Tさん「フラッシュ・ピストン・マッハ破ァ!ブーメラン破ァ!ショットガン破ァ!」
Uさん「あいつ…いつの間に俺たちの技を!」
Sさん「単なるコピーではありません、スピード、威力、全てにおいて私たちのそれとは桁違いです!」
Rさん「それだけじゃないわ…あの破ァ、ジャイロ回転している!」
?「やっと目覚めたみたいだな」
その声に振り向くとそこにはTさんのお父さんが、
T父「あれこそが我が流派に伝わる【無我の破ァ】だ。」
親玉「バカな!この我が、人間ごときに敗れるというのか!?」
Tさん「消し飛べ!破ァ!」
親玉「だがこれで終わったと思うな残りの四天王は我よりも強い!せいぜいそれまでの生を大事に生きるんだな!」
そう言い残し悪霊は四散した、気付けばもう夜が終わろうとしている、
だがこれが私たちの長い戦いの始まりだった。
520先生の次回作に(ry


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410 :本当にあった怖い名無し:2010/02/13(土) 09:21:58 ID:0cnYstyD0
小学生のときのこと。
バレンタインデーの日の朝、母親がニッコリと笑いながら、「もしチョコをもらったらこの中に入れて帰りなさい」と言って、紙袋を俺に見せた。
俺は「どうせもらえないからいいよ」と母親に言ったが、「Tちゃん(俺の名前)はカッコいいからたくさんもらえるよ!」と言って自信ありげに俺に紙袋を持たせたので、俺は紙袋を持って登校することにした。

やっぱりチョコは一つももらえなかった。

下校時、俺は母親からもらった紙袋を無駄にしてはいけないと思い、家に帰るまでに道端に落ちていた怨霊を破ぁして、紙袋に入れて帰った。
家に帰り着くと、玄関先で母親が笑顔で出迎えてくれた。俺は「もらえなかったよ」と言って、怨霊の入った紙袋を母親に見せた。
すると母親は、「Tちゃんはエラいね。いつかチョコもらえると思うよ」と言うと、涙をポロポロと流し始めた。
俺もその姿を見て泣いてしまった。


それから約20年が経つ。
俺はいまだにチョコをもらったことがない。
母親は数年前に破ぁした。

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371 ::2010/01/16(土) 22:04:23 ID:zsesf9t20
Aさんは華のような女性だ。
それも過剰に派手だったり無駄に目立ったりするものではなく、もっと慎ましく
清らかで、ただそこにあるだけで周りを幸せにしてくれる種類の華だ。
この狭くて薄暗くて小汚い教室も、彼女がいれば緩やかで暖かいクリームのような
空気に満たされるのだ。

ところが最近、そのAさんに元気が無い。元々やせ形なのに、更に痩せたように見える。
ゼミも休みがちで、講義中も上の空なことが多い。
彼女はまるで夏の終わりの睡蓮のように、日を増す事に少しずつ萎れていくのだった。

近頃、隣町で若い女性ばかりが襲われるという物騒な事件が多発しているようだし、
彼女の身に何か良くないことがでも起こったのだろうか。
初めのうちはただ心配そうに見ていることしかできなかった僕も、ついには見てられなくなり
なけなしの勇気を振り絞って声をかけることにした。
これを機に親しくなれるかも…という不純な思いも無かったとは言えない。
が、何より僕にとって、彼女の笑顔が見れないということは死活問題なのだ。

「彼が消えちゃったんだ」と彼女は言った。

そりゃそうだ!彼氏くらいいるよなぁ、なんとなく分かってたよ。
…分かってたけどつらいもんはつらい。
それが消えただって?何も言わずに?こんな可愛い娘を残して?
何考えてやがるんだ!無性に腹が立ってきた。
いや、でもそんな甲斐性の無い男、いなくなってよかったよ。
君にそんな悲しい顔させるような奴のことなんか、さっさと忘れた方がいいよ。

などとはとても言えるわけもなくて、訥々と話す彼女の言葉に、相槌を打ち続けることしか
できずにいた。そればかりか、僕は遠慮するAさんを押し切ってまで強引に
「なくしもの探しのエキスパートを紹介する」という約束を取り付けてしまったのだ。
我ながら何たる逆走か。

そんなわけで、僕は久しぶりに寺生まれのTさんに連絡を取ることになったのである。

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372 ::2010/01/16(土) 22:08:47 ID:zsesf9t20
「任せときな、破っと言う間に見つけてやるさ!」
40分遅れで待ち合わせの喫茶店にやってきたTさんは、悪びれる様子もなく
注文したナポリタンを豪快に食べ終えてから、高らかにそう宣言した。

このTさんは寺生まれで霊感が強く、除霊やまじない・霊視などを得意としている
少し変わった先輩だ。
少し変わったトラブルに巻き込まれた時に、男は日本酒一瓶、女は携帯番号を対価
として支払うことで、その類い希な力を貸してくれるというわけだ。

Aさんと、Aさんの番号が書かれたメモ交互に眺めながら、いやらしい顔をしている
Tさんを見ていると、心配事は尽きないが、
とにかく今は彼女の笑顔を取り戻すことが最優先だ。

「あの、そろそろ始めませんか?」と、いつまでもにやけてるTさんを促した。

「うむ、さっさっとやちまうか。頼んでたもの、持ってきてるよね?」
「はい」そう答えてAさんは鞄から数枚の写真と一着のスウェットを取り出して机に置いた。
「彼の写真と、彼が家に泊まりにきた時にいつも着てたものです…これで大丈夫でしょうか?」

おいおい、お泊まりまでしちゃってるのか!そうだよな…付きあってるんだもんな。
写真を見る限り、そんなに男前でもないと思うんだけどなぁ。
などと情けない僻みや嫉みに頭を巡らせている僕をよそにTさんは満足そうに頷いた。
「オーライ、これだけあればばっちりだ。まぁ見てな」
そう言うとTさんは打って変わって真剣な表情になり、机上のスウェットに手をかざし叫んだ。

「映屋ーーーっ!!」

373 ::2010/01/16(土) 22:13:22 ID:zsesf9t20
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・長い沈黙。

どうしたというのか?いつもならすんなり霊視を終わらせて、訊いてもいないことまで
べらべらとまくしたてるTさんが、額に汗を浮かべて固まっている。
僕もAさんもその場から動くことができず、固唾を呑んで見守るしかなかった。

それからどれくらい時間がたったろうか。
ようやく体勢を戻したTさんが煙草に火を付けながら口を開いた。

「すまん。…何も見えん」

「そんな!」僕はソファーから身を乗りだし、声を荒げた。
「どういうことですか!?何も見えないって…」
勇んでTさんを紹介した者として、このまま彼女を手ぶらで帰すわけにはいかない。
しかしTさんは食い下がる僕を遮るように頭を下げた。
「見えんもんは見えん。Aちゃん、申し訳ない」

Tさんに頭を下げられたAさんは、とても恐縮してしまっているし
その余りにも素直な謝りっぷりに、僕ももう何も言えなくなってしまった。

374 ::2010/01/16(土) 22:18:20 ID:zsesf9t20
何の収穫も無かったにも関わらず、Aさんは丁寧にお礼を言って帰っていった。
本当は駅まで送って行きたかったけれど、こんな状況で道中どんな話をしたらいいのかわからなかったのだ。

「Tさんでも失敗することあるんですね…」
僕はTさんを、そして自分を慰めるように呟いた。が、
Tさんは聞こえているのかいないのか、疲れた顔で紫煙を燻らせているだけだった。

これはTさんにも申し訳ないことをしたかな。それに明日からAさんと会うのがちょっと気まずいよなぁ…。
そんな事をなんとなく考えながら二杯目のコーヒーをすすっていると
Tさんがおもむろに、とんでもない言葉を発した。

「Aちゃんの『彼』な、死んでたわ」

「!!?」僕はコーヒーを吹き出してしまいそうになった。
そういうことだったのか!Tさんにはちゃんと視えていたのだ。悲劇的な結末が。

「…そりゃあ、彼女には言いにくいですよね」
「ん……まあな」と、なんとも歯切れの悪そうに答える思案顔のTさん。
そうなのだ、これを知れば彼女はもっと悲しむ事になる。
既に知ってしまった僕は一体これからどうすればいいのだろうか?どんな顔で彼女に会えばいいのか?

「それじゃ、行くか」僕の逡巡を断ち切るように、Tさんが立ち上がり言った。
いつものような力強さはないけれど、何かを決心したような、よく響く声だ。
「あ、帰ります?…今日はなんか、すいませんでした」
「何言ってんの、お前も来るんだよ」
「え?どこか行くんですか」
まだ頭の整理がついていない僕に、Tさんはまたとんでもない事をさらっと言う。

「え?遺体見に」

375 ::2010/01/16(土) 22:20:59 ID:zsesf9t20
「ええっ!!今からですか!?って僕も一緒に行くんですか!?」

「当たり前だろ。未発見の死体の場所がわかってるのに、ほっとけないだろうよ。
それにこれはお前が持ってきたヤマだろうが。俺だって本当は気が進まねぇんだよ?
多分もう腐敗始まっちゃってるだろうし。」

腐敗した死体。そんな事を聞かされたら余計に尻込みしてしまう。
でもこの人は、やると決めた事は他人がどれだけ拒んでも必ず実行する男だ。
僕は無駄と知りながらも、一縷の望みを賭けて別の提案をしてみる。

「そ、それならまず警察に連絡した方がいいんじゃないですか?」
「警察に何て説明すんだよ?『○×に死体がある気がするんで捜してみて下さい』
とでも言うのか?何にせよ一度現場には行かなくちゃならんだろ。

それに、タチの悪い自縛霊になってる可能性もあるしな。
経験上、こういうのは早めに対処するに越したことはない」
そう言い終わらないうちに、Tさんはもう僕の鞄を抱えて喫茶店の出口に
向かって歩き出していた。

もう観念するしかない。
僕は残されたレシートを握りしめ、急いでTさんの後を追った。

376 ::2010/01/16(土) 22:23:31 ID:zsesf9t20
Tさんに連れてこられたのは、僕らの住む街から電車で1時間程度の○×市にある
鬱蒼とした雑木林だった。
そしてその林の奥深く、大きな枯れ杉の下に『彼』は眠っていた。無惨に朽ちかけた姿で。

Tさんによって掘り出された『彼』を見た瞬間、不覚にも、というか案の定というか、
僕は昼に食べたものをすべて土に還してしまった。
そのTさんはといえば、始めの内は顔をしかめて片目だけで発掘作業をしていたものの
今ではもう慣れた様子で死体やその周りをしきりに観察している。

よくやるよ。と思いながらもこわいもの見たさから、もう一度だけ恐る恐る
『彼』の方に目を向けると、土まみれでボロボロの衣服に、かなりの量の
赤黒い染みがついていることに気がついた。

「…これって…血ですか?」
極力平静を装って聞いたつもりだったが、自分の声が震えているのが分かる。
「うん、滅多刺しにされてるよ。ひどいもんだ」
「さ、殺人事件じゃないですか!!」
「まあな。でもそんなもん、こんな人気のない雑木林に埋められてる時点でわかってただろ?」
なんてことだ。彼女の大切な『彼』はただ死んだのではなくて、誰かに殺されて、しかも隠されたのだ!
「それだけじゃない。もっと面倒くさいことになってるぞ」
何がおかしいのかTさんは唇の端を上げ呟いた。

「ここに『こいつ』の霊魂は居ない。…とっくに成仏した、わけないよな。
こんな酷い目にあっといて」

377 ::2010/01/16(土) 22:27:01 ID:zsesf9t20
「…どいうことです?」

「こういった遺体の場合な、その霊魂は殺された場所か殺した人のところに居る
もんなんだよ。で、ここが殺された場所だ。なのに居ない」
「じゃあ、殺した人のところに行ったんじゃないんですか?」
「それが居なかったんだよ。だからてっきりここに居るのかと思ってた」

「居なかったって、会ったんですか!?Tさんは誰が殺したか分かってるんですか!?」
「まあな。本当何もかも視えてたよ、事件が起きる瞬間もな。寺生まれ舐めんなよ?」
Tさんは少しおどけて「破っ」のポーズをとってみせたが、すぐにまじめな顔に戻って話を続ける。
僕を更に混乱させる。

「それで、近頃この辺を騒がせてる女子大生連続殺人事件、そっちの犯人は多分『こいつ』だわ。
探してるみたいだな、自分を殺した人間を。被害者からしたらとばっちりもいいとこだけど」
「それじゃあ『彼』の霊魂は復讐のために街を彷徨って、自分を殺した人に似た女を殺してるってことですか?
つまり『彼』をこんな目に遭わせたのは、若い女…」

そこまで言って、自分がとても恐ろしい事を言ってしまった気がして口を噤んだ。
これ以上考えてはいけない。何も聞きたくない。でもTさんはそれを許さない。

「お前も流石にもう気づいただろ?誰が『こいつ』を殺したか」
「……見当もつかないです」

「頼むぜ、俺に言わせる気かよ。俺だって本当はこんなこと言いたかないんだ。
今日、俺が霊視してからここに来るまでに会った人物で、尚かつ『こいつ』と関わりのある
若い女性なんて、一人しかいないだろ」

378 ::2010/01/16(土) 22:30:53 ID:zsesf9t20
「違う!」それは違う。Tさんは間違っている。彼女のはずない。
あんな優しい娘がこんな酷いことをするわけがない!

「もし彼女が犯人なら、言われた通り『彼』の写真や私物を用意するわけないじゃないですか。
偽物を持ってくればよかったんだから!自分の首を絞めるような真似をするなんておかしい!」

「まぁ、俺が本当に霊視出来るなんて思ってなかったんだろうな。
知らない人間い、いきなり霊視してやると言われて、信じる奴の方が珍しいさ」
Tさんは諭すように言って、それからこう締めくくった。

「いや、もしかしたら本当に見つけてほしかったのかもな…」

その後のTさんの行動は迅速そのものだった。
Tさんが一度「破っ!!」と叫ぶと、死体が浮かび上がり、街のどこかを彷徨っていた『彼』の霊魂は消滅し
もう一度「破っ!!」と叫ぶと、死体は警察病院へ、自宅で眠っていたAさんは刑務所へと飛んでいった。

「後半部分は蛇足だったな…この話、もっとコンパクトにまとめられたはずだ」

自分の活躍ぶりを振り返り、反省点まで述べているTさんを見て
寺生まれってやっぱりスゴイ。心からそう思った。


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145 :規制解除記念あげ:2009/09/23(水) 23:44:08 ID:n8e4NQVB0
もうずいぶんと昔。まだ小学生だったころ。
教室で昼休みの終わりを待っていたら、いつもは私に冷たい担任の先生が血相を変えてやってきた。
「○○くん、落ち着いて聞いてね。お母さんが仕事先で倒れたの。すぐ帰る用意をして職員室へ行きなさい」
驚いてランドセルに手当たり次第に物をつめて職員室に向かった。
校長先生がいた。
「お父さん、いまトイレに行かれているから、すぐに一緒に病院に行きなさい」
校長先生もおちつかない様子で、しきりに腕時計を見ていた。
「あの…先生…」
言わないといけない。
「うちにおとうさんはいないんですけど…」
母子家庭だった。

大騒ぎになった。

その時─
「よう、遅くなって悪かったな、固くてなかなか出なかったんだ(笑)」
空気を読まないセリフと同時に男が引き戸を開けて職員室に入ってきた。

「!あんた!あんた一体誰なんだ!!?どうも父親にしては若いと思ったんだ!」
興奮した校長が男にそう怒鳴りつけたが男は平然としていて動じる様子もない。
彼こそは、寺生まれで霊感の強いTさんだった。
「破ぁ、実は本当は俺はこの子の父親の霊の知り合…いや、お母さんの親戚です。
急いでたんで、父親を名乗った方が早いと思いましてねえ」
Tさんは呆気に取られている校長を尻目に、背の低い私の前にしゃがんでにっこり笑った。
「飲み明かして昼まで寝てたら、夢で君のお父さんの霊から頼まれてな。
妻が悪い霊の霊障で危ない、助けてくれってね。
お母さんの事は大丈夫、俺が何とかしてみせるよ。さ、行こうか」

寺生まれって凄い、私はTさんと手を繋いで下校しながら改めてそう思った。

拍手


84 :本当にあった怖い名無し:2009/09/05(土) 20:45:37 ID:NWP2k8Ea0

…人類滅亡のシナリオは、ある日唐突に始まった…。

いつもの様に深夜番組を見ていたらニュース速報が入った。
~米国政府はハッブル宇宙望遠鏡により地球に迫る大質量隕石の存在を確認したと発表~。…それが第一報だった。
正直俺はハァ?と思った。その時はその隕石がどれだけヤバイのか全く分からなかった。しかしその20分後にテレビが次々に特番に切り替わりそのまま通常番組に戻る事は無かった。
番組はどれも同じような情報を繰り返していた。
隕石の直径は27㎞以上であると観測され、恐竜を絶滅させた隕石の2~3倍の大きさ。
この大きさだと人類の持つ全ての軍事兵器を用いても衝突を回避出来ない。
衝突後の衝撃波や津波、地震や噴火などの災害も予測されていた。
隕石は異常な速さで地球に接近しておりその分ダメージも莫大なものとなる。
そして一体なぜ人類は今までこの隕石の存在に気付かなかったか…などであった。
スーパーコンピューターの計算によると隕石がインド洋上で地球に衝突するまでわずか93日と言う事だった。
各国の政府は次々に空港閉鎖を宣言した。
その一方で全ての国の軍事機密が共有され、あらゆる国のミサイルがアメリカを中心とした国連の指揮下に入った。北朝鮮でさえノリノリでこれに参加した。
全世界協議が開かれる中、各国の兵器の最終調整が進み、遂に全人類の期待が寄せられる中、世界中の軍事兵器が隕石に向けて一斉に火を吹いた。
…しかし、結局隕石の接近を食い止める事は出来なかった。
更に時間が経つと海外では暴動も起きているらしかった。その映像はネット動画では見られたがテレビでは報道されなかった。
日本は電気ガス水道などのライフラインも確保され続け、いさぎよく覚悟を決めた国民の意識も穏やかで他国に比べ平和だった。
隕石がいよいよ近づくとテレビでは人類の歴史を振り返る番組や自然の風景が流れたりした、そしてとうとうアマチュアの天体観測家が望遠鏡で隕石の姿を確認するまでになった。
隕石はライブカメラでも中継され続けていたが俺も望遠鏡を使って自分の目でそれを見てみたくなって夜中の大学に忍び込む事にした。
ゼミの教授の研究室に大きな望遠鏡がある事を知っていたからだ。

拍手

85 :本当にあった怖い名無し:2009/09/05(土) 20:47:21 ID:NWP2k8Ea0

大学の正門に近づくと山梨ナンバーの軽トラが一台ハザードを点滅させて止まっていた。
「誰かに見られたらさすがにヤバいよな…」と思って運転席を覗くとそこにいたのは寺生まれで霊感の強いT先輩だった。
「よぉ、遅かったじゃねえか。待ってたんだぜ。」Tさんは笑顔でタバコをくわえたまま運転席から身を乗り出してこう言った。
俺はTさんと一緒に望遠鏡を盗み出し中央道を山梨に向かった。高速を走りながらTさんと取りとめのない会話が続いた。Tさんとこんなに話すのは初めてだった。
無精ヒゲを生やしたTさんの頬は以前より痩せて見えた「Tさんと会うの物凄い久し振りだけど、どうしてたんですか?」と聞いてみた。
Tさんはタバコの煙を吐きながら「ああ、山に籠もって色々やってたんだけどな。今回はマジでヤバかったよ…何回も死にかけた。だけどおかげで今の俺は、物凄げぇぞ」Tさんは真顔でそう言うとチラリと俺を見た。
「そう言えば俺が夜中に大学に侵入するのも知ってたみたいだけど…」
「ああ、知ろうと思えば何でも分かるよ」Tさんはくわえ煙草のままで笑っていた。
話しによるとTさんは山から降りて動けなかった所を山梨の農家に救われたらしく、地球の危機を知ったのも3日前だと言っていた。
「だからこの軽トラも俺んじゃねえんだよ。」
「でもちょうど良かったろ?都会じゃ星も見えないし、俺も山梨でトラック返すんだから」
Tさんと話しているともうすぐ地球が壊滅する事がウソのように思えた。

 

86 :本当にあった怖い名無し:2009/09/05(土) 20:48:32 ID:NWP2k8Ea0

目的地の山に着くと俺は望遠鏡をセットして大分苦労した後にようやく問題の隕石を捉える事ができた。
望遠鏡のフレームの中でプルプルと小さく震えているその薄暗い塊が人類を滅ぼすだなんて俺にはとても信じられなかった。
望遠鏡を覗き込んだTさんはまるで子供の様にはしゃいでいた。
「よく楽しめますね。みんな死んじまうんですよ…」俺は何だか急にやるせなくなってそう言った。
Tさんは顔を上げると楽しそうにこう言った「何だお前、まだそんな事言ってるのかよ…これ覗いてみろ? 面白いのが見れるから」ワザと眉間にシワを寄せてそう言うと望遠鏡を指差した。
俺は言われた通り覗いて見たが別に何の変化もなかった。
その時、物凄いパワーがTさんの方向に流れて行く気配が感じられた。…地震?
屋外にいるのに大地が大きく揺れているのが分かった。“ゴゴゴォ”と言う激しい地鳴りと共にせっかく捉えた隕石の姿も望遠鏡の視界から外にはみ出す程大きく揺れていた。一体何が起きているのか検討もつかなかったが俺は恐ろしくて顔を上げる事も出来なかった。
ふと大地の鳴動が止まって隕石が再びフレームの中心に収まった…次の瞬間。
「破ぁ~っ!!」
望遠鏡の中の隕石に白い光弾が突き刺さるのが見えると画面全体が真っ白になった。「うぉっ!」っと俺は思わず声を出した。
…再び虫の声が聞こえ望遠鏡が宇宙の暗闇を映し出した時、隕石の姿はもうどこにも無かった。
まるで何事も無かっかの様にタバコに火を付けるTさんの横顔を見ながら
寺生まれってスゴい 改めてそう思った。
 



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62 :狐狗狸1/2:2009/09/03(木) 23:13:32 ID:Wqp5sbh+0

さぁ、俺の話を聞いてくれ。
ま、俺のカーチャンの実体験なんだがな。

ま、俺のカーチャンはいま40近い。
だから子供の頃には今の子供とかとは違う遊びで遊んでた。
こっくりさんも、その一つだったらしい。
カーチャンも偶に女の子の友達とやった事があると言っていた。
ある出来事が起きるまで。

それは、小6ぐらいの事だったらしい。
カーチャンと仲が良かった男の子達がふざけてこっくりさんやろうず!みたいなノリになったらしい。

そこでこっくりさんを彼等は始めたんだが、こっくりさんが中々帰って下さらない。始めて一時間ほど経ってもお帰りになられない。
いくら贈り物を指差しても帰ってくるのは「いやだ」「まだ遊ぶ」と言った言葉ばかり。そればかりか十円玉と、十円玉にのせたS君の指がどんどんあいうえおの上を移動していく。
 

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63 :狐狗狸2/2:2009/09/03(木) 23:18:01 ID:Wqp5sbh+0

ここで流石に男の子達はヤバイと思い、S君を残してカーチャン含む女の子グループに相談しに行ったんだ。
そこで、大人を呼ぶ事になり、ある女の子の親と一緒にS君の様子を見に行った所、大変な事になっていた。

十円玉が紙の上を外れて家中を移動している。S君は殆ど十円玉に引っ張られて移動している状態だった。

親も手出しができず、途方に来れていた。
そんな時に現れたのが偶々俺のカーチャンの故郷、山中温泉に遊びに来ていた寺生まれのTさんだった!

Tさん「何をやってるんだ…こっくりさんってのは低級な動物霊を呼ぶ遊びだぞ…まぁこうなってしまったのなら仕方が無い。破ッー!」
Tさんがそう行った瞬間青白い口銭が彼の手から飛び出し、狐の姿をした何かを十円玉から吹き飛ばした。

Tさん「それに、こっくりさんってのは女の子の遊びだ。男なら男らしい遊びをしろ、俺がお前らを叩き直してやる。そこに立て!」

数日後……
そこには破ッーといいながら光線を撃ちあうTさんと男の子達の元気な姿が。

俺のカーチャンは子供心に寺生まれって凄いって思った。


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32 :本当にあった怖い名無し:2009/08/28(金) 21:16:16 ID:AzHyBR9w0

ある小学校に、一年中赤いマフラーをつけている少女がいた。
ある日、同じクラスの少年がその少女に、
「おい、何でいつもマフラー着けてるんだ?」
と聞いた。すると少女は、
「あなたが私と同じ中学校に行ったら、教えてあげる。」
と言った。

少女と少年は2人とも受験をせず、同じ中学校に入った。同じクラスだった。
ある日、少年が少女に、
「約束どおり教えてくれよ。何でいつもマフラー着けてるんだ?」
と聞いた。すると少女は、
「あなたが私と同じ高校に行ったら、教えてあげる」
と言った。

少女は偏差値が高い学校に入り、少年も彼女に理由を聞くためだけに受験し、同じ高校に入った。同じクラスだった。
入学式の日、少年が少女に、
「お前、何でいつもマフラー着けてるんだよ?」
と聞いた。すると彼女は、
「あなたが私と同じ大学に行ったら、教えてあげる」
と言った。
 

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33 :本当にあった怖い名無し:2009/08/28(金) 21:20:39 ID:AzHyBR9w0

2人は偏差値の高い同じ大学に入った。同じ学科だった。
いつしか2人は付き合い始めた。仲が良く、ほとんど公認のカップルだった。
「いい加減教えてくれよ。何でマフラー着てんだい」
ある日の帰り道、男は笑いながら言った。すると彼女は、
「もう、逃げられないのね」
と言った。そして、始めてマフラーに手を掛けた。

そこにはくびが

次に目覚めたとき、俺は病院のベッドで横になっていた。
彼女がマフラーを外して、そこから後の記憶が無い。
「よぉ。この色男が」
声のした方を向くと、寺生まれで霊感の強いT先輩が彼女と一緒に見舞いに来たところだった。
T先輩曰く、俺は転んで段差に頭をぶっつけたらしい。
一通り談笑を済ませると、T先輩は
「さて、それじゃあ邪魔者は帰るぜ。破っ破っ破」と笑いながら立ち去ろうとした。

「待って」
その背中に、彼女が言った。
「・・・ありがとう」
T先輩は、何も言わなかった。

二人きりになったので、俺はさっきから気になっていたことを聞いた。
「お前、マフラーはどうしたんだ?」
そう。病室に来た彼女は、マフラーを外していたのだ。
すると彼女は悪戯っぽそうな笑顔で、
「あなたが私と結婚してくれたら、教えてあげる」と言った。
寺生まれってスゴイ。大学3年の秋のことだった。

 



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