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最近ではあまり見かけませんが、20年ほど前までは
「雷オヤジ」というのが町内に必ず一人や二人いて、
近所の子供がいたずらをしたりすると、
容赦なく怒鳴りつけられたりしたものでした。
僕の祖父はその典型的な雷オヤジで、
小学校のクラスでも「お前んとこの爺さんは怖い」と、
悪ガキ共がみんなびびるような存在でした。
その祖父も寄る年波には勝てず、
つい数年前、長い寝たきり生活の後息を引き取りました。
さて、その祖父の葬儀の時ですが、喪客のなかに、
40代後半位の中年男性のグループがありました。
「見たことない人達だなあ」と思っていると、
彼等は実はかつてこの町内で評判の悪童グループで、
祖父とはまるで仇同士のような存在だったということです。
そのおじさん達の中の一人に、今はバイク店を経営しているという人がいて、
「うるさい爺さんだったが、あの人がいなかったら俺達は皆もっとひどくグレてた」
と祖父の思い出を語ってくれて、
「祖父は本当は子供たちから愛されていたんだな」
と、僕は何だか祖父のことを誇りに思いました。
さて、ここまでは何の問題も無かったのですが、
そのおじさん達の一人にちょっと酒乱ぽい人がいて、
葬式の最中に大声で他の人にからんだりしていました。
一緒に来た人が止めていたのですが、その時突然
「ガタッ」と大きな音がして、
しっかり固定されているはずの遺影が床に落ちてきました。
すると、さっきのバイク屋の人が
「ホラ、悪さするから爺さん怒ってるじゃないか」
と言い、酒乱の人もおとなしくなりました。
安心した僕はトイレに行こうと席を立ったんですが、
白黒の幕の後ろ、壁との隙間に誰かがいるのに気がつきました。
寺生まれで霊感のあるTさんが手を伸ばして立っていたんです。
なんでこんなところにと思って見ていたら、
Tさんが「破っ!」と気付いて僕のほうを見ました。
そしてちょっとあわてたようなそぶりで言いました。
「いや、おまえの爺ちゃんは死んでまで雷親父だったってことにしておけよな。
やっぱ、こんな席で酒乱はよくねぇぜ。ま、そ、そういうことだ」
そして何事もなかったようにそそくさと葬儀の会場から出て行きました。
あとでTさんが手を伸ばしていたあたりを見たんですが、
細いテグスが張ってあって、それは遺影の額につながっていました。
こんな細かい細工をいつしたんだろう・・・寺生まれってスゴイ、改めてそう思いました。
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さて、ここまでは何の問題も無かったのですが、
そのおじさん達の一人にちょっと酒乱ぽい人がいて、
葬式の最中に大声で他の人にからんだりしていました。
一緒に来た人が止めていたのですが、その時突然
「ガタッ」と大きな音がして、
しっかり固定されているはずの遺影が床に落ちてきました。
すると、さっきのバイク屋の人が
「ホラ、悪さするから爺さん怒ってるじゃないか」
と言い、酒乱の人もおとなしくなりました。
安心した僕はトイレに行こうと席を立ったんですが、
白黒の幕の後ろ、壁との隙間に誰かがいるのに気がつきました。
寺生まれで霊感のあるTさんが手を伸ばして立っていたんです。
なんでこんなところにと思って見ていたら、
Tさんが「破っ!」と気付いて僕のほうを見ました。
そしてちょっとあわてたようなそぶりで言いました。
「いや、おまえの爺ちゃんは死んでまで雷親父だったってことにしておけよな。
やっぱ、こんな席で酒乱はよくねぇぜ。ま、そ、そういうことだ」
そして何事もなかったようにそそくさと葬儀の会場から出て行きました。
あとでTさんが手を伸ばしていたあたりを見たんですが、
細いテグスが張ってあって、それは遺影の額につながっていました。
こんな細かい細工をいつしたんだろう・・・寺生まれってスゴイ、改めてそう思いました。