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これは私が体験した話だ。
友達が久しぶりに家に泊まりに来た。
女二人大いに盛り上がり、友達が持って来てくれたお菓子や軽食をつまみながらいつの間にか夜中の一時。
明日が休みといえど、そろそろ寝ようかと友達が言った。
私の家にはベッドが一つ、来客用の布団が一つ。
友達が布団で良いと言うので、悪いなぁと思いながら押し入れから布団を取り出し敷いた。
じゃあ寝ようと電気を消そうとしたところどうも友達の様子がおかしい。
「どうしたの?」
声を掛けてみる。
「あ、うん」
そわそわしているのでトイレかなと思ったが、トイレはすぐそこだし行きたいのならばもう行っているだろう。
「あのさー、お腹空かない?」
突然彼女は言った。
おかしなことを言うものだ。散々さっきまで飲み食いしていたのに!
「コンビニに買い出し行こう」
「もうお腹空いたの? でも寝るとこだし、寝て明日じゃだめなの?」
「だめ。今じゃなきゃだめ」
乗り気じゃない私に彼女ははっきりと言った。目が怖いくらいに真剣だ。
そんなに空腹なのだろうか。
彼女の視線がちらりと私の足下に注がれた。何を見ているのだろう。
足? いや、それよりも後ろ。私の後ろにはベッドと壁しかない。
「……」
そこで私もようやく気が付いた。
恐怖に体が震える。
足下に、ベッドの下に何か居る!
がしゃーんっ!
その時だ。
窓からけたたましい音をたて何かが飛び込んできた。
「やれやれ。今度はそこにいやがったか」
寺生まれで霊感の強いTさんだ!
「懲りない奴だ! 今日こそへぶんへ連れて行ってやるぜ!」
恐怖で動けないでいる私の足下に素早く寄ると、ベッドの下に勢い良く潜り込む。
そしてすぐに足下から「破ぁ!!」と言うTさんの叫び声と眩いばかりの閃光が飛び出した!
するとベッドの下から低い、地を這うようなうめき声が一つ聞こえ、部屋はそれきり静かになった。
呆然とする私達の前にTさんがのそりと這い出てくる。
あとから聞いた話によるとベッドの下に居た何かは、
突然現れてはその存在に気付いた者をことごとく殺していくのだという。
その話を聞いて私達はゾッとした。Tさんが来てくれていなかったらどうなっていたのだろう……。
「ところでどうしてソレがここに居るって分かったんですか?」
「なぁに、たまたまここを通り掛かったら怪しい気を感じたもんでな」
Tさんははにかみながらそう言った。
暫くちらちらとこちらを見て、他にも何か言いたそうにしていたTさんだったが、
「女性だけの暮らしは危険がつきものだ。戸締まり火の元しっかりな」
マッチ一本味の素、そう言い残すとまた窓から颯爽と飛び出して行った。
「ここ六階……」
寺生まれはスゴイ、風が吹き込む窓を眺め私達はつくづくそう思った。
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「やれやれ。今度はそこにいやがったか」
寺生まれで霊感の強いTさんだ!
「懲りない奴だ! 今日こそへぶんへ連れて行ってやるぜ!」
恐怖で動けないでいる私の足下に素早く寄ると、ベッドの下に勢い良く潜り込む。
そしてすぐに足下から「破ぁ!!」と言うTさんの叫び声と眩いばかりの閃光が飛び出した!
するとベッドの下から低い、地を這うようなうめき声が一つ聞こえ、部屋はそれきり静かになった。
呆然とする私達の前にTさんがのそりと這い出てくる。
あとから聞いた話によるとベッドの下に居た何かは、
突然現れてはその存在に気付いた者をことごとく殺していくのだという。
その話を聞いて私達はゾッとした。Tさんが来てくれていなかったらどうなっていたのだろう……。
「ところでどうしてソレがここに居るって分かったんですか?」
「なぁに、たまたまここを通り掛かったら怪しい気を感じたもんでな」
Tさんははにかみながらそう言った。
暫くちらちらとこちらを見て、他にも何か言いたそうにしていたTさんだったが、
「女性だけの暮らしは危険がつきものだ。戸締まり火の元しっかりな」
マッチ一本味の素、そう言い残すとまた窓から颯爽と飛び出して行った。
「ここ六階……」
寺生まれはスゴイ、風が吹き込む窓を眺め私達はつくづくそう思った。